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最強は自我を持つNPC?  作者: 現実↓逃避
第2章 種族間の問題と移動要塞
57/84

防衛五十六回目

更新が遅れてすいません。

体調不良と夜も眠れなくなるほどの肩こりに悩まされました。

今は完治したので投稿ペースも週一に。え?もっと投稿ペース速かったって?・・・話のネタの関係です。(真顔)

 時折背後を振り返って確認するたび、後ろから迫ってくるドワーフ達の顔に、段々と青筋が増えてきている気がする。

 なんでか疑問に思っていると、偶然振り返っている姉さんが目に入った。

 ドワーフに向けて指で首をかききる動作をした後に中指を立てている姉さんの姿が・・・。


「姉さん何してんのさ!」

「挑発に決まってるじゃない」

「これ以上火に油を注ぐ行動は止めてよ!てか、姉さん一応風紀を守る立場だよね?そんなんでいいの」

「ヤマト、リアルを持ち出すのは厳禁よ。それに、私だってハメ外したいのよ」

「風紀委員は一番ハメ外しちゃいけない委員だからね!」

「知らないわよ。ここはゲームよ」

「・・・なんかもういいや」


 僕は姉さんの挑発行為を抑えることをあきらめた。そんなことしている暇があるんだったらどこが出口かを考えたほうがよっぽど生産的であることに思い至ったからだ。

 後ろから飛んでくる段々と声量が大きく、内容が酷いものになって行く罵詈雑言を聞きながら、ケイの変わりに姉さんを生贄に捧げたほうが時間できるんじゃね?との考えになり始めた。


「ヤマト君。ダメ」

「え?な、何が?」

「今ユイシロさんを囮にしようとしたでしょ」

「ま、まさか、家族思いの僕が、姉さんをそんな目に合わせるわけないじゃないか。それに、姉さんの装備を誰が買ったと思っているのさ。ここで全ロストしたらまた僕が買わされるからね」


 内心では別に買いなおしてもいいから、姉さんに痛い目を見てもらいたいと思っている。それをまさかマドイさんに察知されるとは・・・僕も感情の設定であんまり表に出ない設定にすればよかったと思い始めてるところさ。今から変えられないかな?後で調べておこう。


「おい、このままだと壁際に追い詰められて終わりだぞ」

「とにかく今は逃げるしか出来ないんだから走ろう」

「そりゃそうだが、現実だったらとっくに息切れ起こして倒れてるってぐらいは全力で走ってるぞ!」

「大丈夫。これはゲームだから現実にはまったく影響がないわよ」

「そういう問題じゃないんだよ姉さん。だからちょと黙ってて。ついでに挑発行為もやめて」

「却下♪」


 とてもいい笑顔で拒否されたよチクショウ。

 怒りを噛み締めて我慢しながらケイの横に行くと、耳打ちをした。


「ケイ、姉さんに挑発行為を止める様に言ってくれない」

「無理。できればあんまり関わりあいたくない」


 姉さんの恋路は完全に絶たれたようです。


「頼むよ。あの状態の姉さんは僕の言うことは絶対に聞かないから」

「元からじゃないのか」

「・・・うん。そうだったね。」


 ケイはため息を一つ吐くと、いまだドワーフの皆様に挑発行為をして火に油を注ぎ続ける姉さんの近くまで行って耳打ちを始めた。


「ユイシロさん。ストップそれ以上の挑発は止めてくれ」

「え?何でよ」

「追いかけてくる奴らの殺気が凄いんだよ。それこそこれがVRであることを忘れそうなほどに!」

「分かった」


 姉さんはケイの言った事に素直に頷き、ケイの真横をピッタリと併走し始め、速度を上げようが下げようが真横の位置をキープし続けている姿を後ろから見て、僕の背中を寒気が走った。

