防衛二十九回目
今回はヤマト君サイドのエピローグのようなものです
「それで、僕は男、それもオッサンのツンデレは死ぬほど気持ちが悪いということを、まざまざと見せ付けられたよ」
「へえ、聞いてるだけだと面白そうだな。そのゲーム」
「戦闘スタイルもそれに合った称号が自然と手に入るみたいだから自在に組み込めるしね」
「そんなことよりよ、お前を俺の家に呼んだ理由の本題に入ってもいいか?」
「なんだっけ?宿題はもう渡しただろ?」
「そっちじゃない。アレだよ、お泊りの件だよ。誰の家に泊まってその後何があったのかじっくりネットリ聞くからな」
「ぱ、パスで」
「じゃあ、本当のことをお前の母親に言ってしまおう。思い立ったが吉日だ。速攻で連絡しよう」
そう言ってケイは携帯を取り出して俺の家電の番号を探している。
「分かった言うから。それだけは本当に勘弁してくれ!!」
「分かればよろしい」
「その代わり絶対誰にも言うなよ?本来は向こうからもそう言われてるんだから」
「了解了解。分かってるよ。俺がそんなことを漏らすように見えるか?」
「うん」
やべ、素直に返答したら無言で携帯を再び取り出したよ。本当にそれだけは止めてくれ!!
「分かった分かったから、ちゃんと言うから、ケイはそんなことしないもんね」
「当たり前だろまったく。じゃあ早く言えよ」
「うう、分かったよ」
僕は小さな台に乗せられた、コーラを飲んで喉を潤す
「ふぅ、実は一昨日僕がお邪魔したのは葵さんの家なんだよ」
「OK、大体予想通りだったわ」
「え?なんで?なんで予想できたの?」
「だってお前と中のいい女って言ったら将門さんぐらいだろ?むしろ男女含めて将門さん以外で泊まりに行く仲って言ったら俺ぐらいだろ?」
うん、なんだかそれも悲しい現実だなぁ。
若干僕が現実逃避をしているうちに話は進む。
「それで?そのお前が参加した今回の防衛戦?とやらは勝ったんだろ?」
「うん。その代わり町にも被害が結構出てたみたいで、それ関連のクエストが今溢れてるよ」
「なにそれ、おいしい。じゃなくて、将門さんと何かあったんじゃないのか?」
僕はうっかりケイから視線を外してしまった。もちろんそれを見逃すケイではない。僕の前に回りこんで再び質問を繰り返す。しかし、こればっかりは言うわけにはいかない。
「そうか、俺もこんなことしたくないんだけどな。しょうがない。連絡するしかないな」
「それは本当に勘弁してください。でもこればっかりは言えません」
「なんだそこまで拒否するならいいか。一応言っておくぞ、将門さんはアレで密かに男子からの人気が高いから気をつけろよ、誰かに見られたりしてたら制裁でもされるんじゃないか?」
「なにそれ、僕初耳だよ!?」
「そりゃそうだよ、知らせなかった上に、お前と将門さんはただのゲーム仲間だという認識だからな」
「そうだよ、向こうにもそういった気はないみたいなんだ。昨日散々否定されたし」
落ち込んだ僕の背中をバンバン叩きながら、ケイはドンマイと言ってくる。
そして、そういえばと言って話題を振ってくる。
「将門さんのアバターってどういうのだ?詳しく、そう詳しく頼むぞ」
「えっと、それじゃあ確か携帯に画像を移したはず…」
そう言って僕は携帯を取り出すと画像フォルダを探す。すると、フォルダの一番上にあった。そこには弓を構える切れ長の紫色の瞳に、銀色の長い髪を背中に流して弓を引いているマドイさん――葵さんの姿が写っていた。我ながらうまく撮れていると思う。防衛戦が終わった後、頼み込んで取らせてもらったものだ。
それを見たケイは、一度急に立ち上がり、そしてゆっくりと座る意味の分からない行動を取ると、深呼吸をして、
「俺もやるぞそのゲーム!」
「え?何、急にどうしたの?」
「いや、な、やっぱり一度もやらずにクソゲーと決め付けるのもどうかと思ってな。だったら一度やってみるべきだと思ってな、大丈夫だ、他のVRMMOを少ししたことあるから機材もある。後はカセットを買うぐらいだ!」
「え?え?」
話についていけない。おかしいな、僕完全に置いてけぼりだよ?
