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fifty sixth story

「ちぃとよそ見してたら、トラックが突っ込んできててさ。気がついたら病院だったてわけ。」


ちょっと待て

    こいつは何を話してるんだ?

             笑顔で、何を話してるんだ?





「・・・・・・じ・・こ・・・?」


「ああ。面会も出来なくて、外に出ても駄目で・・・。悪いな・・・。」


何で、笑いながら言うんだ?

何も知らないくせに、勝手に怒ってた俺になんで謝るんだ?



元気の無い顔で真面目に謝ってくる直哉に少し胸が痛んだ。



「・・・・・ワリィ・・・。俺、何も知らないくせに怒ってた。」


「ほうあちゃぁっ!!何お前。可愛いんだけど!!」


不気味な声と共に俺の頭をなぜ出す直哉。


「・・・・・・・・・は?」



今まで、どんな話してたんだっけ・・・。

なんだ、こいつは・・・?



「馨、いっつもそんな素直だったら可愛いのに。」


「・・・・・。」


そういって、まだ頭をなぜ続ける直哉。


しょうがないだろ。

似合わない似合うを考える前に言葉が出たんだよ。


俺は少し暑くなる顔を直哉から背けてリビングへと歩き出した。



「・・・・・・なんで帰んないんだよ!!」


でも俺の後ろから直哉が着いてくる。


「何でって、泊めてもらうため。なっ!友よv」


「・・・・・出て行け。」


俺はリビングのドアをバチンと閉める。

ガツッと音がして直哉が鼻を押さえてしゃがみこむ。


直哉の鼻に当たってしまることの出来なかったドアは再び開きだした。




「家があるだろ?家が!!」


俺はしゃがみこむ直哉を見下ろして言う。


「っぅ〜・・・。」


当の直哉は、まだ鼻が痛いらしく何も言わない。





はぁぁぁ〜

俺はわざと直哉に聞こえるようなため言いを出して、珈琲の袋に手をかけた。



「おう!俺ブラックで!!」


「ああ。・・・・って・・。」


さっきまでドアのところでしゃがんでいたアイツは、いつの間にか自分の家のようにソファーでくつろいでいた。


コーヒーの代わりに、麺ツユ出したろか・・・・?

本気でそう思った。















「・・・・アイツは?」


「ん?ああ、奈緒ちゃん?」


直哉はコーヒーをすすりながら言う。

アイツだけで分かってしまうこいつもすごい。


「ちゃんと送ってきたから。あっ、でも家の近くに来るともういいって、下りてったなぁ・・・。」


なんなんだ?

神田とであったときも、家まで行くのを拒否された。


少し考えてみたが、分からなかった。




「なぁ、これ、馨の親父さん?」


さっきまでソファーに座っていたかおるはいつの間にか後ろにあるテーブルにいた。

その手には、あの写真が握られていた。


「・・・・・・・・・・・・多分。」


「多分とか。腕組んでるの、お母ちゃん?・・・・って、若すぎじゃねぇか?」


ビリッ


俺は直哉の問いに答えるまもなく、その写真を破った。


「前言撤回。そんな奴、俺の親父じゃない。知らない人だ。」


破れた写真を、ゴミ箱に叩き捨てると俺はソファーに戻った。


破った時に切れてしまった手から、少し血があふれ出していた。







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