防衛四十回目
投稿が遅くなってスイマセン。言い訳はあとがきに書いておきますね。
アリシアは結局泊り込みで色々としてくれた。
掃除とか、溜まった洗濯物の洗濯とかな。
決してそういった行為はしていません。ええ、この町に誓ってそんな行為はしてませんよ。何で敬語かって?親方とかにメチャクチャ睨まれているからだよ!!
昨日アリシアが買い物の時に、店番をしていた奥さんに、ウェイルズの家に泊まるの。と言ってしまったらしい。
町のコミュニケーション恐ろしや。まさか一晩の間にここまで話が広がるとは思ってなかった。おい、そこの奴、中指立てるな、親指を下に向けるな。
親方に睨まれてる理由?きっとアリシアのことを実の娘のように可愛がっているとかじゃなかったけな。後は絶対、昨日倒れたのに、その裏でアリシアと何しやがった。といった感じだな。
そのせいなのか、扱き使われた。たぶん今なら疲労で過労死が余裕だ。自分でも思考回路がおかしくなってきたことを自覚できる程度には疲れてしまっている。幸い今日は徹夜で頑張ってくれた親方の下の匠たちの手によって門が修復されたので早めに開放された。早めと言っても、日は既に沈んでるけどな。
酷使しすぎて軋む体を引きずって噴水広場に歩いていく。運がよければ食べ物形の屋台が出ているはず。最近町長からの頼みごとを受けてないから金欠気味なんだよ。
噴水広場は相変らずの賑わいを見せており、俺はこの雑多な感じがする空間は嫌いじゃない。むしろ思わぬ掘り出し物を発見できることがあるので、好んですらいる。知り合いのうちの何人かは嫌いだと言っているが、その辺は人それぞれだ。嫌いだと言っている割には屋台の飯を食ってることもあるしな。
現在進行形で。
「お前は何してんの?」
「ふぉう。ふぇいふふふぁねえふぁ」
「口に詰め込まれてるものをしっかり飲み込んでから話そうな」
赤茶色の髪を背中の中ほどまで伸ばした、どこからどう見ても12歳の少女が、右手に何かの肉の串焼きを3本握り、左手にパンを持って、やたら豪快に食べている。食べ物を詰め込みすぎて、齧歯類の小動物のごとく頬を膨らませている。見た目とあわせるとなんかすごい和むなこれ。
もごもごと口を動かして口の中の食べ物を租借していっている幼女は、俺の知り合いで、この前の防衛戦まで使っていた【ヴォルカニック+30】の製作者だ。
なんでこんな幼女が俺の武器を作っているかって?見た目のことを言ったら間違いなく生命の危機を感じる事態となるので言わないが、この幼女。ササは、驚くなかれ、そんな見た目でも17歳である。見た目で判断してちょっかいを出すと、痛い目に合うのもすでに分かっている。
本人の悩みは成長しない体に、時折現れる、幼女趣味変態冒険者の対応だ。大抵は暴力で解決しているみたいだが、最近は殴られたり、蹴られたりすると、ありがとうございます!!とか言う冒険者が出てきたらしい。俺にはその気持ちが全く理解できない。暴力を受けて喜ぶとか・・・。そうか、きっと彼らは前衛の盾職なのかな?モンスターの攻撃から身を挺して味方を守っているうちに、だんだんと遣り甲斐、生き甲斐、仲間を守る快感に目覚めてしまったのか。だから反射的に、ありがとう、と言ってしまうのかな?きっとそうに違いない。
俺が一人で納得してうなずく様子を、食べ物を租借しながら見てくる。
頭の中でアリシアと体系を比べる。ああ、もう少し成長する術は無かったのかな?小さいころから鍛冶場は力だ!とか言いながらバランスの悪い食生活送ってたからだよな。たぶん。
そんな考察をしている俺に、ササが口の中の物を飲み込んで話しかけてくる。
「おうウェイルズ。なんか疲れてるように見えるがなにかあったのか?それと、その目線止めろ。すげえイライラしてくる。武器の素振りを動く的ありでやりたくなる」
おっと、顔に出ていたみたいだ。
「疲れてる理由は察してくれ。というか絶対わかってるだろ。お前こそなんでこんなところにいるんだ?屋台嫌いじゃなかったか?」
「飯に罪はない。それに私が嫌いなのは、掘り出し物と称してモンスターのドロップ品を売っている野郎共だよ。本当にいいものを適性の値段で売ってる奴なんて一握りいればいいほうじゃねえか。他はぼったくりの値段で安物のドロップ品を初級者冒険者に売りつけてやがる」
「お前らにそこまで害はないんじゃないのか?」
「害ならあるさ。私たち職人は、自分の腕を他者の意見と自分の客観的な視点で値段を決めてるんだ。とことん満足いく仕事ができれば金を取らないことだってある。それをそういった店で装備を購入した初級者冒険者は、私たちに適当な金額を提示してきやがる。提示するのは私たちで勝手に提示されると私の腕がその程度しかないとか見くびられている気分になるんだよ!」
ササは自分の過去にあった何かを思い出しているのか、顔を赤くして怒りはじめた。うん、やっぱり冒険者にろくな奴がいないな。なんでアリシアは、ああも俺に冒険者と仲良くなることを勧めてくるんだろうな。仲良くする価値のある奴の方が圧倒的に少ないのに。
・・・俺も少し考え方変わったのか?前までは冒険者=害虫。見たいな考えだったはずだけど・・・。やっぱりマドイと一時的にパーティーを組んで変わったのか?
