eight fourth story
私はその、窓から入るわずかな光に照らされた、とても美しい顔を見ていた。
柔らかな光は、淡く微笑むその顔をいっそう引き立てて、目が離せなかった。
「・・・・・何、見てんだよ。」
龍崎は少し眉間にしわを寄せて、恥ずかしそうに言った。
「・・・・、ううん。なんか、キレイだなぁって・・・。」
「んなっ!!なんだよ!キレイって・・。前は可愛いとか言ってたくせに!!」
龍崎は顔を真っ赤にした。
とてもとても、恥ずかしいみたいだ。
顔を真っ赤にして、目をそらす龍崎が可愛くて可愛くて・・・私はクスッと笑ってしまった。
「何?可愛いって言った方が良かった?」
「ばっ!馬鹿か!!つーか、笑うなアホ!!」
龍崎は私のホッペをつねってきた。
「いは〜い!!」
それが少し痛くて、龍崎を押しのけようとした。
でも、龍崎はそれほど強く掴んでなかたらしくて、私は押そうとした拍子で龍崎に飛び込んでしまった。
「・・・・。」
「・・・・。」
なに・・・してるの?ワタシハ・・・。
龍崎に抱きついてる私。
流れる沈黙。
恥ずかしくて目をそらした。
「お前・・、馬鹿じゃね〜の?」
「っっ!!」
頬に伝わる少し冷たい感触。
少し強引に向きを変えられる顔。
次第に大きくなっていく、心臓の音。
龍崎の整った顔が近寄ってきた。
うひぃぃ〜
顔がありえ得ないぐらい熱くなるのを感じながら、ゆっくりと目をつぶる。
恥ずかしいよぉ・・・。
グゥゥゥ〜
―――――えっ?
聞こえる。
何がって?
お腹の虫の泣き声が。
何処からって?
私のお腹の中から。
パチッと眼を開ける。
3センチ離れてないところに、龍崎が私と同じような顔をしていた。
「うっ・・・・・ぎゃぁぁぁぁぁ〜」
ガタッ!
私は恥ずかしさのあまり立ち上がって、走り出した。
10メートルほど走って、部屋の端にしゃがみこんだ。
ぐはぁぁ〜・・・。
もう、死にたい。
ギシッっと、龍崎が近づいてくる。
その足音と共に、笑い声まで聞こえる。
「そこの馬鹿。なんか作ってやるから、顔上げろ。」
その声と同時に、部屋の電気がついた。
そして、私の体がういた。
「っっっっっ!!リュウザキィ!!離して、降ろして、ほっといてぇぇ!!!」
お姫様ダッコをされていた。
顔から、全身へ熱が広がっていくような感じがする。
まるで40度以上の熱を出したかのような。
手足をバタバタさせたけれど、どうにもならなかった。
ボトッと、私はソファーに落とされて、そのまま龍崎は、キッチンの方へと行ってしまった。
龍崎はまるで、自分家のように、自然に冷蔵庫を開ける。
「これって、勝手に作っていいのか?」
「・・・?いいんじゃない?」
食べ物は食べるものだし・・。
目の前のキッチンで、まるでコックのように料理を作っていく龍崎。
その姿は、男のくせに様になってた。
なんだよ・・。何でも出来るんじゃん。
少しハブテながら私は龍崎を見ていた。
これって、新婚さんみたいだよね・・・、って、思いながら。