sixth story
「ごめん。あれ、嘘でした。はい。」
神田の声が静かな教室に響いた。
「はっ?!」
俺はパンの袋を落としそうになったがかろうじて掴んだ。
「だから、嘘でした。ごめんなさい。」
神田は軽く頭を下げた。
嘘ならなぜ、あの時『帰りたくない』といったのか?
あの時あいつの目には零れ落ちそうなぐらい涙が溜まっていたのか?
俺には理解できず、神田に聞き返そうとしたが・・・
顔を上げた時見えた神田の目は全てを跳ね返すような暗い色をしていた。
ー何も聞かないでー
その目はそう、訴えている気がして、俺は何も聞けなかった。
「・・・もういい。」
俺が袋の中からパンを1つ掴みだしながら言うと神田は安心したような顔になった。
「えへへ・・・。ありがと。」
そういいながら、笑った。
そのとき、俺の心臓の心拍数が少し上がってしまった。
きっと、こんな笑顔を見るのは久しぶりだからだろう。
「龍崎ってさ・・・カレーパン好きなの?」
神田が俺の手に捕まえられたパンを見てぼやく。
「・・・・・・・。」
カレーパン。それは、大好きな食べ物だ。
よく小さい頃お袋に作ってもらった。
「ねぇ。好きなの?」
黙ってる俺に神田はしつこく聞いてくる。
「ねぇ。」
「ねぇ。」
「ねぇ。」
「ね・・「だぁぁぁぁ!!好きだよ。悪いか!!」
うるさい。こいつはこんなにうるさかったのか?!
助けなければ良かった。
「へぇぇ・・・。以外。龍崎って食べ物とかに興味が無いような感じしてたもん。」
「お前ん中で、俺はどうゆう生活してんだよ。」
「・・・さぁ?」
さぁ、とか・・・。
俺はこいつには付いていけれないと確信した。
でも、こんなに他人と話したのは久しぶりだな。
そう思うと少し暖かくなった。
「・・・・笑った・・・?龍崎、今、笑った?」
神田が目を大きくして騒ぐ。
「気のせいだろ。」
俺は騒ぐ神田をほっといてパンにかぶりついた。
*続く*
はい。readingありがとうございました?
6話どうでしたか?
今回はちょっぴり甘くしてみました?
ぜひ、次回も読んでください!!