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最強は自我を持つNPC?  作者: 現実↓逃避
第2章 種族間の問題と移動要塞
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防衛八十一回目

 接近してきているドワーフ連中の声に紛れて銃声が鳴り響き、そのたびに1人、また1人とエルフが倒されていってしまう。


「魔法は全部モンスターに叩き込んで片付けろ!近接戦闘が出来る奴は半分ぐらいであいつらの足止め。魔法組みは生き残ったモンスターに止めを刺してからこっちの援護をしてくれ」


 幸い指示を出すことが出来るエルフが残っていたようで、咄嗟の指示がそれだけだったらしくそのあいまいな物に動き始めた結果、ほとんどがドワーフノ迎撃に出てしまいモンスターの対策をするための魔法組みと俺達ぐらいしか残っていない事態になってしまった。

 やっぱり統率の取れてない軍なんてこんなものか。

 魔法の掃射で消えずに残ったモンスターに刃を突き立て止めを刺す。

 しかし、前衛が俺達3人だけの現状、対処出来るものにも限界がある。


 ジャイアントが無造作に振るった腕の一撃で複数人のエルフが死に戻りしてしまう。

 目の前で仲間がやられたのを見てしまったエルフは魔法に集中することが出来なくて不発に終わってしまい、棒立ちになっていた奴らが消滅していった。

 満足げな咆哮を上げるジャイアントの首を刎ねると、他のモンスターを全滅させるために大剣を振るい叩き潰していく。

 最後の1体をライトルの槍が貫いたところで生き残った魔法を使えるエルフ達も落ち着きを取り戻したようで、後方で銃を構えて前線の援護をしている集団めがけて魔法を放ち消し飛ばす。

 援護部隊がそれなりに減ると、やや押され気味だったのを均衡状態に持ち込むことに成功したようだ。

 回復薬を口にして体力が回復するのを待っているウチにも刻一刻と戦況は変わる。

 前線で指揮を取っていたドワーフが接近してきたエルフと打ち合いをし始め、その周囲にぽっかりと空間が出来上がった。


「この!ひょろっぽいもやしが生意気に剣なんぞ使ってるんじゃねえよ!」

「ずんぐりむっくりの筋肉ダルマめ!長年の(しがらみ)を今ここで切り裂いてくれる!」

「あ゛あ゛ん?OK、ミンチにしてやんよぉぉぉぉぉぉ!!」

「よし分かった森の栄養にしてやる!!」


 その空間の中ではお互い罵りあいながら武器を叩きつけ合い、命の削り合いを行っている。

 偶然知り合いらしく、過去に何かあったみたいだ。

 どちらかというとドワーフの方が押しており、エルフは防戦一方と言った感じ。だが、表情に諦めの色は無く、虎視眈々と隙をうかがい、反撃のチャンスを待っているみたいだな。


 ドワーフの持つ戦斧の一撃を捌ききれずに体勢を崩してしまうエルフに、チャンスとばかりに力を溜めたドワーフの首薙ぎが決まろうという瞬間、エルフの兵士は深い笑みを浮かべた。

 まるでそれを待っていたかのように。


 勝利を確信した顔をしていたドワーフの体から力が抜け、地面に崩れ落ちる。

 あっちのエルフは今何をしたんだ?