 傍から見ている僕でコレなのだ。現在進行で真横を走られているケイの精神状態が心配である。

 マドイさんからもケイを心配するような気配を出しているのは、きっと気のせいではないだろう。


「あの、どうして俺と併走してるんでしょうか?」

「横からの不意打ちに警戒しているからよ」

「・・・」


 姉さん。その言い訳は辛いと思うよ。何でかって?だって、併走している間ずっと顔が緩んでるからさ

 そんな姉さんを見ていることに苦痛を感じ始めた僕は、MPの半分を使って魔法を乱発。結果、追ってきているドワーフ達を撒く事に成功した。

 しかし、安心は出来ない。木箱の向こう側から僕達を探してあるだろう声が聞こえてくる。


「ヤマト、次も頼んだぞ」

「ごめん。撒くのにMP半分使ってるから、できればMP温存したい。それと、きっと対策立てられてるだろうから次も効くかは分からないよ」

「何よ。使えないわね」

「「「・・・」」」

「ん?この空気は何かしらぁ!?」


 僕に暴言を吐いた姉さんに天罰だろうか。

 因果相応。この言葉がピッタリなのだろう。木箱の陰から飛び出してきた何かが、姉さんの槍を掴むと、そのまま引きずり込んでいった。


「・・・引きずり込まれていったな」

「そうだね」

「放置?」

「僕はそれでも構わないよ」

「同意だな」


 さあ、出口を探すとしようか。

 しかし、その場を離れようとしたら今度はマドイさんの付けている矢筒にその手が伸ばされ、マドイさんも引きずり込まれていった。


「烏丸!救出に行くぞ!」

「了解だ、行くぞ」

「「オラァ!!」」


 声で位置がばれるとか関係ない!マドイさんを救出するんだ!

 僕とケイはマドイさんが引きずり込まれていった近くの木箱をなぎ倒しながら飛び込んでいった。バレる?そんなの関係ないよ!マドイさん優先だ!

 飛び込んだ先には猿轡を噛まされ、うつ伏せに押さえつけられている姉さんと、ドワーフの男性から飲み物を受け取っているマドイさんの姿だった。

 状況が一切飲み込めない僕とケイは、飛び込んだ時の体勢のままで固まってしまう。


「おい!何だ今の音!」

「ガルガン達のいる辺りからだぞ」

「大丈夫か!まさか侵入者の下品な女にやられたのか!?」

「今行くぞ」


 え、こっちに来る!?


「大丈夫だ!ラジグスのアホが箱を崩しただけだ!けが人はいないから」

「誰がアホだ!」

「ラジグスか、ま、しょうがねえか」

「しょうがねえじゃねえぇぇぇ!!」

「しっかり中身が壊れてないかの確認と、壊れてたらしっかりと修理して置けよ」


 ラジグスと思しき奴が叫ぶものの、相手にされずに修理することを言い渡されてしまっている。

 修理することを命令した男の足音が遠ざかっていった。


「で?あそこであいつらを呼べば僕たちを全員捕まえることができたはずだけど?なんでしなかったの」

「なんだ?今からでも呼ぶか?」

「いや、僕はあなたたちがこうやって僕たちを捕まえずにいる理由が気になっているだけです」


 僕がそう尋ねると、この中のリーダー格であろうドワーフが頭を掻きながらわけを話し始める。


「お前らたぶんシャーンに依頼されてきたんだろ?じゃなきゃ普通こんなところに冒険者はこねえしな」

「誰?」

「お前ら確かうちの店の前で騒いでた奴らだよな?」

「そもそも、あなたの家がどんな店なのかが分かりませんけど・・・」

「今抑えてる嬢ちゃんを散々うちの店舗に突っ込ませてただろうが!」

「・・・すいません」

「請求はうちの店員がやったはずだからいいよ。それより、たぶんお前らにはシャーンが夫が連れ去られたという形で依頼をしたはずだ」


 え?この人エスパー?ってなんで知ってるんだ!まさかこの人が捜索対象の人?


「なんで知っている?みたいな顔してるな。理由としてはラジグスのアホが原因だからな。あんたらが壊した箇所を直している最中に無理やり拉致られたんだよ。下手人は予想通りラジグスな」

「そこから推測したのか?」

「ああ、そうだ」

「・・・それは・・・うん」


 僕とケイはなんとも言えない表情でラジグスを見ていると、グルンとこっちを見てきた。


「なんですか?」

「なんだよ」

「ガルガン。こいつらなんで俺見てんの?まさか惚れたとか?男に惚れられても困るんだが」

「安心しろ。そんなことは100%ありえないから。むしろお前の考えないバカさ加減にあきれてるだけだ」



 うん。ガルガンさん。大体あってる。


「俺がバカだって言いたいのか!!」

「話し進めてもいいか?」

「どうぞ」

「俺を無視してるんじゃねえよ!俺がバカだって言いたいのか!!」

「いいか、今からお前らをここから出す。そんでもってお前らはここで見たものを全部忘れろ」

「理由は尋ねても?」

「ダメだ。なんだったら物理的に忘れさせるまであるが?」


 ガルガンさんから漂ってくるプレッシャーが強くなった気がする。

 とりあえずここから出られるのであれば言うことを聞いておこうかな。まあ、忘れる気は無いけど。


「忘れておきます」

「表情の無い嬢ちゃんは物分りがいいな」

「じゃあ僕達も忘れておこうか」

「だな」

「あ、姉さんの方はめんどくさいので強制的なほうでお願いします」

「・・・おう」

「む~~~!!」


 僕の薄情な対応に、ジタバタと暴れて抵抗をする姉さんをガルガンやラジグスと一緒に抑えると、僕を殺さんばかりの表情で睨んでくるが、気にしてられないよね。

 そして姉さんはあっさりと死に戻りしていった。姉さん。一部の消費アイテムなら買ってあげるよ。


「お前容赦ねえな。一応お前の姉ちゃんなんだろあいつ」

「え?今までの恨みだけど」


 なぜかガルガンたちからは距離を一歩置かれてしまった。なんで!?


