防衛八十二回目
投稿遅れて申し訳ないです。
「この剣はウッドロック建国時の騎士団長が使っていた物です。銘を妖精剣リールフェルンといいます」
・・・差し出された片刃の美しい剣からしばし視線をはずすことが出来なかった。
おそらく剣としての性能は相当いいはず。
しかも芸術的な価値もあるときたもんだ。
「・・・使っていいのか?この国にとって大事な物じゃないのか?」
「はい。ですからお貸しするだけです。きっとウェイルズさんが使っていた剣の方がいい物であるはずなので。それを取り戻すまでの繋ぎとして活用してあげてください」
「贅沢な繋ぎもあったもんだ」
「いえ、たまには観賞だけではなく、本来の用途で使ってあげるのが武器にとってもいい事だと判断したからです。それで使わせるならそれなりの技能を持っている人物がふさわしいとなりました」
「それで俺なのか?エルフの中のトップの方がいいんじゃないのか?」
「彼はこの武器を十全に使うには力量が圧倒的に不足していますので仕方がありません」
メシュリカから手渡されたリールフェルンをありがたく借りることにすると、今の装備の確認を行う。
武器の方はどうにかなったが防具の方はもうどうにもならないな。
しかたがない。ドワーフ達のの攻撃は全部避けることにしよう。
「それと、あなたのサポート役としてアシュカとライトルをつけます。存分にこき使ってやってください」
「え?」
「ちょ、ちょっと待ってください」
「何かしら?ライトルに発言を許可した覚えはないのだけど」
「今更それを言うんですか!?」
「大事なことよ」
ウインクを決めながら先手を打ち、ライトルの質問を潰す。
なおも反論を重ねようとするのを威圧感あふれる微笑で撃退してしまう。
「さて、反論も無くなったところで、ウェイルズさんは【蘇生珠】あとどれぐらい残っていますか?」
「全部無いな。友人に渡した」
「・・・なるほど。それでは1つだけ支給させてもらいます」
「いや、いらない」
「何故でしょうか?」
「そんな保険があったら心のどこかで油断するようになる。そして、その油断が最後の最後で命取りになるんだ。現に冒険者連中もよく油断して死んでるだろ」
「確かにそうですね。・・・分かりました。ライトル、アシュカ。いざというときはその身を挺してウェイルズさんを護衛、援護しなさい」
「「了解しました!!」」
通路を駆け出した俺の後を、一度敬礼をした後2人がついて来る。
しばらく走っていると、通路を反響した騒音が聞こえてくる。
「・・・この音は何なんでしょうね」
「普通に考えてドワーフ達と誰かが戦ってるんだろ。問題はその中にあいつがいるかいないかだな」
「あいつ?」
「ああ、人形みたいな奴がいるんだ」
「なんだそりゃ」
「ちなみにだが、メチャクチャ強いぞ。お前らだったら戦闘に介入する余地無くあっという間に殺されるな」
「うげぇ」
そんなやり取りをしている間に剣戟と怒号。戦闘だと分かる音である。
音源の近くまで接近して身を隠すと、2人をチラッと見ると頷いてきたので指を3本立て、1本ずつ折り、最後の1本を追った瞬間飛び出す。
俺の後に続いて2人も飛び出してきた。
視界には1つの大きな扉からあふれ出てくるドワーフ達を冒険者達が押しとどめている。
その中には見知ったような顔が前線で剣を振るい、片っ端らから切り飛ばして無理やり押し込もうとしている。
まあ、無理やりすぎて攻撃も結構受けているみたいだがな。
あ、死に戻りした。
前線の冒険者達の体力のほうがつきかけているのか、後方の待機要員とどんどん交代している。
そして、それを援護するかのように山形の軌道を描いて氷の塊が最前線に飛来。
その氷を見た瞬間に敵味方問わず、指揮官が大声を張り上げて後退を指示しているのは何でだろうな。
そんな疑問を頭に浮かべながら冒険者の隙間を駆け抜けていると、その氷が床に当たった瞬間爆発した。
爆風が逃げ切れなかった数名のドワーフと冒険者をなぎ払うと、魔法を放ったであろう人物に罵詈雑言の言葉が浴びせられる。
どんなバカがそんなことをやらかしたのかを確認すると、赤い髪の残念集漂う魔法使い。ヤマトだった。
ってお前かよ!!
