防衛六十六回目
突然の頭痛に襲われていました。
最近文章量が減っているのには何か対策をせねば・・・。
移動要塞って言うのかな。今僕の目の前でゆっくりと移動している巨大な建造物があるんだけど、それに向かって姉さんが単騎で突貫して行ってしまいました。僕はどうするべきでしょうか。
イベント開始間近、メタルガドでクエストを終わらせ、その他の必要なことを済ませたタイミングで地震が発生。震源地に行ったドワーフの部隊が一人たりとも戻ってこなかったので、何があったのかを確かめるクエストが出た。これもイベント関係かと判断した僕達もそのクエストを受けた。
その結果が現在のこの状況である。
ケイは銃で頭を撃ちぬかれて死に戻り、それにブチ切れた姉さんが単騎特攻。マドイさんと僕は岩陰に身を伏せて要塞を観察している。
あ、姉さんのHPが0になった。
よし、なんで戻ってこなかったかも分かったし、帰ろう。
「よし、メタルガドに戻ろうか」
「ダメ」
「えっと、なんで?」
「情報不足」
他に何かあったっけ?あったにしてもどうやって探ればいいんだろうか。
「何をすればいいか分からないんだけど」
「内部探索」
「じゃあすぐに行こう」
「ダメ」
再び待ったがかけられてしまう。このままの体勢だといろいろとまずいんだ!
岩陰に隠れていると言ったな。岩のサイズか小さいから必然的に体が密着する。
分かるかね?さらに今はマドイさんが覆いかぶさってくる形である。僕の理性がオーバーヒートしそうです。はい。
「今行ってもすぐにやられる」
「じゃあ、もう少し体勢をですね」
「ダメ、バレる」
はい、またしばらく理性との戦いになります。嬉しいんだけど、僕がこんな嬉しい目に合っていると、必ずそれ以上のマイナスが訪れる気がするんだ。だから、体勢を、体勢を見直してくださいマドイさん!!
「行こう」
思考回路が、女の子っていいにおいするんだーとか、柔らかいとか、危険な方向に侵略された頃に、ようやくマドイさんからのゴーサインが出た。
頭に残る煩悩を追い払うと、差し出された手を握って起こしてもらう。
VRでよかった。リアルだったら絶対に立ち上がれない。
「顔赤い」
「き、気のせいじゃないかな?」
「・・・怒ってる?」
無表情ながらも、とても不安そうな空気をかもし出しながら聞いてきた。別に怒ってるわけじゃないんだけど・・・。
「お、怒ってないよ?ただちょっと思うところがあってね」
「・・・」
うん、悲しそうな顔をされても、本当のことを言うわけにもいかない僕の心境を察してください!本当のことを言ってしまうおうかな。
「あのですね。怒らずに聞いてくれますか?」
「ん」
肯定も得られたことだし、洗いざらい全部ぶちまけてしまった。
結果、表情があんまりでないはずなのに、すごい勢いで顔を真っ赤にしたかと思うと、目を合わせてくれなくなりました。心がとても痛いです。
「私が中の探索。ヤマト君は魔法で注意を集めて」
「うん。分かった」
僕はマドイさん発案の作戦に、反論することなく静かに頷いた。
うん、心配だな。ゲームだから死ぬことは無いって分かってるんだけど、一人にするのがすごい心配。
「それじゃあ、また後で」
そう一言告げると、素早く接近して行ってしまった。
んじゃ、僕もやるべきことをやってしまおう。
とにかく近くまで行かなきゃ話しにならない、幸い、森に差し掛かっているみたいだし、バレずに近づくことが出来そうだ。
すぐ目の前まで来ると、その大きさが際立って見える。
大きすぎないコレ?
まあ、とにかく試しに魔法を使ってみよう。注目を集めて時間を稼げばいいんだだけなんだから。
グレードの高い触媒を手に入れたので、魔法の方は一新して、より使いやすく、火力の出るものに変更した。まあ、それでも最高がCランクのものなんだけどね。
「よし、やるぞ、『アイシクルボム』」
魔法を使うと、杖の先からこぶし大の球状の氷の塊が山形に飛び出す。それは脳裏に描いた理想どおりの弧を描くと、建造物に当たってハジけた。
轟音が響き、一瞬視界が青白い光で遮られてしまう。
これだけの破壊力なら穴ぐらい余裕で開くでしょ。しかも無駄を省きに省いた改良型!なんとMPは4分の1しか使わない魔法なんだ。
光が収まり、爆心地を抑えられない笑みの浮かんだ顔で確認した。
え?何でなん?なんでなんや?