「ま、まあ、とりあえず出口に案内しよう」

「お願いします」


 僕たちはガルガンさんに連れられて来た場所は、ただの壁にしか見えない場所で、周囲には空箱が山積みになっているので周囲からは見えないようにはなっているみたいだ。


「おーい。ちょっと買出しついでに嫁を安心させてくるわ」

「買出しだと!!」

「肉だ、肉を追加で買ってきてくれ!」

「分かってねえな。ここは野菜だろ!」

「ハッ!野菜とかドワーフの風上にも置けねえ!」

「酒だ!酒を買って来い」

「ただの酒じゃねえぞ!『(かがり)の酒場』の度数が高いやつを樽でだ!」

「金はちゃんと請求するからな」

「お前のその広くてでかい懐から出てくるんじゃねえのかよ!!」

「んなわけあるか!店の方の修理費がバカになんねえんだよ!むしろ人の家が困ってるときに賭けやってた奴らが金出せ」


 隠れてろと言われたから空箱の中に潜んでみれば、ガルガンさんが外に出て行く理由を言った瞬間に作業を行っていたはずのドワーフ達がワラワラと集まってきて口々に自分の欲しいものを言い、買って来るように要望を出していた。


「テメエら!時間ねえんだからとっとと持ち場戻れアホ共!ガルガンは早く嫁を安心させて来い!」


 監督者だろうか。一括が入ると集まっていたドワーフ達は愚痴を垂れながらも散っていった。が、


「ガルガン。火炎酒をこっそり1瓶頼んだ」


 こっそりと他のドワーフに聞こえない程度の声で耳打ちすると、じゃあなと言って作業に戻っていった。


「よし、出て来い」


 近くにドワーフの気配がなくなったところで空箱の中から這い出ると、大きな音をたてながらただの壁だと思っていた場所が観音開きで開いていく。

 開いた先に広がっていたのは、例の僕たちが来るときに使った落とし穴がある部屋だった。


「うん?ここに繋がってたのか」

「たぶん扉を開くためにはちゃんとした手順を踏まなきゃいけないんじゃないかな?」

「そうだな。お前ら二人は強制的に忘れるコースがいいということか?」

「「なんでもありません」」

「はあ、嫁に説明どうしよう」

「精一杯悩んでください」

「あ~。説明するのにてこずったらラジグスに差し入れはなしの方向でいくか」


 自分の中でどうするかを決めたガルガンは、俺たちを振り返らずに一人でさっさと歩いていってしまう。

 僕たちはとりあえず後をついていくことにしよう。

 報酬をもらえるかもしれないしね。



 ●●●



「大丈夫?怪我はない?攫われたって聞いてずっと心配したのよ」

「ああ、大丈夫だ。心配かけて悪かったな。あと、別に攫われたわけじゃねえぞ」

「・・・え?」

「だから、別に攫われたわけじゃねえって話だ。ラジグスのアホたれが、『用事があるんだ!来てくれ!』とか言ってこっちが何か言う前に無理やりだよ」

「それを攫われたっていうんじゃないの?」

「知り合いなんだからそういうのじゃないんじゃないのか?」


 首をかしげているがガルガン。たとえ知り合いでも無理やりだったら誘拐だからね。僕なんて小さい頃はしょっちゅう姉さんに誘拐されてたし、きっと学校の知らない人についていってはいけません。とかの項目に、たとえ身内といえども、信用ならない人や、無理やり行動を共にしようとする人には気をつけなさい。みたいな注意事項を増やすべきだと僕は思うよ。


「私の夫を助けてくれてありがとうございます。これは約束していた御礼です」


 奥さん――――えっと、名前はシャーンだっけ?――――から少し大きめの皮袋を渡され、それを受け取ると中から出てきた光がそれぞれ僕たち三人に降りかかる。


『イベントクエスト【いなくなった夫の行方】をクリアしました』


 ログにはそれ以外にも手に入れた武具や道具がズラッと表示されていく。

 とりあえずこれでクエストクリアか。今日はすごい疲れたな~。そう体を伸ばしながら時間を確認すると、すでに0時を回っているようで、これ以上は明日に響きそうだから解散する運びになり、集合時間を話し合っていると、頭の中でブツッと音がして視界が暗転。

 真っ暗闇な視界に赤い文字で『体に異変が起こったため、安全のため強制的に回線を切断しました』と出て来て意識が現実に浮上していった。

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