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seventyth story

顔中に落書きされていた神田の顔を思い出し、吹き出しそうになりながら、屋上へとつながるドアノブを握る。



「・・・・良かった、来てくれた。」



屋上の光か溢れるのと同時に、声がした。


田上が前に立っていた。


その声からは、前のようなキンキン声は無かった。



「もしかしたら、来てくれないんじゃないかなって、思ってたの。」




前のような態度が無くても、昨日の神田の様子を思い出して、俺は、田上と5メートルくらい距離を置いたところに立った。



12月の冷たい風が頬をなぜる。

その風は、想像以上に冷たくて、明日は雪かな、と、どうでもいい事が頭をよぎった。






「もう、知ってると思うけど、私、あなた達をだましたんだ。」



まっすぐ、真剣に田上は俺に向かって言う。


「みたいだな。」


間髪いれずに言った俺を見て、田上は少し寂しそうな笑顔を作った。


「毎日パンもって行ったり、手紙書いたり、屋上で待ってたり、そんなめんどくさいこといっつも繰り返してたのは、奈緒だよ。」


視線を、俺から空へ移しながら田上は言う。



「ああ。分かってる。」


騙されてたじゃん。

と、自分に突っ込んでみた。



「何で?何で、そんな鬱陶しい事したんだよ。」


怒っているつもりは無かったが、その声は、自分でも驚くほど低かった。

田上は、一瞬俺のほうを見た。




「・・・・だって、好きだったの。」



視線は空のまま、田上はただ普通にそう答えていた。



「はっ?」



言葉と、田上の行動があまりにもミスマッチで、俺は意味が分からなかった。



「好きだったから、あなた達を引き離したかったの。何をしてでも。」


「好きで、好きで、好きでしょうがなかったの!!」



その大人しそうな容姿からはまるで想像も付かないような大声を出した、



その目からは、大きな涙が流れていた。



その頬を流れるものは演技なのか、それとも素なのか。


俺には全く見当も付かなかった。





それでも、俺は何かする気は無かった。

出来ることなんてないから。

しようと思わないから。

しても意味が無いから。




「それさ、俺の返事が分かってて、言ってんの?」


「うん。」


相変わらず、視線は空のまま。


「お前がしたことで、俺らが離れるわけねーだろ。」


「うん。」


「俺は・・・アイツがすきなんだ。」


「うん。」


「守りたいのはあいつだけだし。」


「うん。」


「俺の大切な人はアイツだけだよ。」


「うん。」




「ワリィな。」


「えっ?」



田上は目を丸くしてこっちをみた。

でも、一番驚いたのは俺自身だった。


謝る気なんて、これぽっちも無かった。


でも、自然に口から出て行ってしまった。



俺は、色々なことを言いすぎて、顔が熱くなっていた。

その顔を見られないように、空へと顔を向けた。








その二秒後、田上の腕は俺の背中に回っていた。


「はっ!?」


俺は引き離そうと、肩をつかんだが、その手に力を加える前にある言葉で遮られた。



「お願い。少しだけでいいから、本の少しだけでいいから、このままでいせて。」



俺の胸に顔を埋めるようにして、田上は抱きついていた。








「・・・・ありがとう。」



田上はあれから約3秒で俺から離れた。

本当にほんの少しだった。



「これで諦めついた。来てくれてありがとう。」



そういって、田上は軽く手を振り、屋上から消えた。




冷たい風がまだ吹いていた。





昨日更新できなくて、すみません・・・。


ウイルスを倒していて・・・・。

やっと、パソコンが復帰して、書いたら・・・・・・消えました・・・。



今日は、ちゃんと、落ち着いてました!!


読んでくださり、ありがとうございました

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