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最強は自我を持つNPC?  作者: 現実↓逃避
第2章 種族間の問題と移動要塞
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防衛七十三回目

 とりあえずMPの残量が1割になるまで氷柱を作り続けよう、あわよくば天井との間に挟まって潰れてくれることを祈る。

 氷柱を作るのを止めると、設置されているベッドからシーツをはがすと細く割く。

 それを寄り合わせて簡単なロープを作ると、こっちをこうしてこっちを繋げて・・・。

 氷柱が向こう側からどんどん削られるプレッシャーを感じながらも、作業を続ける。

 よし、後はこっちを通してやれば完成だ!。さあ、いつでもかかって来い。

 準備万端で待機状態に移行した僕の耳には、いまだ氷を砕く破砕音が聞こえてきているが、いまだに突破する様子は伺えない。氷だから残りの氷柱が少なくなるにつれて姿が見えるはずなんだけど・・・。まだ見えないのはなんでじゃ。おかしいなもっと簡単に突破できるものとばかり思い込んでたんだけどな。思っていた以上に作りすぎてたみたいだね。

 準備を完璧に終わらせてしまった所為で僕はこの場から動けない。

 全部投げ出して逃げ出そうにも、出入り口側は自分自身で封じる以前に、ドワーフのお二方が立ちふさがってるから抜けようがない。

 そうだ!魔法の準備を・・・両手が塞がってて出来ない!

 マドイさんは大丈夫かな?いや、まだHPが残ってるみたいだし大丈夫だよね?状態異常もついてないみたいだし。

 他にもケイや姉さんのHPも確認している間にようやくうっすらとドワーフ達の姿が見えてきた。

 よし、後はタイミングを計るだけだ。

 姿を確認できてからすぐに、僕達とドワーフ達を遮る最後の氷柱が破られた。

 息を切らしつつも武器を振りかぶり、飛び掛ってくる。

 もうすぐで大剣が斧の一撃が僕に到達するというところで、手に握っていたロープを思いっきり引っ張る。

 仕掛けてあったロープが急速に絞まり、二人の足を拘束するとそのまま逆さまにして吊るしてしまった。

 手にしたロープをベッドに結わい付けて固定すると、桜の杖で相手の武器を持つ手を執拗に攻撃して武器を取り落とさせる。

 決してスリムとはいえないドワーフの男性のずんぐりむっくりな体系では、逆さまになった状態で自分の足を拘束するロープを解けるはずも無く、必死に解こうとするさまが逆に滑稽に見えてくるレベルである。


「くそ、降ろせ!降ろせえぇぇぇぇぇ!」

「・・・早く殺せ」

「ふう、うまくいった」


 見事に2人捕らえることに成功した。さて、いろいろお話できればいいな。確かトラップで色々と通路が変わるんだったね。その辺のことが書かれた地図とか・・・持ってないって言ってたね。それの保管場所でも教えてもらおうかな。


「いろいろ聞きたいんだけどいいかな?」

「答えると思ってんのか!」

「意地でも答えてもらいたいんだけど」

「答えねえよ」


 ですよねー。

 んじゃ、マドイさん。やっておしまいなさい!


 僕の心の声が聞こえたわけではないのだろうが、タイミングよくマドイさんの放った矢が、斧を持っていたドワーフの頭を射抜いた。

 続いて、驚愕の表情をしている大剣のドワーフの肩を射抜いた。


「こんなかんじ?」

「あれ?僕が指示したことになったの?これ」

「違った?」

「いやいや、あれでぜんぜんOK。否定する要素なんて何も無いよ」

「・・・そう」


 あんなの反則じゃないか!

 正直言いたいことはあったけど、あの少し不安そうな雰囲気をかもし出していたマドイさんを見たら全部吹っ飛んだ。アレは本当に反則だと思う。こら、そこのドワーフ、何顔を赤くしえるんだ!


「聞いていい?」

「はい喜んで」

「ありがとう」


 やっぱり可愛いには勝てないよねドワーフさん。一瞬目が合った僕達は、いまこの瞬間だけは心が通った気がした。





 ドワーフの兄ちゃんから聞いた情報を纏めると、根本的に罠で通路が変わるというのは嘘らしい。

 当初はその機能も入れようとしていたみたいだけど、空間など、問題が山積み過ぎて諦めたみたいだ。ってそんな情報要らないよ!もっと別の役立つ情報を。

 他にも色々聞いたけど、どうにも核心に触れられないように回答で誘導しているような・・・。


「最後に、これを動かしてる動力源はどこ?」

「・・・いくら天使様の言うことでもこれは教えられません」

「ダメ?」

「・・・ダメです」


 おいおいドワーフさんよ。いくらなんでも血の涙を流したくなる気持ちは分かるけど、マドイさんを天使と呼ぶことも否定はしない!だが凄い恥ずかしそうにしているじゃないか!今すぐその呼び方をやめろ!てか呼ぶんだったら心の中だけにしてあげて!