 麻痺にでもなっているのか地面に転がったまま痙攣しているドワーフに止めを刺すために剣を頭上高く掲げ振り下ろす。

 それがドワーフに当たる直前に、重々しい音で何かが噛み合うような音が聞こえた。

 全員金縛りに会ったかのように動かなくなり、視線だけで音源を捜す。

 重々しい音が収まったかと思うと、ギギギ、ギギギ、と固い物を擦り合わせたような音が辺りに響く。


 混乱するエルフ軍を尻目に、ドワーフ達は一目散に要塞内へと入っていく。

 その必死な姿が滑稽にすら映る。

 その姿をポカンと眺めているうちに、追い詰めて地面を転がっていたドワーフを含め全員が要塞内に入っていった次の瞬間、ゆっくりとだが要塞が動き始めた。


 ●●●


 徐々にウッドロックに向かっていく要塞を呆然と眺めるだけのエルフ達を置き去りにして要塞を追いかける。


「あ、おい」


 止めるような声が聞こえた気がするが、今にも閉まろうとしている扉を目指す。

 接近する俺に、銃口を向けて警戒をしていたドワーフが引き金を引く。

 やたらスローモーションになって見える視界の中、飛んでくる銃弾を大剣の腹で逸らすとさらに走る速度を上げる。

 扉の僅かな隙間に頭から体を滑り込ませ、ギリギリのところで要塞内に入り込む。

 まさか入り込めるとは思っていなかったのだろう。

 まだ近くにいたドワーフ達は半端に武器を構えた体勢で固まっている。

 そんな隙だらけのドワーフ達に武器を振りかぶって襲い掛かった。


 数分後には半分ぐらいのドワーフが死に戻りの光に包まれて消え、残りの大半が体のどこかが壁にめり込んで動きが取れない状態になっている。

 そんな中、一人のドワーフノ襟首を掴むと引き寄せ尋問を始めた。


「なあ、ここの扉の開閉スイッチがどこにあるか知らねえか?」

「誰が喋るか!」

「んじゃ別の奴に聞く事にするわ」


 そいつの顔面を床に叩きつけて埋めると、別の埋まっている奴の頭を引き抜いて同じ質問をする。

 大体5人ぐらいそれを繰り返すと、ようやく場所を聞き出すことに成功した。

 実際に動かして扉が開くことを確認し、そいつをさっくりと死に戻りさせた。


「さっさと入って来い。このままだとウッドロックが滅びるぞ!」


 一応走ってついてきていたエルフ達に声をかけると、ロープを取り出してまだ生きているドワーフ達を縛り上げ、外に放り投げていく。

 ゆっくりと後方に流れていくのを確認。

 転がって行くドワーフを起用に避けながら続々とエルフ達が乗り込んできた。


「各班ごとに分かれて動力源を探せ!連絡の手段を持つ者は常にこちらと繋げておけ。急げ!時間はあんまり無いぞ」

「「「了解しました!!」」」


 それぞれ5人ほどのグループになり通路に入っていく。

 ・・・あの人形女にあった瞬間に全滅しそうだな。

 まあ、あいつらは蘇生珠を持たされているはずだから死にはしないだろう。

 俺はもう少し情報が集まるまで休憩しよう。


 その場に座り込むと、大剣を抱えるようにして壁にもたれかかり休息を取る。

 休息をしなくてはいけないはずなのに、頭の中にはあの人形女とスタリブをどうするかばかりを考えている。

 あの人形女の速さは異常だろ。日ごろから特訓等をしてレベルを上げて得た速さと同じくらいの速度で動き回れるとは・・・。

 もしそれだけの強さを得ているなら今までの周回のどこかで噂ぐらい耳にしたはずだ。

 いや、あれは改造されたからか。

 それだとあっちの改造を施した人間の噂が流れるはず。

 なんせ生物を改造できるだけの知識を持っているのだから天才と言われている人物だろう。

 それなのに噂を一切聞かなかった・・・。

 まさか冒険者か?

 いや、それだとメリットがないだろ。


 思考の海に溺れている間にもエルフ達が情報を集め、纏め上げていっている。

 しばらくその状態が続いたのだと思う。

 急に肩を揺さぶられたため意識が浮上。

 顔を上げるとライトルの顔が視界に入る。


「・・・なんだ?」

「はい、実は問題が起こったようなので力をお借りしたいと思っておりまして。体調のほうは大丈夫ですか?」

「体調は大丈夫だ。話を聞かせてくれ」

「分かりました」


 話を聞くと、どうやら一部の部隊からの連絡が途絶えたらしく、余剰戦力をその地点に回したらしい。

 しかし、回した部隊からも連絡が途絶えたためそこに何かがあると判断。

 強力な罠か敵がいる可能性が高いので協力を要請してきたみたいだ。

 先に話を聞いてから受けるんだったと後悔している。


 十中八九人形女がいるんだろうな。

 捕らえられる前まで使っていたレベルの装備品が欲しい。


「それと、要塞内に行く前にメシュリカ様のところに顔を出して置いてください。渡したいものがあるそうです」

「・・・渡したいもの?」

「それは私にもさっぱりでして・・・」


 いったい何なんだ?

 しょうがない。行くとしよう。

 天幕に入っていくと、メシュリカは椅子に座って目を閉じていた。

 俺が入ったのを察したようでゆっくりと目を開く。


「メシュリカ。何のようだ?早く確認に行かなくちゃいけなかったんじゃなかったのか?」

「いえ、その前にあなたの装備をちゃんとしたものにしなくてはなりません。先刻要塞内に入ったときのものとは変わっていますので。アシュカと分かれた後に何かが起きたのでしょう?」

「・・・そうだな。このままじゃ心もとない。この中には恐ろしいほど強い奴がいるからな」

「やはりそうですか。では、これをあなたに」


 そう言うと、机の上に置かれていた木箱を開き、中にあった剣を両手で差し出してきた。

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