eight first story
泰助さんと綾子さんには子供がいないんだって。
「お母さんはね、赤ちゃんが出来ないの。」
綾子さんはそう、悲しんでいた。
出来ないから、奈緒がいるのかな?
綾子さん達は自分の事を、『お母さん』『お父さん』って呼んだ。
奈緒もそう呼んだほうがいいのかな。
でも、呼べないや。
ごめんね、綾子さん泰輔さん。
綾子さん達の家はすごくすごく、大きかった。
まるでお城みたい。
それで、前の家からすごくすごく離れてて、周りは知らない人ばかりだった。
皆、奈緒のこと、「気持ち悪い」って言わなかった。
でも、
近くに住んでるおばちゃんたちは、陰で奈緒のことを『養子』って、言ってた。
ようし。
なんだろう?
奈緒がそれをはじめて調べたのはずっと後だった。
神田奈緒になって3年経った。
もう、私は4年生だった。
この3年間はあっという間だった。
変わったことは山ほど。
例えば、自分の事を私って、呼ぶようになった。
優香という親友が出来た。
皆に何も言ってないから、仲良しでいれた。
綾子さんや、泰助さんが大切な人になった。
大きなお城みたいな家での暮らしも、もう何の違和感も無い。
まるでずっと前からいたような感じだった。
綾子さんも、泰助さんも、仕事で平日はぜんぜんいなかった。
でも、週末は必ず帰ってきてくれて、一緒におでかけに行った。
とても、とても毎日が楽しかった。
「あの子でしょ?神田さんちの養子って・・・。」
帰り道、いまだに近所のおばさんのうわさの的は私だった。
今ではもう、養子って意味を理解してる。
いい意味で言われてないってことも。
そのたび、優香が飛びかかっていこうとするけど、私はそれを阻止した。
別に、気にしてなかった。
もう少しで、綾子さん達をお母さんって、呼べそうだった。
この時までは幸せだった。
中学生になって、お小遣いをもらえるようになった。
そして、お小遣いをもらえるようになって初めての、母の日。
私は、優香についてってもらって、カーネーションを買った。
赤と白とピンクの花束。
それに、手紙も書いた。
何回も書き直して、くしゃくしゃになった手紙。
私はそれを手に、リビングのドアの前に立った。
緊張するなぁ・・・。
私は手を胸に当てて、深呼吸をする。
ドアノブに手をかけると、中から楽しそうな声がした。
どうやら泰助さんも帰ってきてるみたいだ。
『・・・・えっ?』
手紙が床に落ちる。
≪DEAR...お母さんへ≫
嫌味のように、その部分だけが私の目に入ってきた。
『あのね、赤ちゃん出来たんだってvvv』
綾子さんは、確かに一枚向こうの場所でそういっていた。
その声は、今まで感じたことの無い嬉しさがこもっていた。
私にあったとき以上の。
更新できなくてすみませんでした・・・。
呼んでいただき、ありがとうございました!!




