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 夢を見ていた。

女の子がいた。

小学校低学年くらいだろうか。

その子は母親と家で遊んでいた。

壁にかかるカレンダーのある一日に、ケーキのイラストが描かれていた。

お母さんの誕生日らしい。

遊んでいると女の子はお母さんの大切にしていた置き時計をうっかり壊してしまった。

女の子は泣きながら謝った。

お母さんは「気にしないでいい」と言った。

そのお母さんの顔はどこかで見たことがある気がした。

女の子は近くのショッピングモールで、壊してしまった時計を探した。

しばらく探していると、アンティーク系の雑貨屋さんでなんとかそれは見つかった。

だけどそれは女の子のお小遣いではとても買える代物ではなかった。

「どうしたらいいんだろう」

 女の子は近所のコンビニに立ち寄った。

店の前のごみ箱の中の袋を取り換えている店員の姿があった。

 それはバイトの研修期間だったころの俺だった。

 女の子は店の前で転んだ。

 膝をすりむいたらしく、泣いていた。

女の子は俺から手当てを受けた。

俺は「大丈夫だよ」と言いながら、事務所に女の子を連れ込む。

救急箱を取り出し、消毒を丁寧に済ませ、ガーゼを貼った。

女の子は恥ずかしさもあってか、何も言わずに店を飛び出した。

飛び出した先で、女の子はその店のバイト募集中と書かれた旗を見た。

 女の子は、バイトの意味くらいはわかった。

 簡単なお仕事で、お金を稼げることだ。

 女の子はなにかを決意したように、家に向かって走り出した。

 どれくらい働けば、あの時計が買えるだろう。

 そんなことを考えながら、女の子はわくわくしていた。

 その途中だった。

 コンビニから出る大型のトラックが、大きなエンジン音とともに発進した。

 女の子は、ちょうどそのトラックの死角にいた。

 そこから映像は終わっていた。

 目が覚めた俺が一番に目にしたのは、白い天井と、右腕に巻かれた白い包帯だった。


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