「残念」

「申し訳ない」

「それじゃあ、ごめんね」

「は?」


 これ以上情報を引き出せないと判断したマドイさんの行動は迅速で、ためらいが一切感じられなかった。

 本当に申し訳なさそうに俯いているドワーフに向けて弓を引くと謝罪をして、上げた顔が呆けたものになっている額に矢を放った。

 ドワーフは何が起きたのか分からず、間抜けな声を上げるた直後には体を粒子に変えながら消えていった。

 あれ?マドイさんってこんなことしたっけ?


「あれ?マドイさんってこんなに容赦なかったっけ?」

「ユイシロさんが、敵対者には容赦するなって・・・」

「姉さんのバカぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 あの人はなんてことをしてくれたんだ!マドイさんが姉さんみたいになるなんて絶対嫌だよ!そのうち敵対者のルビが中山勇人(なかやまはやと)に変わるんだよ。

 もうマドイさんが姉さんの悪影響を受けないようにしないと。


「・・・ゲームでもちょっといい気分はしない」


 神はまだ見捨てていなかった。

 マドイさんの良心はまだしっかりと生き残っているみたいだ。そうだ!姉さんなんかに負けちゃダメだ。

 と、そろそろここから移動しておこう。どこかで音を聞いた人がこっちにこないとも限らないし。

 脱出するのが最上かな。

 道が分からないんだけどね。

 部屋から出ると、偶然なのか故意的なのか分からないけど、通路を歩いているドワーフとばっちり目が合ってしまった。

 僕は笑みを浮かべて軽く会釈すると何事も無かったかのようにすれ違う。

 なんてことが出来るわけも無く、氷柱を生み出しながらネズミのように逃げている。

 氷柱が壊されるたびにマドイさんが矢を放ってけん制。

 その後すぐに相手の足元と目の前に氷柱を出すことを繰り返し行う。

 しかし、この方法を用いても相手を振り切ることが出来ない。

 さっきの2人の破壊スピードを参考にしたつもりだったけど、明らかにそれを上回る速度で破壊して追いかけてきている。

 これじゃあ逃げられないんじゃないかな。そろそろ僕のMPも限界を向かえそうだよ。


「ヤマト君。MPは後どれぐらい?」

「この逃げ方だと後3回でMPがなくなるかな。あの氷柱がもう少し長く持ってくれれば4回も出来るだろうけどね」

「・・・ダメもとで反撃する?」

「逃げることは難しそうだしね。やけくそでやってみようか」

「ん」


 足を止め反転すると、敵が氷柱を破壊するのを待つ。

 僕の残りMPじゃあ、アイスショックを使うことは出来そうにない。せいぜいアイシクルスピンジャベリンを10発ほど叩き込めるか叩き込めないかといった程度だ。

 これだけの手札で効率よく相手にダメージを与える方法は・・・。


 考えが纏まらないうちに氷柱は破壊され、氷のかけらが消えながら散っている中を1人のドワーフが飛び出してきた。

 まだ氷のかけらが視界を塞いでいるタイミングで放たれたマドイさんの矢は、手にしていた剣ではじかれてしまう。

 形状的にアレはエストックっていうんだっけ?

 続いて放たれた2射目は、剣先を(やじり)に当ててそっと逸らす事で回避をする。こいつむちゃくちゃすぎやしない?

 2射目を逸らされたタイミングでアイシクルスピンジャベリンを撃ち込む。

 この完璧なタイミング。避けられることは無いはずだ。

 しかし、僕の当てにならない予想をしてしまった所為なのか、跳躍すると壁に足をつけてもう一度跳躍。今度は天井に着地すると僕たちめがけて一気に突っ込んできた。

 マドイさんが放った苦し紛れの矢は、相手の頬をかすめはしたもののシッカリとしたダメージを与えるほどではなく、胴体に一突き、続いて肩と足にエストックを突きこまれ、止めとばかりに倒れるマドイさんの喉にエストックが突き刺さった。

 マドイさんは死に戻りの光に包まれて消えていく。

 僅か数秒でマドイさんが死に戻ったことを認識すると、ダメもとでMPを全部使い切って、逃げ場の無いように、複数の氷柱を相手の足元から一気に飛び出させた。

 天井に勢いよく激突し、その激しい振動でその場に尻餅をつく。


「・・・やったか?」


 呟いた瞬間に氷柱が破壊され、その中から細長い何かが僕に高速で近づいてきた。

 それを認識した瞬間に視界が真っ白に染まり、視界に色が戻ってきたときにはウッドロックの町の転移石のすぐ傍で座り込んでいた。

 このゲームではすでに何度も経験している死に戻りをしたのだと気がついたのは、先に死に戻りしていたマドイさんが、何かを口に運んで、モソモソと租借しているのが視界に入ったからだった。


 てか、何食べてるのさ!おいしそうだから僕も欲しい!

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