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最強は自我を持つNPC?  作者: 現実↓逃避
第2章 種族間の問題と移動要塞
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防衛六十四回目

今回も短いです。

 要塞内に足音を忍ばせ、周囲の警戒を怠らずに通路をゆっくり進んでいくと、いくつかの扉を発見した。

 手ごろに一番近い扉を開けて中に入ると、そこは正方形の部屋で、奥の壁は透明なガラスのようなもので出来ており、その向こうには巨大な歯車が噛み合い、小さな歯車を回しているのが見える。

 これが動力源か?

 そう判断すると、剣をガラスのようなところに叩きつけた。

 しかし、叩きつけた剣は弾かれてしまう。

 ・・・ガラスの分際で。

 ムカッ腹が立ったから、次は大剣に装備を取替えて全力で壊そうとする。

 だが、大剣は半ばからへし折れ、砕けて消えていってしまった。

 どんだけ硬いんだよこいつは!!


 壊すことを諦めて通路に戻ろうしたが、耳に誰かが走る音が届く。

 これは敵の増援かな?

 僅かに扉を開けて様子を伺うと、10人を超えるドワーフ達が裏口のほうへと走っていっているところであった。

 観察していると、一番後ろを付いて行っている奴が少し遅れている。まだ髭の生えていない年若いドワーフだ。

 そいつが目の前を通るとき襟首を掴んで部屋の中に引きずり込んだ。


「何だ!?え?ふぁっ!?」

「少し静かにしようか。じゃないと、殺すぞ」


 首筋に投擲用のナイフをあてがい、いつでも掻き切れるようにする。


「・・・」

「よし、お前は俺の質問だけに答えろ」

「へ、誰が答えるかよ。殺すなら殺せよ」


 強がりでもなんでもなく、心のそこからそう思っているのだろうか?ちょっと試してみるか。

 口に適当な布を詰め込むと、投げナイフを取り出しては足に突き刺していく。突き刺すたびにくぐもった声を上げるのを完全に無視して、オマケとばかりにもう数本突き刺す。


「話す気になったか?」

「ぐうう・・・誰が話すかよ」

「・・・そうか。これ以上時間かけてられないな」


 こいつはたぶん何されても吐かない。いや、死に対して一切の恐怖を感じていないみたいだ。

 首筋に剣を走らせ、首を深々と切り裂いてHPを全部無くす。

 よし、移動しよう。もしかしたら新しい何かを発見できるかもしれない。それに、この動力源を点検するための出入り口とかも探せばあるかもしれない。

 消えていくドワーフを後に、部屋を立ち去った。



「侵入者はそう遠く行ってないはずだ!こっちを早く片付けて表の加勢をしに行くぞ!」

「相手はおそらく1人か2人だ!必ず4人以上の集団で行動しろ!この辺は隠れるところが多いから不意打ちには注意せよ!」

「侵入者の中の一人は金髪でガラが悪い奴だそうだ!ぶっちゃけ悪魔だそうだ」


 ・・・なぜバレた。

 表の奴は一人たりとも逃がさなかったし、お話を聞いたやつもしっかり始末したはずだ。

 なのに何で俺の容姿まで知られてんだよ!!

 確かに見張りが交代の時に戻ってこなきゃ怪しむかもしれないが、俺の容姿とかまで伝わるはずがないだろうが!!

 ゴミを一箇所に纏めるための縦穴に身を潜めながら、内心ではそんなことを絶叫しながら叫んでいる。

 なんでゴミを捨てるための穴か分かったかって?

 上から大量のゴミが降ってきたんだよ!!

 チクショウ。なんでこんな目に・・・。


「こんなところにいるわけ無いだろ?だってここダストシュートだぜ」

「侵入者はそれを知らないかもしれないじゃないか」

「ないない。だって空けるだけで匂いが漂ってくるじゃねえか。ほれ、早く閉めろ」

「あ、ああ。いや、先に行っててくれ。もう少し調べたい」

「・・・気をつけろよ、奴らは2人で十数人を蹴散らしたらしいからな」

「わかってるよ」


 扉が開閉される音が一回響き、残った足音は一つ。でるなら今しかないか?

 ここに飛び込んだ際に使った蓋へと這い登って行きいつでも出られるようにスタンバイしていると、いきなり蓋が開けられた。

 ・・・一瞬が永遠のように感じられる見つめ合いの中、先に現実に戻ってきたのは俺のほうだ。

 足のみで体を支え、いまだ呆けている相手の口を塞ぎ、服を掴むとダストシュートの中に引きずり込んで首をへし折り、手早くHPを0にする。

 ・・・これで誰もいなくなったはずだよな?