「おい聞いてんのかよ?お前から聞いてきたことだろ?」
「ああ、まさか愚痴を聞かされるとは思ってなかったからな」
「んだよ。お前に言いたいことはまだまだあるんだからな!!よくも私の最高傑作になるはずだったヴォルカニックを壊してくれたな!」
「確かにそれは悪かった。けど気になることが一つだけあるんだがいいか?」
「なんだよ。こっちはまだ何言ったって無駄だからな。こんどお前が依頼に来ても絶対金取るからな。どんなに満足いく仕事でもだ!!」
手に持った肉串のゴミを高く掲げながら憤怒の声を上げる。怒りはもっともだけど串を振り上げるな。危ない上にみっともない。思っても口には決してしないけどな。
「ああ、分かったよ。それはともかく、お前の自信作なら何であの剣には装備壊酸対策をしてなかったんだ?お前ならそれぐらい出来たはずだろう?」
「対策?・・・えっと。・・・そもそも装備壊酸なんてもん知らねえよ!!私はある程度の武器破壊アイテムを使われても大丈夫なように作ってはいたぞ」
「|あれは普通の加工じゃ意味があんまり無いんだ。なんせ強力すぎて武器破壊だけじゃなくて、モンスターにも効くぐらいだ。あのゴブリン将軍ですらHPを半分は持っていけるような劇薬だからな」
「尚更そんなもん武器に浴びせるなよ!!」
「不可抗力だ。仕方が無かったんだ」
ササから視線を外して言う。今のササの顔を直視しながらの会話なんて絶対したくない。怒り狂いすぎて、あの平時の可愛らしさの中に勝気なことを伺わせる顔の作りが、鬼より酷いことになっていそうだ。
その後、俺はその場を逃げるように離れる。飯は結局食べれなかった。あの空気の中で何かを食べる奴は、無謀な奴か、空気を詠めない馬鹿ぐらいだろう。
そのまま走って路地裏を駆け抜けて、自分の家の近くの大通りに出て、近くの酒場に入る。ここでなら何の脅威がないはず。たらふく飯を食べよう。
俺が席に着くと、見覚えのある奴らが近くの席に座っていた。確かアレは・・・。そうだ。【烈風騎士団】とか言うギルドの団長と副団長か?何でこんなところにいるんだ?拠点はもう移したんじゃなかったっけな。
「団長。止めるってどういうことですか?」
「どういうことも何も、言葉通りだ。俺はこのゲームを止める」
「理由は?これだけのギルドを作っておきながら放棄をするんです。それなりに理由があるんですよね?」
「俺は以前のようには動けない。リアルのこともあったし、そろそろ止め時だろうとな。それに内のギルドからはどんどん人が抜けて行ってる。人数的にもお前一人いればどうにか回せるレベルだろ。何よりも、俺は武器が無くなったからな。どうしようもねえよ」
「・・・」
やたら重い沈黙が俺の後ろの席で発生している。やべえ、座る席を間違えた。
見たことあるからと言って、近づいてはいけない、何を話しているか気になったからと言って近づいてはいけない。俺は注文した料理が届くまでの間この空気に耐え続けることとなった。
やったね。また新しく一つ学んだよ。
ウンザリしたような顔でそんなことを考えていた。
それにしても、やはり冒険者は俺たちが必死になって町を守っているのを指して、ゲームとほざきやがった。万死に値する!!
と、団長の発した武器を無くしたとは・・・きっと冒険者特有の死に戻りで引き換えとなったのだろう。この世界をゲームとしか思ってないからだ。実際にHPが0になったら死ぬ覚悟で挑むべきだろ。冒険者共はその辺の認識が甘すぎる。そのうえ、大半がモンスター。生き物の命を奪っているとは考えていない。
・・・アリシア、やっぱり俺は冒険者と仲良く出来そうにないな。こんな奴らと仲良しこよししてたら俺まで考え方が腐っていく。
・・・手遅れか?
