eight fifth story
すみませんでした!!私、中坊なもので・・・、大量の提出物に追われて、パソコンに触れませんでした・・・。
長い間、すみませんでした・・。
土曜日、2話、更新使用と思います!!
ことこと トントン ぐつぐつ
そんな暖かな音を立てながら、忙しそうに動いてる龍崎。
男が料理をするなんて、キモイのかもしれないけど、龍崎はそれを感じさせなかった。
キッチンから漂ってくる匂いに包まれて、私は龍崎に見とれていた。
いっつも、自分で作ったものとか、コンビニで買ってきたものばかり食べていたから、漂う匂いがとても懐かしい。
「うしっ。」
その声と共に、私に向かって何か投げられた。
「うわっ!!」
慌てて受け取ったのは、湿ったハンドタオル。つまり、台拭きだった。
「少しは働け。」
きっと、テーブルを拭けってことだろう。
私は少し唇を立てて、しぶしぶ拭き始めた。
きゅっ、きゅっtっと、なりながら拭かれるテーブル。
その上に、湯気が立っている料理を運ぶ龍崎。
これじゃ・・・・・
「どした?」
ふくてが 泊まってた私に気がついたのだろう。龍崎はそう尋ねてきた。
「・・・・だってさぁ・・・・、これじゃぁ、どっちが女かわかんないじゃん・・。」
頬を膨らませて言ってみる。
だって、むないじゃん・・、こーゆーの。
龍崎は少し笑って、
「えっ?お前って、女だったの?」
と、べろを出して言ってきた。
まるで、小さい男の子がいたずらでもしたかのように。
「むぅぅ~」
私は、少し唸って、布巾を投げつけた。
龍崎はそれを軽くキャッチして、早く食べろと言った。
その顔は、笑いをこらえてて、だいぶムカついたけど、鼻に流れてくる美味しそうな匂いには勝てなかった。
「・・・・・・・、頂きます。」
私は軽く手を合わせると、湯気が立ち上ってるオムライスにスプーンを刺した。
「・・・・っ。」
口に入れるととろける卵。
程よい味付けの、ご飯。
口の中に暖かさが広がる。
懐かしい味。
ポン ポン
龍崎が私の頭をなぜる。
何でかなって、思ったけど、すぐに分かった。
私は泣いていた。
何の前触れもなく、いきなり目から溢れてきたのだ。
理由は、多分、このオムライス。
あの時、
私が綾子さん達に引き取られた時の夜、綾子さんが作ってくれたオムライスと同じ味だったから。
私が、神田奈緒になった日だから。
私がそのとき美味しいって言ったら、綾子さん、毎年誕生日に作ってくれた。
でも・・・、何で?
何で龍崎がこれを作れるの?
私は、龍崎を見た。
龍崎は、肩肘を付いて、私を見ていた。
「このレシピ、・・・あの人から教えて貰った奴。夕飯にはぜひこれを作ってくれって。」
「へっ?」
「あの人、『最近、奈緒が反抗期っぽくて・・・。』って、悩んでた。」
いたずらな笑みを浮かべる龍崎。
私は、この笑みに弱いのかもしれない。
「お前は、あの人にとって、いらない存在じゃないんだよ。自信持てよ馬鹿。」
このドキドキは、あまりにも龍崎が優しく笑ったから。
この温かさは、オムライスが暖かいから。
この涙は、自分の存在が、ハッキリしたから。
私は、手で軽く涙をふき取って、龍崎から目をそらした。
少し震える手で、スプーンを掴んでオムライスを食べた。
「・・・・・ありがと。」
自分にも聞こえるか聞こえないかの声で言ったのに、龍崎は、ああと、軽く言ってくれた。
明日・・・、皆が帰ってくる。
それでも、悲しくなかった。
カチャカチャと、後片付けを始めた龍崎。
私は、その隣に立った。
「?」
龍崎は不思議がった。
「私・・・、今日はじめて、龍崎をカッコイイと思った。」
「初めてかよ。」
龍崎は、少し笑って、荒いものをしていた手を止めた。
そして、私にキスをした。