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最強は自我を持つNPC?  作者: 現実↓逃避
第2章 種族間の問題と移動要塞
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防衛六十回目

「・・・対策を考えたいと思います」


 頭に手を当て、疲れたような声色で集まっているエルフの重鎮たちに意見を聞く。


「まずは、警備隊隊長、攻撃してみた時の感触はどうしたか?」

「はい、魔法がほとんど効いている様子は無く、どうやら壁面に当たる直前に散らされているようです。その上、壁に開いた窓から銃で攻撃をしてくるので近づくことすら容易ではないかと・・・」

「ありがとう。じゃあこれを踏まえて対策を立てていきましょう」


 メシュリカがそう言うも、有効な案が出てこないのかシーンと静まり返る会議場。

 しばらく時間が経過するが、いまだに案が出てこない。

 仕方が無いので、適当な案をメシュリカが言おうとすると、先ほど報告をしてきた警備隊体長が挙手をしていた。


「何か案がでたのかしら?」

「はい、最近この町に冒険者の方たちが集まっているみたいなんです。そうですよね?ギルド長」


 ギルド長と呼ばれた男は頷くと、無言で続きを話すように促す。


「それで、冒険者の方々を防衛に使うというのはどうでしょうか」

「ふざけるな!コレは我々エルフの問題だ!そこに部外者の冒険者などを使ってられるか!」

「そうだ、あの環境破壊の土臭い奴らに鉄槌を下すのは我々だ!」

「なんてことを言う奴だ!すぐに貴様を今の地位から解任してもいいのだぞ!」


 口々に体長を罵り始める。


「じゃあ俺はこの場から立ち去るとしよう。今回のイベントには残念だがうちの団員は出せない」


 ギルド長がそう告げると席を立って退室しようとする。


「待ちたまえ、貴殿らはこの町を守るためのギルドだろう。そのためにこの場にも招待しているのだから」

「冒険者は使わないんだろ。だったら俺たちが介入することは出来ないな」

「静かにせい!!」


 メシュリカの一括で黙り込む一同。ギルド長は鼻を鳴らすと席に戻って着席する。


「今はエルフの誇りとか言っている場合じゃないでしょ!このウッドロック存亡の危機です。借りられる手があるのならば借りるべきなのです。協力してくれる人間の手を跳ね除けて町が滅びるなんて、笑えない冗談ですね」

「しかし!」

「しかしじゃありません!この町が滅ぶさまをまざまざと見せ付けられるのなんて、私は嫌です。耐えられませんよ。あなた方はそれでもいいとおっしゃるんですか」

「・・・それは」

「冒険者と手を組んだ時の有効性は実際に経験しているウェイルズさんに話を聞けば分かると思います」


 いきなり話を振られてしまったんだが・・・。まあ、思っていることを全部話すか。


「領主様から紹介らしきものをされたウェイルズだ。ハッきり言うと俺は冒険者連中が大嫌いだ。俺たちが必死に町を守っているのも奴らから見れば、ゲームだなんだ言っているあいつらとは到底相容れねえ存在だ。だが、あいつらの手を借りなきゃ守りきれないのも確かなんだ。だから守りたいものを守るときは私情は全部捨てるしかないんだよ」

「へえ、NPCの考え方はこうなってんのか。だが、相容れねえとか散々言われて助ける気が起きると思ってるのか?」

「お前ら冒険者は防衛線が終わるとこれ見よがしに新しい武器や道具を見せびらかしている奴らがいるが、それを見る限りじゃ何かしらのメリットがあるはずだ。お前ら冒険者がイベントとか言う今回の防衛戦。きっとすごいうま味があるんだろうな」

「・・・NPCなのによく分かってるじゃないか。まるで中にプレイヤーが入ってるみたいだ」

「お前らと一緒にするな・・・と、すまない。話が逸れたな。私情を挟まずに言えば冒険者と組むのは賛成だ。戦力的には優秀だぞ」


 俺はそこまで言うと口を閉ざし、メシュリカに話の舵をさせる。

 そんな俺を面白そうな顔でギルド長が見てくるがそれも無視無視。


「メリットしかありませんね。むしろ多大な貢献をしてくれた方に報酬を払うのもありかもしれませんね」

「メシュリカ様!?」

「考え直してください!そこの男も冒険者は気に食わないといっているじゃないですか」

「私情は抜きにすれば優秀な戦力になるらしいじゃない」

「ですが・・・」

「これは決定事項です。それともあなたは前線に出て、その身を張ってまでドワーフたちの侵攻を食い止める覚悟は?それで守りきれる自身は?あの要塞じみた建造物を破壊できるのですか?」


 矢継ぎ早に繰り出される質問に、最初は言い返そうとしていた男はだんだんと言葉をなくし、最後には俯いてしまった。


「反論はありませんね?」

「・・・はい」

「他に反対意見などがある方は具体的な案を出してくださいね」


 力なく返答した男はゆっくりと手を挙げた。


「あら?まだ何かあるの?」

「今度は反対意見ではありません、防衛戦の際に私を最前線で戦わせていただきたいのです」

「・・・どういう心境の変化かしら?」

「冒険者の力を借りることにはもはや反対いたしません。確かに我々だけの力ではあの建造物は壊せない。ですが、雇われたばかりの冒険者は信用できません。だから私が最前線で監視をするのです」

