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ninety sixth story 

「よし、もうそろそろ行くか。」


龍崎はまだ目を赤くしてる私を、そっと抱き起こして聞いた。


「・・・・うん。」


鼻水をすすりながら頷いた。


フッと龍崎は笑い、私の手を優しく握って引っ張った。



「もう、泣くなよ。」


クシャッと私の頭をなぜて、そのまま教室へと向けて私を引きずっていった。











私達が教室へ入った直後に本令が響いた。

教室の前のドアから、担任が入ってきた。

そういえば、次はアイツの英語の時間だった。

ごつい顔に合わない、教化だ。と、私はつくづく思う。

教室の雰囲気が一気に暗くなった。



「日直ー!号令かけろ。」


担任の長谷川は龍崎を≪まだ居たのか。≫といわんばかりに睨んだ。



「あっ!はい。・・・姿勢・・礼」


日直は慌てて号令をかける。


「でわ、授業をはじめる。・・・、と、その前に、今日は学校に来なくても余裕だったという、ウザイ奴が来ている。そんな、偉い奴に・・・、今から書く問題を解いてもらおうと思う。・・・いいだろ?龍崎。」


長谷川はそういって、不気味に龍崎に笑いかける。

絶対、高校生レベルじゃない問題を解かせる気だ。

体から発せられる、尋常じゃない邪気がそれを確信させていた。



「・・・・・。」


その一方で、龍崎は少し腹黒そうに笑ってみていた。

その様子に長谷川は少し押されながらも、大声を出した。


「どうした!龍崎、返事がないぞ?自信がないのか?解けなくて、恥をさらすのが!!」


空気の張り詰めた静かな教室に、長谷川の声が響く。

大声で叫ぶ長谷川は、正直言って子ども臭かった。


そんな長谷川を、龍崎はひるむ様子もなく見つめていた。

それどころか、挑戦的な笑みを浮かべた。



「いえ、別にそんな心配をしてんじゃないで・・・。だた、これで俺が正解を出したら、先生のプライドとか、面子が崩れるんじゃないかなぁって・・・。俺はどっかの誰かさんみたく、人に恥じかかせて喜ぶような子どもっぽいたちじゃないんで。」


ニヤッと龍崎は笑い、長谷川は顔を赤くして握っていたチョークを二つに割った。


「・・・、それは正解してから考えるんだな・・・。」


歯をぎりぎりを鳴らしながら、長谷川は黒板にチョークを滑らさせた。




のっと・・・あい・・・あっ、読めない・・・。


黒板に白いアルファベットが3行ほど並べられる。

それも、ご丁寧に汚い行書(つなげ文字)だ。


皆はざわざわ言っていた。

こんな問題大学生でも解けないんじゃないかと。



長々とした英文を書き終えた長谷川は、満足げに龍崎を見る。


「どうだ?こんな問題も分からないのか?早く前に出て来いよ。腰抜けが!」


そう笑う長谷川に、クラスの誰かが「卑怯者」と呟く。

それに「うるさいッッ!」とつばを散らしながら怒鳴る長谷川。

先生失格だろ・・・。




それより・・・、こんな問題、いくら龍崎でも解けるわけない。

どうするんだろう・・・。


私はちらっと龍崎のほうに目を向ける。


・・・、信じられない。


龍崎は不適に笑っていた。



スッと龍崎は立ち上がり、黒板の方へ歩いていく。

その光景に、クラス中がざわついた。

長谷川も驚いたように、見ていた。



龍崎は黒板の前に着くと、長谷川が書いていたスピードより早く訳を書いていった。




30秒もしないうちに、龍崎はチョークを黒板のサンに置いた。



「どうぞ、見てください。正解のはずです。」


フッと龍崎は笑って、横によけた。

長谷川はくいいるように、黒板の文字を見つめる。


10分間、長谷川は訳を何回も読み返していた。

合っているのが信じられないのだろう。



「・・・・・・ふっ・・、ドンマイだな。お前、一つ間違えてるぞ。」


長谷川は、安心したかのように笑い、いやみったらしく言ってきた。


「漢字で間違えるなど・・・、馬鹿じゃないか!」


長谷川は、赤いチョークで大きなバツをつけた。


漢字とか、英語に関係ないじゃん。


クラスの中から、そんな声がいくつも聞こえた。



「あ〜、そうですね。ご指摘、ありがとうございます。あと、この問題はおくが深いですねぇ・・。」


自信たっぷりに笑う、長谷川を前にして、龍崎はさわやかに笑った。

そこからは、焦りや恥ずかしさは感じられなかった。


龍崎は、赤いチョークを手に取った。



「先生はわざわざ、問題文にも問題を隠してくれていたんですね。つづりミスを見つけろと・・。」


そういって、龍崎は赤いチョークでバツをつける。

そのバツをつけた単語のうえに、読みやすいキレイなつなげ文字で、単語を書き直した。



そのとたん、長谷川は真っ赤になった。


「当たり前だ!・・・、よく分かったじゃないか・・。・・・、今日は自習だ!!」


長谷川は、どんと教卓を叩いて、教室を出て行った。


その様子を龍崎は、笑ってみていた。




しばらくして、教室はざわつき、いつの間にか多くの人が龍崎の周りに集まっていた。

たあ、あのグループを除いては。









すみません・・・。色々ありまして・・、中々更新できませんでした・・。


夏休み中には最終話を迎えると思います♪


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