「そうですか。あなたのその辞める 決意が高いのは理解しました。それでは今までお疲れ様でした。団長の気が変わって再びやることがあれば、烈風騎士団へとまた来てください。席は空けておきますね」
「・・・すまないな。今日は夜勤だからこれでログアウトさせてもらうぞ」
「分かりましたよ。それではまた」
「ああ、機会があればな」
烈風騎士団の団長はそう言うと、席をたち、酒場を出て行く。
「「「ふぅ・・・」」」
俺は思わず息を吐いた。しかし、周囲もいっせいに息を吐いたみたいで、音が重なる。
周囲を見回すと数人と目が合う。そしてお互い苦笑いで会釈をして、自分の料理が届くのを待つことにする。
「さて、盗み聞きとはいい趣味ですね、我々の話は面白かったですか?」
いつの間にか烈風騎士団副団長が俺と合い席をしていやがる。先ほど会釈をした奴らがチラチラと視線を投げかけてくるのを感じる。おい、俺だって1度か2度しか話してないんだから、ギリギリ知り合い程度の奴だぞ。
「たまたまだよ。お前は・・・名前なんだっけ?」
「やはり名前は憶えられていませんでしたか。ギルド、烈風騎士団副団長のアルベルトと申します。以後お見知りおきを」
「ああ、そうか。それで、なんでお前は俺と合い席してるんだ?そこまで仲が良かった覚えがなかったんだが」
「いえ、ここの防衛線で活躍する英雄様に話をと思いましてね」
英雄?だれのことだ?そうか、こいつは頭が湧いてるのか。そうに違いない。俺は英雄なんかじゃねえしな。むしろ英雄だったら一度もリセットせずにいるだろう。今の俺はリセットを繰り返した上で成り立っているだけだ。
まあ、相手はそんなこと思いもしないだろうけどな。
「誰が英雄だ。物語に出てくる英雄様とか勇者様と比べてみろよ。町にほとんど被害を出してないだろ?」
「いや、基本的に防衛戦で壁で覆われている地形の場合、その内部に入るための門が1箇所でも突破された、防衛に成功できても町の5割ぐらいは壊れるものです。それを壊された門周辺だけにとどめたのです。これは十分英雄と呼ばれてもおかしくない活躍ですよ」
「買いかぶりすぎだろ。町の連中と、認めたくないが冒険者連中のおかげだろ。たった一人、力がある奴がいたところで戦況はろくに変わらねえよ。体力が尽きてそれでお仕舞いだ」
俺は肩を竦めながらアルベルトにそう返す。しかし、アルベルトは身を乗り出してくると、
「いいですか?確かに単体では集団戦に対してはどうにも出来ないかもしれないですが、いくらでもやりようはあるんです。今回見たいなタイプのボスは、体のサイズが大きくない分、いっせいに攻撃できる人数が限られてくるんです。そんなときに強大な力を持つものが一人でもいるとスムーズに倒せるんです。これは他のゲームでも――」
またゲームとほざきやがる。なんだか言葉を重ねて力説しているみたいだが、俺はこれ以上聞く気がなくなったので何を言っているか理解しようとしない。
「――なので、我々烈風騎士団と組みませんか?ウェイルズさん」
ぬけぬけとそんなことを言ってきた。もちろん俺の答えは一瞬で出る。むしろ悩む要素がどこにも無かった。
「断る!」
「え?我々に協力した際のメリットが大きいはずなのに」
「ふざけんなよ!!俺たちは毎日を真剣に必死で生きてんだ!防衛戦のときもそうだ、命がけで戦ってんだよ!それをゲームだ?お前らは死に戻り加護があるからそう気楽にしてられるんだ!それにモンスターを倒す時に命を奪うという覚悟も無い。そんな奴にメリット云々語られても不愉快だ。今すぐ俺の前から消えろ」
俺はそう言って怒り任せに机を叩く。力を入れすぎたせいで机は壊れ、光の粒子となって消えていく。その際の大きな音に驚いた酒場にいた奴らが皆俺の方を見てくる。しかし、俺にはそんなこと気にならないほどの怒りに支配されている。
「そうですか。では気が変わったら連絡してくださいね」
アルベルトはそう言って立ち去る。
後に残されたのは少し重めの沈黙。その沈黙を破るように酒場の店員である一人の給仕が俺にニッコリとした笑顔を振りまきながら、手にした紙を見せてくる。
「ウェイルズさん。テーブルの弁償代になります」
ああ、また予想外の出費が。これも全部あのクソ野郎のせいだ!!
結局手持ちの金じゃ足らなく、酒場の閉まる深夜を回るまで働き続けることとなってしまった。
疲れてるのに、疲れてるのにぃぃぃぃ!!
アルベルト許すまじ!!
はい、良い訳です。
一気に書いてたんですよ。そしたらパソコンの強制シャットダウン。データは見事に飛んで果てました。
それによる一時的なやる気の低下。
とまあ、今回の投稿が遅れた理由です。
そんな感じで書いたものでしたが、今回もお楽しみいただければ幸いです。




