カケラ
照り付ける昼下がりの陽射しが、カケラを透過する。
青い空が映し出され、
世界は一瞬静かに動きを留めた。
羊雲の浮かぶ高い秋の空に、
いつかの夏の日を見た。
記憶のカケラを思い出す。
永遠だと思っていた一瞬、
その一瞬は思い出という名の永遠になり、
ふとした瞬間に永遠はカケラの中で一瞬に帰った。
クルクル廻る。
カラン、と
ガラス同士が当たる音を聞いたような錯覚。
あぁ、
そうだ。
サイダーの瓶。
あの日の景色だ。
その一瞬の風景に思う。
手の平から離れた氷のカケラは宙をクルクルと廻りながら、
まだ厳しい初秋の陽射しにキラキラと光る。
一瞬の間に、
秋の澄んだ空の青を内に取り込んで、
地へと。
空の、カケラとなって。