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最強は自我を持つNPC?  作者: 現実↓逃避
第1章 初めてのVRゲーム
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防衛十一回目

 ササと名乗った少女の経営しているという店の中に入ると、中には所狭しとばかりに、金属製の武器や、防具が並んでいた。


「どうよ、私の店は」

「これ全部ササさんが作ったんですよね?なんと言うか、すごいですね」

「おうよ、私の生きがいだからな」


 誇らしげに胸をはるササさんは、僕達のほうを向いて、

「そういえば、お前らの名前聞いてなかったな」

「僕は中や…間違えた、ヤマトです」

「私はマドイ」

「赤髪がヤマトで銀髪がマドイだな?よし、覚えたぞ」

 ササさんは、僕達の顔を見ながら名前を復唱して、名前を覚えようとしている。

 

「ササさんこれは?」


 先ほどからキョロキョロと店内を見ていたマドイさんが声をかけた。マドイさんの指差す先には、金属製の矢と、木のフレームを鉄で補強した弓が、カウンターの奥に鎮座していた。


「ああ、それは売れないぞ。なんせそれは試作品だ」

「じゃあ試し撃ちは?」

「それぐらいならいいが、的に出来る場所なんて無いぞ」

「今攻めてきているMOBを的にする」

「じゃあ渡せないな。まだ未完成のものを使わせて死なれたら寝覚めが悪い」


 ササさんにはササさんなりのこだわりがあるみたいだ。まあ、確かに自分の作った武器で、その使用者が死んだらと考えると、渡せない。いや、渡さないと思うな。


「そういえば、普通の鉄の弓と形がそこまで変わらないように見えるんだけど?」

「普通の鉄の弓はフレームの回りを鉄で覆っているけど、これは半分しか覆われていない」

「そうだぞ、お前はこれを普通の鉄の弓と一緒にしたが、これは違うぞ。なんせ普通のやつは、全面を覆わなければ強度が足らなくて、使っているうちに自壊しちまうんだ。しかも、全面覆ってるから重く、使用にはそれなりの力が必要だ。だが、コイツは違う。まだ改良中だが、補強している部分が半分しかないからそこまで力は必要ない。代わりといっちゃ何だが、ちょっと扱いづらいんだよな」

「扱いづらい?」


 ササさんは気まずそうに自分の頬を掻きながら視線を逸らし、話し始める。

「ああ、実はな、軽量化もされ、装備するためにの必要な筋力も少なくなっている。けどな、課題点として耐久の低下、(つる)を引くのに必要な筋力が増えている割には威力が低下してるんだよ」

「劣化してるじゃん!」

「だから改良中だって言ってるだろうが!」

「その弓のモニターになるから使わせて」

「モニターとして使うんならいいぞ。でも、完成品はちゃんと金払って買えよ」

「分かった」


 マドイさんの目が、無表情なのにも関わらず、まるでおもちゃを与えられた犬のようにキラキラしている。

「じゃあ、ためしに持ってみろ」


 マドイさんは嬉しそうな雰囲気を出しながら、ササさんから受け取った弓の弦を、指で弾いている。

「試し撃ちは、今度お前らが来るまでに的用意しておくから、そんときな」

「ササさんありがとうございます」

「お礼はいらねえよ。まだ未完のものを使わせちまってるんだからな。私が弓も扱えればもう完成している予定だったんだけどな。後、そのさん付けはやめろ。呼び捨てでいい。そこの赤髪もだぞ。さん付けなんぞしたらぶっ飛ばすからな」

「分かった」

「りょ、了解です」


 ササは満足そうな顔をしている。満足そうな表情のササは、見た目と合わさって、幼い子供が自分のやりたいことを、うまく成功させた時のような感じだ。でも僕は一つ疑問が出来たので、聞いてみることにした。


「ササさ「なんか急に武器の素振りをしたくなってきたな。やっぱり的があるほうがいいもんな」ササは確か金属専門だったよね」

 ササは不機嫌そうな表情で、僕の言葉を肯定した。


「じゃあ、あの弓のフレームってどうしたの?」

「ああ、私はオーダーメイドで鎧とかに紋様を彫ってくれとか言われるんだよ。それに比べたら、木を弓の形に整えるぐらいは余裕だぜ。変わりに、木をどう削れば耐久が強くなるかとかが一切分からないから、そこは本職に負けるけどな」

「じゃあ、この弓のフレームに使われている木って、どんな素材なんですか?」

「あー、確かウッドロックの町を拠点にしてた冒険者が、発見したはいいが、使い道が分からないとか言って、こっちに拠点を移したときに、素材の性能の割には安い値段で買い取った。もっと出すとは言ったんだが、本人がかたくなにこの値段でいいって言ってたんだよな」


 ササの説明を聞いてから、マドイさんは何かを考えているのか、自分のあごに指を添えて目を閉じている。しかし、絵になるなぁ。マドイさんはゆっくり目を開くと、

「その素材があれば、完成するの早くなる?」

「ああ、サンプルが多いほうがいいからな。でも、今のお前らじゃ多分倒せないぜ」

「何が?」

「この素材はな、ウッドロックの近くにある森の中のひとつ、石碑の森(せきひのもり)にいる、トレントマンを倒すと、稀に手に入る、【精霊樹の苗木】というものなんだ、さっき安く買い取ったって言ったが、それは相場よりかは安かったってだけだ」


