エピローグなプロローグ
美味しいニクマーンにするために、しばらくこねくり回します。
お客様にご提供できる出来上がりとなりましたら、公開させていただきます。
それまでは、多少のことではニクマーン愛が揺らがない常連の皆様だけでお楽しみください
(*´▽`*)
――今では誰もが知っている、あのお話――
昔々、ノーランドではニクマーンという魔獣があちこちで見られました。
このニクマーンと言う魔獣は、お饅頭のような形をしていて、見た目通りの柔くて弱い生き物でした。
その辺の草むらや湖や沼の近くに行けば、ポムポムと弾むように移動する、その姿がよく見られたそうです。
ある時、J・リッチマンと言う一人の冒険者が、このニクマーンと力を合わせてノーランドやノルド、バルデーシュを旅して回ることになりました。
そして、誰も見向きもしなかった弱い魔獣『ニクマーン』たちを保護し、仲間になり気持ちを通い合わせたのです。
特に、黄色・白・桃色の三匹のニクマーンは常にリッチマンと行動を共にしました。
リッチマンはあちこちでたくさんのニクマーン達を他の魔獣から守ってやったり、人間たちが保護するようにと働きかけました。
その甲斐あって、ニクマーンは人間からおもちゃ代わりにされるような扱いから、ペットや友達としての存在へ変わっていったのです。
やがて三匹のニクマーンを連れたリッチマンは、国をまたぎ冒険者としても名を上げて行きました。
ノーランド、ノルド、バルディーシュを経て、老齢になったリッチマンは、はるか東の先にある幻の王国にたどり着きます。
そこは豪放磊落な若き女王が治める国でした。
女王は、リッチマンと三匹のニクマーンのことをいたく気に入りました。
そして、ここへ根を下ろす気があるなら、とリッチマンにニクマーンと過ごすための領地を与えてくれたのです。
リッチマンは、その地をニクマーン達と暮らす終の棲家と決めました。
やがて、その領地には自然と色々な国から、ニクマーンが集まってきました。
しばらく、穏やかで楽しい時を過ごした後、いよいよリッチマンが天に召される、と言う時がやってきました。
静かに息を引き取ったリッチマンの亡骸を守るように、三匹のニクマーンが体の上に乗りました。
そして、まばゆい光を放ったと思った次の瞬間には、三匹のニクマーンは、それぞれ金・銀・銅のニクマーンへと進化をしていました。
さらに不思議なことに、三匹のニクマーンと一緒に光に包まれたリッチマンの亡骸は、その後も全く様子が変わらなかったと言われています。
安らかな寝顔のようなその姿に、いつしか彼は<聖J・リッチマン>と呼ばれるようになりました。
女王は、リッチマン亡き後もその奇跡に敬意を示し、ニクマーンの楽園とも言える領地を維持してくれました。
そこにたどり着くには
『曇りなき眼で真実を見抜き、優しい心で魔獣ニクマーンに接することが出来ること』
それらをすべて満たした者だけが、楽園への扉を開くだろう、そう言い伝えられています。
そうして、今でも大陸の東のどこかには、金・銀・銅の三匹のニクマーンが、聖J・リッチマンの亡骸を守りながら暮らしている。
――そう信じられているのです