「あなたの言い分は分かりました許可はしますが、あなたはこの町に必要な人材です。死ぬことも大怪我をすることも許しません。これが条件です」

「分かりました」


 深々と頭を下げたエルフの男は、準備をしてきます。というと、会議室から出て行った。

 俺もそれに便乗して部屋から出ることにする。


「ウェイルズさん?」

「領主様。私も準備がありますので。これにて失礼させていただきます」

「そうね。あなたの知り合いの冒険者の方にも声をかけてくださりますか?」

「・・・都合よく会えるか分からんが、覚えていたら」

「ウェイルズ殿。貴殿はちょっと無礼ではないか?」


 立ち去ろうとする俺の背に、そんな言葉を投げかけてくるエルフの爺さん。

 慌てて止めようとするメシュリカを手で制すると、


「残念ながら俺はよそ者でな、この町の礼儀とか知らないんだよ。別に領主様本人から言われた訳じゃないから大丈夫だろ。それとも何か?お前は外から来た奴ら全員にお前の思っている礼儀とやらを強制するのか?郷に入れば郷に従えとはあるが、それで誰かが困っているのか?」

「わが町の領主様の威信に関わる。それで他の町のこの町の町民に軽く見られてしまったらどうする気だ!!」

「その程度で軽く見られるとか、元から信用されて無いだけじゃねえの」

「貴様!!」


 ガタンと大きな音を立てて椅子を倒しながら立ち上がった爺さんが魔法を唱えて攻撃してきた。

 左右から四角い木の塊が俺を押しつぶそうとしてくるが、前に一歩出ることでその範囲外へと逃れる。


「いい加減にしなさい!!これ以上客人に向かっての攻撃は許しませんよ!」


 メシュリカが止めようと声を張り上げるが、頭に血が上っている相手には聞こえていないようで、次々と魔法を唱え、攻撃してくる。

 俺はそれを回避しているからいいが、周囲の、戦闘向けの役職についていないものはそうもいかず、巻き添えを食らって次々と怪我をしていく。


「いいのか?味方を巻き込んでるぞ。このままだと領主様に当たっちまうかもな!」

「貴様が避けるからだ!」

「お前バカなの?これから攻撃魔法をあなたに当てますって言って攻撃してくるのに、それにわざわざ当たってやる必要は無いだろ」

「この!!」


 さらに強力な、魔法を唱えようとしているのか詠唱をし始めた。


「待て!その魔法は!俺たち全員を巻き込む気か」

「あーこりゃ聞いてねえな。俺は死に戻りするだけだが、お前らは逃げたほうがいいんじゃね」

「メシュリカ様!お逃げください!」


 ギルド長は適当に、他のものは慌ててメシュリカを逃がそうとする。


「なあ、頭に血が上りすぎじゃね?お前の大事な領主様が巻き込まれちまうよ?」

「お前のその無礼な態度を正さない限りこの魔法を留める気は無い!うぬぅ!?」


 魔法が今まさに発動するかというところで爺さんの体が氷付けになった。


「・・・片付けなさい」


 冷淡な声でそうメシュリカがそう言うと、エルフたちは慣れた感じで氷付けの爺さんを運ぶ。


「あれ生きてんの」

「しばらくすれば復活するでしょう。ドワーフとの会談の度に氷付けにしてますので」


 なんであの人主要メンバーに選ばれてんの?


「凝り固まった思考を持っているという点以外では非常に有能な方なんですが・・・」


 きっと俺の顔に出ていたのだろう。目を伏せながらそんなことを言うメシュリカに呆れた視線を向けると、今度こそ会議室から出て行く。

 久々にアリシアに会ってこよう。もしかしたらやさしく癒してくれるかもしれない。



 武器防具の補修を頼むと、アリシアが泊まっている宿の食堂で合流を果たし、このウッドロックが危なくなることを伝えた。


「じゃあウェイルズはエルフの人たちと一緒に戦うの?」

「そのつもりだぜ」

「大丈夫なの?」

「当たり前だ。俺が今まで一度でも危ない目にあったことあるか?」

「心当たりがありすぎて困るレベルかしら」


 確かにこの前の防衛戦でも危ないところを何度か見せちゃってるから信用ないのかな。


「この前は確かにちょっとアレだったけど」

「それ以外にもあったじゃない」

「・・・?そんなことあったか?」


 確かに前の周回では無様なところを何度か見せちまったが・・・それのことじゃねえよな?


「子供のころ火遊びして大火傷を負ったくせに」

「・・・ああ、それのことか」

「それ以外あったかしら?まさか、別のところで危ない目にあい続けてるとかじゃないわよね」


 心配そうな顔を見せるアリシアの目の前で両手を思いっきり打ちつける。

 パンッと音が鳴って、思わず目を瞑るアリシアに、


「いいか、俺はそう簡単にやられる気は無い。俺が死んだら誰がお前を守るんだ?」

「自警団化冒険者?」

「・・・」

「冗談よ。ちゃんと分かっているわ。それに、あなたがやられるところなんて想像できないもの」

「・・・」

「そんなにへそ曲げないでよ。今回も守ってくれるんでしょ?」

「今度は勝手に外に出るなよ。危ないから」

「分かったわ。だからそんなに睨まないでよ。ちょっと怖いわよ。ほら、笑顔笑顔」


 ・・・そんなに険しい顔をしてたのか?


「それで、私はどれぐらいの間ジッとしてればいいのかしら?」

「そりゃあドワーフが攻めるのを諦めるまでだな」

「じゃあ1週間部屋に閉じこもらなきゃいけないなんてこともあるのかしら?」

「あいつらの諦めが悪かったらありえるな」

「出来るだけ早くお願いね」


 心配そうな顔をしつつ、そう要望を出すアリシアに、うなずく形で返事をすると、ニッコリと笑い、


「あんまり長く運動が出来ないと太っちゃうわ。ほら、ここの食事っておいしいから」


 冗談交じりの口調でそう言うと、楽しそうに笑った。

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