 マドイさんは目に見える形で、少し落ち込んでいるのが分かる。そうとうに、あの弓を気に入ったみたいです。SS(スクショ)の撮り方をちゃんと見ておいてよかった。けど、良心が撮影しようとする僕を押しとどめてしまった。


 他の武器の説明をササから受けていると、大通りを通る冒険者や、町の自警団と(おぼ)しきNPCの往来が多くなった。

 もう防衛戦が終わったのかと思ったが、そのような雰囲気が一切ない。むしろ、何か緊急事態が発生し、それの収集へと奔走しているかのようなあわただしさがある。

 気になった僕は、ササの店から顔を出し、ちょうど通りかかったプレイヤーと思われる人物に話を聞こうと声をかけた。


「何かあったんですか?」

「なんだあんた。まだ知らないやつがいたとはな。ちゃんと情報共有スレッド見てんのか?そもそもちゃんと防衛戦に参加しやがれ!」

「僕は町民の避難と護衛を任されたんです」

「じゃあ、なんでこんなところにいるんだよ。さっさと町民が集まってるところに行きやがれ」

「私の客に、いちゃもんつけてんじゃねえよ。捻り潰すぞ腐れ冒険者」


 店の中から、僕の目の前にいる冒険者に対して、罵倒しながらササが出てきた。


「なんだこのクソガキ。今のは俺に対して言ったのか?」

「お前以外の誰がいるんだよ。今すぐ失せろ」

「調子に乗るなよ。クソガキのNPCごときが、俺に向かって…」


 反論しようとしたプレイヤーの目の前で、ササが無言でハンマーの素振りを始めた。見た目と違い、重量のあるものを振るっているのを見て、男は固まってしまっている。


「何をしているんですか?」

 一人の男性プレイヤーがこちらへと走ってくると、固まったままの男に声をかけた。装備している鎧がどう見ても鉄装備ではない。


「アルベルトさん、こいつらが町民の護衛に入っているはずなのに、こんなところで油売ってやがるんですよ」

「そこは大丈夫ですよ。彼らには、逃げそびれている町民の捜索をお願いしましたから。それより、早く西門へと行ってください。すでに破られてしまっていますよ」

「は、はい」


 男は本来の自分の役割を思い出したのか、この場から走って立ち去ってしまった。


「それでは、私はここで行かせてもらいます。あなた方も早く逃げてくださいね」

 アルベルトさんはそう言うと、こちらが何かを聞く前に、さっきの男の後を追って、走って言った。

「なんだ?あいつと知り合いか?」

 ササが若干剣呑とした空気を出しながら僕達に聞いてくる。僕とマドイさんはそろって首を横に振ったけど、ササはまだ疑っているようで、僕達をジト目で睨んでくる。それを見てマドイさんがもう一度首を左右に振る。


「態度に嘘はなさそうだな」

「アルベルトさんと何かあったんですか?」

「私の顧客に成りたいとか言ってきてな、私は断ったんだよ。そしたらレア装備持ってきてな、これを鍛えてくれって言ったんだよ。一度鍛えてみたいとは思っていた武器だったから了承したら、何を勘違いしたのか他の団員のも頼むとか言ってきて、私の気に入らない量産品を持ってきやがった。だから出禁にしたんだ」


 うわぁ、アルベルトさん以外とえぐい事してるんだな。まさか相手がNPCだからか?いやいや、あの温厚そうな人がそんなことするイメージが湧かない

「そういえばあの人スレッドが云々言ってたけど」

「なあ、そのスレッド?ってなんだ」

「大勢の人が自分の情報を書き込んで共有しているもの、細かく種類ごとに分かれている」

「それは私たち町民も見れるものなのか?」

「確かできないはず」


 この時僕の頭の中に一つの案が浮かんだ。けど、これが成功するかはわからない。


「ねえ、僕たちがそれを可視化すればいいんじゃないかな?そしたら見れるかもよ?」

「本当か?それより可視化ってなんだよ」

「確証はないけど、とりあえず試すだけだから。ね?」

「わかった」


 マドイさんは頷くと、空中に指を走らせ、必要なところを見つけたのか、少し固まった。


「ササ、場合によっては不愉快な気分になるかもしれない。けど見る?」

「冒険者がたまにむかつくこと言ってくるのは、私たち町民かたしたら当たり前なんだよ。いまさらだ。だから問題ないぜ」


 マドイさんは、ササの言葉を聞いて、指を再び動かし、自分の目の前に表示枠(フレーム)を出した。

 何々?タイトルは『ヘイストリムの防衛記録その3』か。その3?


「ササ、えっと、この町って今回で防衛戦何回目?」

「ん?確か3回目だぞ。それがどうかしたのか?」

「いや、タイトルのその3って言うのが気になったから…ササは見えてるの?」

「おう、一応見えてるぜ」


 よかった、見えていたみたいだ。さて、なんて書かれているのかな?

 スレッドを見た僕の目に入ってきたのは、マドイさんがこの短時間で重要なところを探したみたいで、少し大きめの文字で、『急報、西門突破、別働隊にボス発見』と書かれていた。

 僕はチラッと、この町の住人であるササを盗み見ると、スレッドを険しい顔で見ていて、マドイさんに始めから見せてくれと言った。

 テストが近づいてきているため、投稿ペースがだんだんと低下しています。夏休みに入ったらペース元に戻せるかな?

 後、サブタイトルを変更するかどうかで悩んでいます。もしかしたら変えるかもです。

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