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目が覚めると真っ白い空間にいた。
「大丈夫かね?」
まだ頭が回らなくて、ぼーっとしていると段々と記憶がよみがえってきた。
ガバッと体を起こして女の子の事を聞く
「女の子は?大丈夫でしたか!!」
「大丈夫じゃよ」
答えてくれたのは真っ白い服のおじいさんで、あごひげがとっても立派だった。
「よかった!!ここはどこですか?僕どうなったんですか?」
おじいさんは落ち着かせるようにゆっくり言った
「君は死んだんじゃよ。ここはあの世とこの世の狭間じゃ」
「そうですか、僕死んじゃったんだ」
あの時の体の痛みは無くなっていた
「おじいさんは誰ですか?」
「わしはこの世界では神と言われている」
キョトンとしながらもしっかりと応えた
「神様ですか。初めまして岬といいます」
「ずいぶん落ち着いているのぉ~、普通は驚いてろくにしゃべりもできないんだが」
「十分驚いてます。でも、なぜ僕はここにいるんですか?」
「おぉ!そうじゃった。ちょっと困ったことになってな」
大げさに言っているが、全然困ってるようには見えなかった
「本当ならおぬしは死ぬ運命ではなかったんじゃ」
「え?じゃあ、あの女の子が死ぬはずだったって事ですか?」
「うむ、おぬしがかばったから運命がねじ曲がってしまった」
「す、すいません」
責められるように言われ思わず謝ってしまった
「それでじゃな、どうする?
おぬしが全うするはずだった寿命を女の子にやるか、女の子と交換に甦るか」
僕は考える必要もなく
「僕の寿命を女の子にあげてください」
微笑みながらいった。
「いいのかね、君も甦れるんじゃぞ」
「僕は一人なんです。」
少し寂しそうに言うと、目線をあわせはっきりと言った
「悲しんでくれる両親も親戚もいません。
それならあの女の子に僕の分まで幸せに生きてほしいです」
「そうか、大変だったんじゃな。女の子の方はそれで処理しておく」
「はい、お願いします」
「それでおぬしじゃが、良ければ別の世界に転生してみないかね?」
「転生?」
「わしの管理している世界の一つなんじゃが、精霊やモンスター、魔法もあるぞ。こちらで言うところのファンタジーの世界じゃな」
「えっ!魔法?精霊も本当にいるんですか?」
目を輝かせ身を乗り出して聞いた
「好きみたいじゃな。だかおぬしの住んでいた所よりは危険じゃが、それなりに加護もつけよう」
危険と聞いて少し迷ったが、受けることにした
「いってみたいです。動物大好きなんです。魔法も使えるなら使ってみたい!」
神様は優しい笑みを浮かべて言った
「あぁ、使えるとも。じゃあ動物や精霊と触れあえるように加護を付けておいてやろう」
「こんなによくして下さってありがとうございます」
感謝の気持ちを込めて頭を下げる
神様は僕の右肩にそっと手を置いた
顔を上げて見ると慈愛に満ちた表情を浮かべていた
「君にだって幸せになる権利はあるじゃよ。頑張りなさい」
神様の言葉で涙を堪えながらもなんとか答えた
「ありがとうございます」
その瞬間目の前が真っ白になって意識は途切れた
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