脳内でツッコミを入れつつも、爆風も収まり、両陣営共に体勢を立て直す瞬間にドワーフ陣営に襲い掛かった。
リールフェルンを先ほどから指示を出しているドワーフに投げつけると、それを追いかけるようにして道すがら邪魔な奴らを殴り、蹴り飛ばして道を作る。
指揮官の顔に刺さったリールフェルンの柄を掴むと、一気に股下まで下げて殺す。
両陣営とも突如現れた俺に対して驚いているようだが、柔軟な思考をしているのが指揮官なのだろう。そのまま俺が穿った穴を広げるように冒険者達を投入している。
「お前ら!このまんまだとエルフの皆様が滅んじまうぞ!それでもいいのか?嫌ならさっさとコレを止めるぞ!」
「そんなん嫌じゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「報酬でロリエルフ様をペロペロぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「仮想世界の中だけでもいいからイケメンエルフと恋仲になりたい」
「俺はロリドワーフ様の方が・・・」
「OK、あっちで話をしようか。もちろん肉体言語でな!!」
なにやら発破をかけた指揮官の言葉に一部の冒険者のテンションが上がりまくって恐ろしいことになっている気がする。
いや、むしろこれは変態の魂の叫びか・・・。
てか、この指揮官の声どこかで聞いたことがあるような・・・それもつい先ほど。
敵を切り払いながら思考の海に沈みかける俺にライトルが声をかけてくる。
とりあえずこの思考を沸きに放り投げるてライトルを見ると、背後の冒険者達のテンションに嫌そうな顔をしていた。
おや?アシュカがいないみたいだが・・・。
「どうした?」
「敵陣に切り込みすぎです!今は勢いでどうにかなっていますが、このままだと囲まれてしまいます。ウェイルズさんは【蘇生珠】を持っていないのですから一度引いてください!」
「何言ってんだ。勢いに乗っている今だからこそ一気に押し切りたいんじゃないか。どうやら冒険者連中はエルフが大好きみたいだからな。ちょっとお前が煽ってやればさらに勢いが増すんじゃないか?」
「嫌です。あんな飢えた獣のような目をしている奴らを煽ったら自分の身が危ないです」
「だろうな。それよかアシュカはどうした?」
ドワーフの攻撃をリールフェルンで受け止めながらライトルに尋ねると、無言で冒険者達の一角を顎で示す。
つられてそちらを見ると、年上の女性冒険者の黄色い声と共に弄ばれているアシュカの姿が・・・。
「・・・あいつも切るか?」
「いや、ここは・・・」
大きく息を吸い込んだライトルの口からはとんでもない言葉が飛び出してきた。
「今この場を押し切った肩にはアシュカ君を好きにしていい権利を差し上げまぁぁぁぁぁぁす!!」
「ちょっ、ライトルさん!?」
ライトルの発言の直後、慌てたようなアシュカの声が聞こえた気がするが、それより先にアシュカを弄んでいた女冒険者達の目が光った気がした。
その直後ドワーフ達の絶叫が響き渡る。
まさにバーサーカーと呼ぶに相応しい暴れっぷりに、アシュカは恐ろしいものを見る目で、ライトルは冷や汗を垂れ流しながら彼女達を見ており、指揮を執っていた冒険者も呆然として指揮を投げ出してしまう。
本気の悲鳴を上げて逃げるドワーフ達に追撃をするかのごとく氷の槍が襲い掛かっているのだが、完全に蹂躙しているようにしか見えない。
「なあライトル。この収集はどうやってつけるんだ?」
「それは俺も効きたいね。エルフの兄ちゃん。これ、どうするんだ?」
「・・・しばらく静観しましょう。触らぬ神に祟りなしです」
頬を掻きながらもそう言い切ってしまうライトルを恨めしそうな顔で見るアシュカには同情をするしかないな。
そんなことをしている間にドワーフ達は部屋に押し込められ、外に出れないように大きな盾を持った冒険者達の手によって押さえ込まれてしまっている。
さて、次はあの連中を蹴散らすとしようか。
最近覚えることが多くてこっちを考える余裕が無くなりつつあります。
さっさと慣れてこっちの話を考える余裕を作りたいです。




