ninetyth story
「・・・・勉強?」
龍崎は少し眉間にしわを寄せて聞き返す。
「そっ!教室で!」
それに対し、私は人差し指を立てて答える。
「・・・・。」
ボリボリと龍崎は頭をかく。
やっぱ、無理かなぁ・・・。
私は不安そうに見つめる。
「・・・・何で?」
下を向いたまま言った。
何でって・・・。
「クラスの男子が・・・、龍崎の事馬鹿にしたから・・・。近くにいれば、龍崎のいいところ分かるんじゃないかなって・・・。」
「それだけ?」
気がつけば、先ほどまで下を見ていた龍崎の目は今は私をしっかり捕らえていた。
その目は、何もかも見透かしているようで、意識とは関係なく口は動いてしまった。
「隆志・・・、峯元隆志が、告って来たの。」
龍崎の動きが一瞬止まる。
怒りが溢れてきていた。
「もちろん振ったよ。」
私は急いで続きを言った。
「でもさ・・・、龍崎を馬鹿にしたから・・・、ムカついて・・・。何も知らないくせに・・。」
「俺が行ったら、もっとあいつらの俺に対する物?みたいなの悪くなるかもよ?」
「なんで?」
龍崎はいたずらな笑みを浮かべた。
「俺は、お前にしか優しくするきないから。」
「っ・・・。なに・・、それ。」
そんな事を言ってくるとは思ってもいなかったから、あっという間に私の顔は赤くなる。
「なにって。。、そのまんまの意味だけど?」
恥ずかしかったけど、内心少し・・・すごく嬉しかった。
龍崎が優しくするのは私だけなんだって。
それが、すごく安心した。
でも・・・。
「駄目じゃん!そんなんじゃ、龍崎、いつまでたっても、影でこそこそ言われるんだよ?そんなん、悲しいじゃん!!」
龍崎は少し考えて、顔を上げた。
「別に、悲しくなんてないけど?もう、慣れてるし・・・。」
慣れてる・・・?
その言葉が、とても悲しく感じた。
おかしいね、私だって使ってたのに・・。
「でも、陰で言われて、お前がそんな顔するんだったら、しょうがないから協力してやろう。」
「えっ・・・?」
まぢで?
よかったぁ・・。
「でも、そんな顔って?」
「さっき、『そんなん悲しいじゃん!』って、言ってたとき、こんな顔してたぞ。」
龍崎はそういって、今にもなきそうな顔をした。
「・・・そんな顔なんか、してないし。」
恥ずかしいのもあって、私は顔をそらす。
そのそれた顔を、龍崎は私の頬をつまんで自分の方と向ける。
そして、またキスをした。
「でも、嬉しかったんだけど。オレの事思ってくれて。」
唇が離れた直後、龍崎はそう呟いた。
少し顔を赤くした龍崎が可愛くて私は思わず笑ってしまった。
「じゃぁ、ひとまず、今日は何にも持ってきてねーから、明日からでいい?」
龍崎は手をぶらぶらさせる。
何も持ってきてないって・・・、何しに来てるのさ?
まぁ、いっか。
「明日からで大丈夫?無理してないよね?」
「・・・、無理って。お前がたのんできたんじゃん。」
龍崎はクスッと笑う。
「それに、お前の頼みは無理してでも聞くし。」
私の頭をくしゃくしゃとなぜる。
「じゃぁ、もうそろそろ本当にチャイムなるから行け。」
そういって、龍崎は立ち上がる。
私を抱くようにして、下に降ろした。
「昼休憩もここに居るから。来いよ?」
「もちっ!」
私はニコッと笑って、手を振って教室へと走った。
あの雰囲気の教室はいるのは気が引けたけど、ドアの前で恵里と優香が待っててくれたから難なく入れた。
「明日、龍崎教室に降りてくるって。」
「まぢ?大丈夫?峯元とか・・・、沙織たちとか・・・。」
私が報告すると、優香たちが心配そうな顔をした。
そんな優香たちに、笑顔を向けて、
「大丈夫!龍崎はいい奴だもん。」
わざと、教室全体に聞こえる声で言った。
多くの視線が私に向けられていたけど、ちょうど先生が来たから何もなかった。
その後も、特に何もなく、ただ、昼休憩も沙織たちが台の上にいる龍崎に向けてキャーキャー言ってるだけだった。
復活で〜す!!長らくお待たせいたしました!!
これからも、どうぞ、宜しくお願い致します!!