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最強は自我を持つNPC?  作者: 現実↓逃避
第1章 初めてのVRゲーム
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防衛二十回目

 今現在戦場となっている森側の門とは逆の門に、ギルド【烈風騎士団】の団長と副団長がいる。


「くそ、戦場が近くにあるのに暴れることが出来ないなんて、クソ食らえだ!!アルベルト、今すぐ行くぞ!!」

「団長、それは出来ません。いいですか?実際にこちらの門から奇襲を仕掛けられたら、この町は終わり、我々のギルドの評判は地に落ちます。そしたら団長の大好きなレイド戦とかレイドボスの討伐が出来なくなってしまいますよ」

 団長はレイドが出来なくなるに反応して押し黙るが、苛立ちを隠そうとはしない。そんな様子を、他の団員が遠巻きに眺め、またか。といった空気を出している。実際に団長がなにやらめんどくさいことを言い始め、それを副団長が言いくるめ、なだめるのは一日にほぼ一回は起きる。


「じゃあ、これが終わったら【ブルードラッグ】にレイド戦仕掛けようぜ。そこでこの鬱憤を全部晴らしてやる」

「では、その計画は出来るだけ前向きな対応を善処するように心がけて進めましょう」

「おう、頼んだぞ」


 団長の言葉にアルベルトは一つため息を吐いてしまう。そして、それを聞いていたほかの団員には、アルベルトはこの案件を勧める気は毛頭無いことを察した。それを察することが出来ていないのは、この中では団長だけである。


「ちょっとお話よろしいでしょうか?」


 いつの間に近づいたのかは分からないが、灰色のポンチョを着た人物が二人の背後に立ち、声を掛けて来ていた。

 フードを下げているため、口元しか見えない。多分少しかがんで覗き込んでも、システム的に保護されているはずなので、中は覗けないはずである。そして、体の輪郭が隠れてしまい、男か女かがまったく分からなくなってしまっている。

 これに一番の驚愕を示したのは、二人のやり取りを呆れた表情で眺めていた団員たちである。

 全員臨戦態勢を瞬時に取るが、あいてが敵かどうかも分からないため、攻撃ことをためらっている。


 灰ポンチョの人物は、両手を挙げながら、

「そんなに殺気立たなくてもいいかと思いますけどね」

 うんざりした口調で言う。


「そうですね。あなたが顔をちゃんと見せて、しっかりと敵意が無いことを証明しながら話してくれればおとなしく話を聞きますよ」

「ああ、スイマセン。敵意は無いんですが、顔は見せることが出来ないんですよ」

「そうですか。ではお引き取りください」


 灰ポンチョは穏やかな声で、アルベルトはニコニコした顔でそんなやり取りをしている。


「いえいえ、一つだけ話を聞いてくれればいいんですよ。本当に一つだけ。決してあなた方の損になるようなことにはなりませんよ?」

「そうですか。ではお帰りください」

「分からない人ですね。ここにまもなくモンスターが攻めてきますよ?別働隊って奴ですね」


 それを聞くと、アルベルトは腰に佩いた剣を抜き、灰ポンチョに突きつける。

「あなたがどうやってそれを知ったのかを教えてもらいましょうか?できれば手荒なマネは私苦手なもので」

「わかりますよ~。だって、今攻めてきているモンスターに指示を出したの私ですもん」

「そうですか、では死んでもらわなければいけませんね」

「だからちょっと落ち着いてくださいよ。いいですか?指示を出したということは、敵の行動が全部分かるということですよ?」

「それが何か?我々にそう言って嘘を教えれば、MOBをサポートすることになりますからね。流石です。そんな作戦を考え付くなんて」


 灰ポンチョは、肩をすくめると、

「考えの固い人ですね。それを行った場合の利益が私にあると思いますか?」

「そうですね。なんかしらの利益があるからこういった行動にでるんでしょう?」

「確かにこの町の防衛という利益が出現しますね。あ、来ましたよ」


 灰ポンチョがそう言うと同時に、通信が入ったのか、アルベルトはいったん灰ポンチョから視線を外す。

 通信の内容を聞いていくうちに、だんだん険しい表情を作ったアルベルトは、灰ポンチョに視線を戻そうとした。

 しかし、それはなされなかった。アルベルトの体からなにやら鋭く尖ったものが飛び出していたからだ。アルベルトの体に突き刺さっているものを握っているのは、灰ポンチョだ。僅かに覗いている口元が笑顔の形に、邪悪に歪む。そして、アルベルトは光の粒子を撒き散らしながら消滅していった。

 周囲にいる団員達が自分の獲物を構え、油断無く灰ポンチョを見る。


「これであなた達の頭は潰した」

「このクソガキがあぁぁぁぁ!!」


 ようやく事態に頭が追いついた団長が、自分の武器を構えて灰ポンチョに切りかかるが、横をスルリと抜けられてしまう。


「そんなにカッカしないでよ。それとね、もう来るよ」

「何がだクソ野郎」

「そうそう、サヨナラの前に名乗っておこうかな。私の名前はスタリブで、この世界を壊す」


 スタリブと名乗った灰色のポンチョを来た人物がそう宣言するのと同時に、門が向こう側から軋み、凹み、破られた。

 【烈風騎士団】の面々はついそちらを向いてしまう。門を構成していた木がバラバラになり、四散する木片の向こう側に見えたものは、醜い豚面をした体長3メートルぐらいの大男、ジャイアントオークが約20体ほどで巨大すぎる破城鎚を抱えて突っ込んできている光景だった。

