sixty firsth story
『旦那さんとは連絡つきましたか?』
『いいえ・・・。昨日は夜遅くにすみません・・。』
『いえ。こちらこそ、迷惑お掛けしました。で、これからどうなさるつもりですか?』
『・・・・離婚するつもりです。あの人といたら、また馨に苦しい思いをさせてしまいそうで・・・。』
『そうですか・・・。』
何の話をしているんだ?
俺は直哉に花をもらったのはいいが、花瓶を持ってくるのを忘れたことに気づき、病室へと戻ろうとした。
ドアに手をかけたとき聞こえた会話がこれだ。
一瞬部屋を間違えたのかと思ったが、名前もあってるし、声も同じだった。
盗み聞きをしたわけじゃなかったが、足が動かなくて、結局聞いてしまった。
話の内容によると、あの人と直哉は昨日の夜会ってて、顔見知りだった。
そして、あの人は俺のために離婚を考えている。
俺のため・・・?
俺はその場に花を置いて、その場を去った。
少し考えたかった。
離婚は俺のため。
離婚したらどうなる?
もう、昔のようにはなれなくなる?
矛盾してるよな。
あの人たちの怒鳴り声は聞きたくない。
でも、昔のように仲良く遊びたい。
結局、ガキなんだよ、俺は。
いつの間にか、家のベットの中に居た。
考えすぎたんだろうか?
ものすごい眠気が襲ってくる。
視界がぼやけてきた時、あの二人の会話がまたリピートされた。
あいつらは、何であんな初対面のような反応をしたんだ?
俺を騙すため?
・・・・・訳わかんねぇ。
あと少しで、夢の世界に飛び立つ時、バタンッッと、激しくドアが開く音に起こされた。
「馨ッッッッッ!!!」
直哉だった。
息を切らせて、汗をかいて、俺の前に立った。
「はぁぁぁ・・。驚いた。急に居なくなるんだぜ?」
直哉はべたんと床に座る。
「眠いんだけど。」
「あ〜・・。あの話、聞いてたわけ?」
頭をぽりぽりかきながら言う直哉。
「眠いんだけど。」
「わりっ!騙してたことはあやまるっ!!昨日の夜、馨のお母さんに会いにいったんだ。」
「眠いんだけど。」
「でも、お袋さん、お前のことを思って決めたことだからさ。怒るなよ。」
「眠いんだけど。」
「・・・・・。」
黙りながら、布団にくるまってる俺をゆさゆさ揺らしてきた。
「だぁぁぁぁぁ!もう、怒んなよ!!」
「別に気にしてない。寝るから、部屋から出てけ。」
俺はそういって、顔まで完全に布団をかぶった。
しばらくは揺らしてきたが、5分も経てば部屋から出て行ってくれた。
気にしてない。
そういったら、うそになるかもしれない。
つーか、嘘だと思う。
俺は夢の世界へ落ちていった。
読んでいただき、ありがとうございました〜!!
少しばかり、テスト週間に入ってしまうので、更新が乱れると思います・・・。
すみません。