eight seventh story ライバル多数?
目が覚めたら、6時だった。
今までだったら、とっくに家を出ていた時間。
でも、これからは大丈夫。
私は、携帯電話を鞄の中に入れた。
いつもみたいに、窓にかかってる制服に着替え、ゆっくり階段を下りる。
昨日の残りのオムライスを温めなおして食べる。
昨日より味が落ちるけど、美味しかった。
簡単に身の回りの整理をしたら、時計は7時20分を指していて、普通に学校に行くにはちょうどいい時間だった。
私は少し悩んで、メモ帳から一枚紙を取った。
そこに、≪お帰りなさい。お母さん、お父さん、みこ≫と書いた。
読み返してみると恥ずかしくて、捨ててしまいそうな衝動に翔られたけど、何とか机の上におくことに成功した。
少し、息を吐いて、落ち着かせる。
綾子さん・・・・、お母さん達、なんていうかな?
「行って来ます。」
誰もいない家にそういい残して、鍵をかける。
クリスマスまで後5日。
そんな日の太陽は冬でも優しかった。
それでもやっぱり寒くて、少し外れかけてきたマフラーをきつく締めなおす。
それでも何処からか、冬の冷たい風は体に流れ込んできた。
仕方なく学校まで走っていくことにした。
学校に付く頃には、うっすら汗をかいていて、白い息が荒々しく放出されていた。
学校はいつもと同じだった。
運動場や、テニスコート、サッカーコート、体育館、柔道場などから、朝練に励む生徒達の声が聞こえる。
ただ、一つ違ったのは、私の靴箱の辺りで、見慣れた女の子達がたむろしていた。
きっと、同じクラスの沙織達だろう。
どうしたのかな?
「おっはよ〜。どしたの?そんなところで。」
私が声をかけると、沙織は手を上げて、
「よぉ、奈緒。今日も早いねぇ〜、明日は夏かな?あと、ある人待ってんの。」
巻いてる茶髪をふわふわと動かしながら言う沙織。
「ある人?」
私が問いかけると、今度は沙織の隣にいた奈津実が答えた。
「リュウザキ カオル君〜」
ハートが付いていた気がするのは気のせいだろうか?
てか、何で?
前まで怖がってたじゃん。
「カオル君って、よく見たらメッチャかっこよくない?」
「そうそう、最近、雰囲気も柔らかくなってきたしさ〜。」
「この学校で一番かっこいし〜。」
私をおいて、勝手に盛り上がる沙織たち。
もしや、これって・・・、やばい状態?
「で、奈緒はカオル君と付き合ってるとかないよね?」
「ふぇ!?」
いきなり話を振られて、びびった。
どう答えればいいのさ?
「いや、えっと〜。つき「なわけないじゃん〜。奈緒が。」
いちおう肯定しようとしてたのに、美奈が入ってきた。
そして、また盛り上がる集団たち。
私、沙織たち苦手なんだけどなぁ・・・。
少し引いている私を尻目に、沙織たちは龍崎をどうやって落とすかをギャハギャハ笑ながら話していた。
このままでは・・・・やばいんじゃない?
なんか、取られそう・・・。
私は一度深呼吸をして、もう一度大きく息を吸う。
「わっ、私、付き合ってるから!!龍崎と!!」
周りが静寂に包まれた。
つぎの瞬間
「えっ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。」
沙織たちはもちろん、周りにいる女の子も、男の子も、ざわざわといい始めた。
「マジで?いつから?」
さっきまで座っていた沙織たちが立ち上がる。
身長が高い方ではない私は見下ろされた。
「まじで。・・・・・・・・昨日から。」
最後の方は少し小さくなった。
「昨日から!!?」
沙織たちは笑い出した。
馬鹿にしたような笑いに怒りを覚える。
「昨日からじゃ、いけないの?」
出来るだけ睨んでみる。
「いや、いけなくない。むしろいい。だって、付き合い短いってことは、簡単に別れるんじゃないの?うちらが少し話しかければ。」
「なっ!!」
カッチーン
何それ?
別れさせる?
自分達のために?
「ふっ、やれるもんならやってみれば?」
今にも切れて飛びかかっていこうとする気持ちを抑えて、挑戦的な笑みを浮かべる。
そっちの方が相手が負けた気分になるから。
私はそういって、その場を後にした。
何時間か後、もう一話更新します!!