すでに僕の顔に笑みは浮かんでいない。
壊したはずの壁は傷一つついておらず、本当にあれほどの爆発を受けたのかどうか分からないぐらいである。
「くそ、じゃあ貫通性能の高い魔法で、『アイシクルスピンジャベリン』」
氷で出来た槍がすさまじい勢いで回転しながら要塞めがけて飛んでいく。だが、それらは壁に当たる直前にパキンと甲高い音を響かせながら砕けて消えていった。
「・・・まさか魔法が効かない?今回本格的に魔法職を殺しにかかってない!?これじゃあ僕は完全に役立たずっ!?」
発砲音が複数鳴ったかと思うと、意識が暗転し、戻ったときにはメタルガドの町、転移石の近くに立っていた。あの一瞬で殺されてしまったみたいだ。
周囲に視線を向けると、申し訳なさそうな雰囲気をかもし出したマドイさんと、ブスッとした表情のケイ、幽霊のようにケイの背後に立ってだらしない顔をしている姉さんを確認することが出来た。
向こうも僕のことに気が付いたみたいだ、ケイが手を振りながら歩いてくる。
「よし、何が起こったかは後で聞くとして、クエストの報告行こうぜ。確か死に戻りしても報酬はある程度もらえたとはずだ」
「う、うん」
「?どうした?」
ケイの背後にピッタリと姉さんがついて来てるんだよ!めっちゃ怖い。
それに気が付いているのかいないのか・・・。
いや、きっと気がついてるな。気がついててあえて無視しているか、この状況にすでに慣れてしまったか。
「そういえばマドイさん先に死に戻りしてたの?」
「ん、侵入する前に撃たれた」
「で?その間お前は何してたんだ」
「要塞めがけて魔法使ってたんだけど、全く効かなかったんだよね。寸前で全部弾かれて消えちゃった。たぶん魔法を無効化したりする魔法がかけられてると思うんだ」
「確かウッドロックってエルフがメインで住んでるんだよな?魔法をメインで使う種族だったはずだから、それはエルフ対策じゃないか?」
きっとそうだろうね。マドイさんも首を縦に振ることで肯定している。だとすると今回の防衛戦はずいぶんと大変そうだね。いや、簡単な防衛戦なんてないんだけどさ。
ん?なんか姉さんが似合わない難しい表情をしているんだけど、何だろう。
「姉さん、なんか難しい顔してるけど、どうかしたの?」
「どうしても分からないことがあるのよね。何で魔法を封じるのに魔法を使ってるのかしら?矛盾してない?」
「・・・姉さん。これはゲームだよ。その上でファンタジーなんだ。だからそういった事につっこんじゃダメだよ」
「納得できないわね。この依頼を持ち込んだ奴に聞いてみましょう」
「それは別に構わないんじゃないか?向こうが知っているかどうかは知らないけどな」
「エルフの方が知っている可能性高い」
マドイさんも思ったことを言ったみたいだけど、ケイからの賛同を得ることが出来た姉さんは何も聞いていなかった。
少し肩を落としていたので、報告に行く間に期限を直すようになだめ続けるハメになった。姉さんに話しかけられ続けているケイは、代わってくれという目線を投げかけてくるが、無視した。
「ごくろうさま。それでどうだった?」
「はい、彼らが調査に行ったところには、ゆっくりと移動している巨大な建造物がありました」
「・・・皆逝ってしまったのか」
「おそらく。後、魔法が効かなかったのですが、何か分かりませんか」
「魔法が効かないと・・・すまないが分からないな。それよかこれから忙しくなりそうだから、報酬は部下に渡すように言っておいた。帰る前に話しかければ渡すはずだ」
話はこれで終わりとばかりに手をヒラヒラと振って奥の扉を潜って行ってしまった。
それじゃあ報酬を受け取ったらこの後どうするかを相談して昼ごはん食べるためにログアウトしようかな。
「この後どうする?明日にはイベントが始まるだろうから昼ごはん食べた後にウッドロックに移動をしたいんだけど」
「そうだな。確か着くのが遅いと門が閉まっちゃうんだよな?」
「ん。そう」
「じゃあ、午後2時頃に転移石のある広場に集合しようぜ」
否定する人がいるはずもなく、満場一致で賛成だ。
それぞれが昼ごはんを食べるためにログアウトしていく。もちろん僕もだ。
今日の昼ごはんはなんだろな~。
お楽しみいただけたでしょうか?