 オーク達は勢いを殺せずに、そのまま大通りを破城鎚を抱えた状態で走り続ける。そこへ、巡回中だったのか、5人ほどで構成されたNPCの自警団の集団が、裏路地から出てきた。その集団が突っ込んでくる破城鎚に気が付いたときにはもう遅かった。

 5人は破城鎚に弾き飛ばされ、空中でバラバラになりながら光の粒子を撒き散らかして消滅していった。

 しかし、5人の持っていた槍や剣といったものまで消滅したわけではなかった。ジャイアントオークの中の一体が、槍の刃の部分を踏み、バランスを崩して倒れこむ。

 一体が倒れこむと後は早かった。後ろにいたオーク達が躓き、転んだため、破城鎚を支えることが出来なくなり手放された。しかし、慣性の力の残る破城鎚は、周囲の建物を壊しながら転がっていく。


 それを見届けた団長は、スタリブを探すが、もうすでにいなくなってしまっていた。団長はそれに対する苛立ちを、オーク達にぶつけることに決定したのか、いまだに転倒して醜く鳴いているジャイアントオークの元へと走り始める。

 しかし、こちら側から攻めてきたのはジャイアントオークだけでは無いみたいで、フードを深々とかぶり、顔をうかがえないMOB、ダークマジシャンの集団が、いまだに固まっていた一部の団員へと、炎や氷の塊が大量に襲い掛かり、HPを削り取られていく。


「至急【ブルードラッグ】へと報告しろ。はやっ」

 指示を出していた副団長の補佐役の指示は途中で途切れた。ダークマジシャンの一斉掃射でHPを吹き飛ばされてしまったのだ。

 こうして指示役のいなくなった【烈風騎士団】は烏合の衆と成り果て、MOB集団に一歩的に狩られ始める。


 一人の団員が、敵の攻めてきた門から外に出ることで、難を逃れようとした。実際にその考えは当たり、門まではMOBと遭遇することもなくたどり着くことが出来た。そのことに安堵した団員は顔を上げると、自分と同じくらいの身長のゴブリンがいることに気が付いた。

 慌ててきびすを返して逃げようとするが、その団員は落ち着きを取り戻して、ゴブリンぐらいだったら狩ればいいと考え直し、腰に佩いた剣を抜こうとする。が、気が付けば自分がログインした時にスタートした町に立っていた。その団員は、そこで初めて自分が死に戻ったことを察した。




 今自分達の戦況は順調だと言えるだろう。むしろ残党狩りに状態がシフトしつつある。

「これから何が起こるかわからないから気を抜くなよ!!」

 テーリアが指揮を執り、逃げ惑うゴブリンを狩って行く。


「意外と順調ですね。僕はもっと大変だと思っていたんですけど」

「所詮はこんなもんだろ?」

「気を抜かないほうがいいよ。なんか前回の防衛戦と似た感じがする」

「それって」


 そこで腹の底に響くような振動がした気がした。俺はそれにいやな予感を覚えると、駆け出す。

「ウェイルズさん!?」

「すぐ戻る。ちょっと確認に行くだけだ」


 俺はヤマトにそう言うと、走る速度を上げる。この心配が杞憂であって欲しいと願うが、実際の現実はそう希望だけではないことを、すでに俺は学習しているはずである。

 しかし、町にはモンスターの侵入を防ぐための門があるため、外壁をぐるりと回りこむように行かなくてはならない。

 後先のことを考えずに全力で走っていると、マドイから連絡が入ってくる。


『門破られた』

「あの【烈風騎士団】とか言うギルドは何してるんだ!!」

『報告によると、怪しい人物とひと悶着あってその間に門を破られたって。もう壊滅状態らしい』

「そうかい、あれだけ指揮やらせろとか言ってた割りには大したことねえじゃねえか!!」

『指揮する人が先にやられた』

「くそ、意外とモンスター共も知恵があるんだな。チクショウ」

『モンスターじゃない』

「は?」

『指揮役のトップを倒したのはモンスターじゃない』


 じゃあ、誰がやったというんだ?時折出てくる防衛戦中にモンスターの味方をする冒険者か?それとも仲間割れ?


『ポンチョを着た人』

「それが犯人か!?」

『そう。あと、こっちにもモンスターの大群』

「ヤマトの範囲魔法でも使わせてろ」

『ん、了解』


 さて、もう少しで破られた門にたどり着くわけだが、門を破られたのを見て、これ幸いと周囲のスライムどもまで入り込もうとしているのか、門のほうへとゆっくりだが確かに近づいていっている。俺はそれを駆逐しながら走る。


 先ほどから町の中で粉塵が上がっており、気が気じゃない。

 そんなことを思いながら走っているうちに、門に到着したが、走る速度はそのままに中に飛び込む。


 そこには、倒壊した建物を背景に、冒険者が死に戻り(バックレヴィバル)したのか、あっちこっちにアイテムが散らばっている。そして、それを回収していくダークマジシャン達。


 気が付くと俺は叫びながらダークマジシャンの群れに剣を構えながら突っ込んでいっていた。

名前の変更を考えていたんですけどね、考え付いた名前が全部サブタイトルっぽかったので、このままでいこうと考え直しました。

 お騒がせしてしまいスイマセン。

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