eight third story 家族
夜の闇が怖かった。
一人でずぅっといると、消えてしまいそうだった。
そんな寂しさを紛らわすため、私は自分だけが出来る「ぴーぷる うぉっちんぐ」を始めた。
おかしいって分かってた。
他人に理解されるようなことじゃないって、分かってた。
そんなことやっても、寂しさは消えないって分かってた。
それでも、何かしないと怖かったんだ。
そんなとき、目の前に現れたのはアイツだった。
「・・・・ん・・・」
どうやら私は寝ていたようだ。
なんだか、意識を失うまでの記憶が無い。
懐かしいものをみたなぁ・・・・てか、走馬灯?
体制と、ぬくもりから私は誰かにもたれかかって寝ていたようだ。
ゆっくりと眼を開ける。
まだぼやける視界からは、周りが暗いというところまでしかつかめなかった。
私・・・何をしてたんだ?
・・・・・、思い出した。
龍崎に捕まって、・・・いい事があって、何もかも話して、泣いたんだ・・・。
じゃぁ、私が抱きついてるのって・・・・。
私は、飛びあがった。
「っ!・・・ああ、起きたんだ。」
やっぱり・・、神様、夢だと言ってください。
私は龍崎の胸の中にいた。
目は、泣きすぎたのかまだ痛かったけど、恥ずかしくて下を向いた。
フッっと、龍崎は笑って、また私を胸の中に包み込んだ。
「ぬあぁっ!!!」
・・・・・、ビックリしたぁ・・・。
でも、このぬくもりや香りはとても落ち着けた。
私は、そっと龍崎の背中に手を回してみた。
龍崎はますます力を入れて抱きしめてくれた。
「・・・・あのね、私・・・、夢見たんだ。」
「ふ〜ん・・、何の?」
うひぃぃ〜・・、龍崎の息が耳に当たる。
「むっ、昔の。」
言葉が詰まったのは、龍崎が近くにいるからなのに、龍崎は誤解してか、心配してくれた。
「大丈夫だよ。ありがと。」
私は少し離れて目を見ていう。
それでもまだ龍崎は不安がっていた。
「俺は・・・、一番近くにいる奴が・・・家族なんだと思う。」
―――えっ?
龍崎は少し伏せ気味にそういった。
恥ずかしそうに。
「そっか、そうだよね。」
なんだか、軽くなったような気がした。
それが、龍崎に話したからか、龍崎の言葉のせいかは分からない。
私達は向かい合って、また笑った。
「わたし、頑張ってっみる。近くにいる人が家族なんだよね?」
龍崎は私の頭を、軽くなぜた。
その顔は少なからず笑っていた。
馬鹿笑いじゃなくて、心からの、優しい笑い。
その顔は、男とは思えないほどきれいだった。