 こっそりとダストシュートの中から這い出て一息つく。


「おーい。時間かけすぎじゃ・・・ね?」

「・・・こんにちは」

「こんにちは・・・」

「それじゃあ俺はここで。またどこかで会いましょう」

「おう、分かった」


 精一杯笑顔を振りまきながらその部屋から出て行く。

 しかし、部屋から出る前に正気に戻られてしまった。


「いたぞ!金髪だ!!」

「チクショウ!先手必勝で気絶させときゃよかった!」


 一時の気の迷いで行った行動を後悔しながら逃走していると、先ほどの声が聞こえたのだろう、あっちこっちから怒号とおおきな足音が接近してきているのが分かる。

 こうなったら隠密とか関係ねえ!とことん全力で蹴散らして切り開く!!


「うぉぉぉぉぉぉ!!クソが、やってやんよ!」


 もう隠れる意味がまったくないから大きな声を張り上げ、自分の居場所を示しながら通路を全力で駆け抜ける。

 出てくる敵は避けるか、攻撃を加えて怯ませてその隙にさっさと先に進む。

 意地でも生き残ってやる!最低でも、動力部を壊せなくてもあの地図より詳しい情報を持ち帰ることが出来ればいいんだ!


 階段を駆け上がってみた光景は、俺の脳裏には動力を壊す云々の前に生き残れるかどうかを真剣に考えなければいけなくなる光景であった。

 通路を埋め尽くすほどのドワーフが居並び、敵意を全開にした視線で睨んできてんだもんよ。

 迷わずUターンしようと振り返ると、続々と集まってきているドワーフ達。


「団体様でいらっしゃって何のご用でしょうか」

「・・・撃て」

「ええ分かっていましたとも!!」


 流れ出そうになる涙を必死にこらえながら踵を返すと、元来た道を全力で戻る。

 道を遮るドワーフは切り伏せ、撃ち込まれる弾を避け、大人数で通路を塞がれればそいつらを足場にして、決して足を止めずに動かし続ける。

 そうだ、銃を撃つために使われていた窓から脱出すればいいんだ!

 なんでこんな簡単なことに気が付かなかったんだ!俺はバカなのか?

 まあ、とてもじゃないが人間が通れるサイズじゃないんだけどな!

 ちょっと現実逃避しただけだよ。


「なぜこれだけの人数がいてたった一人を殺せないんだ!!」

「指揮官はてめえか!!」


 投げナイフを不意打ち気味に何本か投擲する。

 しかし、指揮官には防がれてしまう。

 外れたものは他の奴にダメージを与えることはできたが、致命傷とは程遠いぐらいだ。

 と、このままここでモタモタしてたら囲まれて袋叩きにされるかもしれん。

 敵の殲滅をあきらめ、脱出するのに全力を注ぐことにした。


「止めろ!何を見られているか分からんぞ」

「なんも見てないから見逃してくれ」

「そんなたわごと誰が信じると思っている!!」


 見逃してくれる気はまるで無いらしい。

 まあ、当然だよな。


 ●●●


 来た道をちゃんと走って戻ってきたはずだ。

 なのに、何で袋小路で追い詰められてんの?

 背後には敵がズラッと並び、今にも襲い掛かってきそうだ。


「ハッハッハ!ついに追い詰めたぞこの悪魔が!」

「誰が悪魔だ!」

「我々の同胞を不意打ちで殺し!拷問まがいのことをしてまで情報を聞き出そうとしたではないか」

「・・・なんで当事者しか知らないようなことをお前が知っているんだ」

「そりゃあ当事者に聞いたからだよ」


 ・・・こいつは何を言っている?確かに俺はあいつらを殺したはずだ。ちゃんと消えるところも見た。

 困惑の表情を隠さずにいると、自慢げな顔をした指揮官が口を開く。


「そうだな。貴様も気になるだろう。冥土の土産に秘密を教えてやろう」

「・・・よろしいのですか?」

「なあに、構わんさ。いくら強くてもこっちはコレだけの人数がいる上に、あいつは逃げることも出来ない袋小路にいる。仮に冒険者で死に戻りしたとしても、あの頭の硬い森猿の集団には到底聞き入れられない内容だ」

「それもそうですね」

「ハッ、お前らを全滅して逃げ延びるかも知れねえぜ」


 虚勢でも強がってなきゃ絶望感で押しつぶされてしまいそうになる。

 指揮官は嫌な笑みを浮かべ、この情報を聞いても同じように強がっていられるかな。と言うと、自信たっぷりのまましゃべり続ける。


「我々ドワーフにはこの世界の神様の加護が与えられたのだ!」


 神様・・・ねえ。信憑性が全くねえな。


「ふん。お前のその顔を見れば信じていないのが分かる。が、こいつを見ても同じことが言えるかな」


 指揮官が立っていた場所から横に移動すると、陰になって見えなかったドワーフの姿が確認できた。

 先ほど首をナイフで掻き切った年若いドワーフであった。

いつもこんな駄文を読んでくださりありがとうございます。

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