fifty first story
『・・・・笑ってませんよ。それどころか、いっつも授業サボって、氷のような目して喧嘩しまくってます。』
『あなた達にせいで、龍崎はすっごく苦しんで、悲しんで、悔やんでいました!そんな言葉で終わらせないで下さい!』
『・・・龍崎、あなたが倒れて運ばれた時、泣いてましたよ。』
バーカ。
アイツは、俺がドアの外に居ることを知らずに喋り続けた。
余計なことも。
「っ!馨・・・。」
神田が病室を出てから、俺は静かに入っていった。
そこには目に涙をためた、あの人が居た。
「・・・・・もう、大丈夫なのか?」
緊張する。
今まで、まともに話してなかったから、どう話せばいいのか分からなかった。
「馨。馨。」
あの人は、泣きながら俺に手を伸ばしてくる。
俺は、こんな事誰かに見られたら恥ずかしいな、と思いながら、あの人に近寄った。
「ごめんね。ごめんね。馨。 お母さんを許して。」
あの人はそう言いながら、俺に抱きついた。
「お母さん。おかしかったわね。自分の事で精一杯だった見たい・・・。お母さん。まだまだ子供ね・・・。」
詰まりながら言うその言葉は、俺の胸を十二分に熱くした。
そして、気がつけば俺は泣いていた。
あの人にうずくまって。
「あの女の子・・・。馨の友達?」
「いや。・・・・やっぱ、友達。」
あの人と俺は、互いに眼を腫らしながら、ベットに座って青い空を見つめた。
神田は俺にとって、友達以上だった。
神田と出会ってから、俺の人生は見る見るうちに変わって行った。
「奈緒ちゃんだったかしら。あの子・・・いい子よ。」
「・・・・・知ってる。」
あの人は、俺の顔を見て笑った。
あの、昔のような優しい顔で。
「馨。また来てね?」
あの人は、寂しそうな顔をして俺に手を振った。
「ああ。」
俺はそう答えて、病室を後にした。
あの人は、もうしばらく入院をしなければいけないそうだ。
俺は、赤く染まる病院の廊下を静かに歩いた。
今日一日がとても長く感じた。
昨日、更新できなくてすみません!!
読んでいただき、ありがとうございます!