「今度お前の家に行くから、お前の機材とリンクさせろ。俺もやるぞぉぉぉぉぉ!!」
「いいけど、姉さんには気をつけてね。見つからないのが一番のベストだから」
「了解了解、俺も少し苦手だからなぁ。いや、嫌いというわけではないし、告白までされちゃいるんだが、俺なんかよりもいい人が見つかるはずでもあるしな」
姉さん、聞きましたか?彼は姉さんとは本気で釣り合わないと本気で思っているみたいですよ。だから既成事実ではなく、本気で自分の心の内をさらけ出して誠心誠意伝えるしかないと思うんですよ。まあ、僕からは伝えないんだけどね。
「よし、他にもいろいろ質問するからな、いいな」
「ゲーム関連だったら別に構わないよ」
僕はケイからの質問に答え、自分の感じた主観に答えているうちに夜になってしまっていたので、家に帰る事にした。今日も晩御飯を食べたらログインだ!
~防衛戦終了から一夜明けたころ~
…うん、見慣れない天井だ、そしてなぜか僕は床に敷かれた布団の上で寝ており、同じ部屋においてあるベッドには葵さんが横たわっている。
寝ぼけている頭が覚醒するにつれ、そういえば昨日は葵さんの家で泊まったことを思いだす。そして、同じ部屋の理由は他の部屋が開いていなかったから。葵さんは僕を自分の父親の部屋で泊めようとしたみたいだけど、やはり仕事関連のものも置いてあるみたいで、葵母に却下された。その結果葵さんの部屋に泊まることになったというわけだ。
なんか葵母がサムズアップをしてきていたが、僕からもしたい。葵母さんファインプレイです。
もう一つ昨日言われたことを思い出す。確か、朝にシャワーなどを浴びる習慣があるならば、好きに使っていいとも言われた。
なので僕はシャワーを浴びることにした。べ、別にラッキースケベを期待したわけではないからね。違うからね!!
やはり朝シャワー浴びるのはいい。夜のうちに掻いた汗が流れ、目も覚める。おかげで気分スッキリと一日を始められる。そう思いながらしばらく浴びていると、脱衣所で何かが動く気配が伝わってくる。その気配はしばらくゴソゴソと動いていたが、脱衣所を立ち去っていった。
僕はシャワーを浴び終わると、体を拭くためのタオルを昨日教えてもらった場所から取るために風呂場のドアを開け、脱衣所にでる。そのタイミングを計ったかのように、葵さんが脱衣所の扉を開けてきた。
しばらく僕と見詰め合う、当然まだタオルは取っていないため、僕のは丸見えだ。そして、葵さんの背後にはカメラを構えてこの様子を激写する葵母さんの姿がある。
葵さんは悲鳴を上げることもなく、若干頬を赤らめると扉をゆっくりと閉めた。
その場に崩れ落ちる僕、脱衣所の外からは葵さんの抗議する怒ったような大声と、楽しそうな悲鳴を上げている葵母の声が聞こえた。その後僕はしばらく動けなかった。
もちろん朝食をご馳走になったのだが、恥ずかしすぎて味なんか分かるわけもなく、逃げるように葵さんの家から帰宅したのであった。
家に帰ると、母親からケイと昨晩ナニをしたのかとかを、やたら聞かれ、僕がそういった質問を受けている様子を、姉はなぜか鬼すらも射殺せるんじゃないかという目で見てきていた。
僕がいったい何をしたんだよぉぉぉぉ!!
そんなことを心で叫び続けていたのであった。
「」
これにて第1章は終了になります。
一応第2章の大雑把なプロットは出来ているので、書き溜めをしなければそれなりの速さで投下できると思います。




