fifteen second story 噴水の公園
足を踏み出したら、前みたいに戻れるのかな?
さっきまでの雪が嘘のように、上では青空が広がっていた。
まだ残る雪が、小さな太陽のようにきらきら光っていた。
「恵里・・・・。」
私は携帯電話のメールを何回も読み直しながら、その場に立っていた。
そのメールを消す勇気も、足を踏み出す勇気も持てないまま。
――――ごめんなさい。――――
ねぇ、恵里。
その言葉、信じていいんだよね?
また。前みたいに戻れるんだよね?
私は、走り出した。
公園には、まだ時間が早いせいか、幼稚園児ぐらいの子供たちがワサワサと居た。
私は噴水のふちに腰掛けた。
後ろから聞こえる水の音に、ドキドキしていた心臓も不思議と治まっていた。
パカっと、携帯を開けて、私はまたメールを読み返した。
「・・・・っ奈緒!」
ちょうど読み終わった頃、恵里が来た。
「久しぶり。」
仲良かった頃と変わらない雰囲気の恵里に、私は自然と笑うことが出来た。
「・・・・・・うん。」
恵里も笑い返してくれた。
その笑顔を見ていると、戻れたんだなって思えて、泣けてきた。
「奈緒・・・・ごめんね。」
「うん。」
恵里が近寄ってきて、自分のハンカチで私の涙を拭く。
久しぶりに感じる恵里の優しいにおいに涙はますます出てきてしまった。
「私ね・・・。馨君の事本当に好きなんだ。」
「うん。」
「奈緒が馨君と仲良くて、すっごい焦ってた。」
「うん。」
「でも、やり方間違えてたんだね。」
「・・・。」
「奈緒をいっぱい傷つけちゃった。」
恵里は、私の隣に座ってとても悔しそうな顔をする。
本当に悔しそうな。
「私は、恵里が大好きだよ。うん。前、怖いなって思った事ちょっとあったけど。」
「え?」
「だから、そんな顔しなくていいよ。うん。」
私は、恵里の頭をヨシヨシすると、恵里は何かが切れたかのように泣き出した。
「・・・・・。」
私は何もいえなかった。
何を言えばいいのか分からなかった。
「奈緒・・・奈緒は、馨くんの事どう思ってる?」
泣き止んだ恵里は、赤い目をこちらに向けて言って来た。
「うえ?私が???・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・多分・・・ううん、好き。」
顔の温度が上昇する。
私はその熱を冷まそうと、手を噴水の水の中につけた。
「へぇぇ。やっぱり。じゃぁ、私達ライバルだね?」
そう言った恵里の顔をそぉっと見てみると、前の優しそうな顔で笑っていた。
「えへへ。だね?」
私はその顔に安心して、笑い返した。
「あのね、私、馨君に告ろうと思うんだ。」
「・・・・!!」
何の前触れも無くそんな事を言った恵里に、私はビックリした。
「それで振られたら、きっぱり止めるんだ。」
「・・・。」
頭の回転の遅い私は、何もいえなくて、ただ、水を求める魚のように口をパクパクすることしか 出来なかった。
「ライバルとして、応援してね!って・・・、変だね。」
恵里はクスッっと笑うと、そのまま勢いよく立ち上がった。
「じゃぁね。来てくれてありがとう。バイバイ。」
恵里は、まだ、口をパクパクさせてる私を置いて、帰ってしまった。
―――――馨君に告ろうと思うんだ。
その言葉が、私の頭の中を駆け回っていた。
すみません・・・。熱で寝込んでました。
馬鹿だからかぜひかないと思ってたのが・・・馬鹿でした・・・。38度後半で・・うなされてましたよ・・・。
読んでいただき、ありがとうございました!!