fifth story カレーパンと椅子と机。
いつの間にかたどり着いた学校は、朝練をする生徒達の声で溢れていた。
グラウンドを走る音、ボールが弾む音、楽しそうなおしゃべり・・・全てが俺には関係の無いものだった。
朝早いからだろうか?教室にはひとっこ一人いない。
あるのは、光が反射するたくさんの机と、俺の影だけ。
俺は、自分の席に向かった。
一番後ろの右端。すぐ横が窓の席。
その斜め右の席が神田の席・・・だった気がする。
俺は机の横にかばんを掛け、机に伏せた。
昨日は何時に寝たっけ?確か家に帰ってきたのが、3時半だった気がする。
それから、シャワーを浴びて・・・・。
とにかく眠かった。
視界がぼやけてきて、狭くなっていく。
机から放たれる光をカットするかのように、俺の瞼は閉じられた。
ぶに
頬を差される感覚がした。
「・・・おはようございます。」
聞き覚えのある声がして、目を開けると、やはり神田がいた。
「・・・意外と早いんだねぇ・・・。いや、龍崎ってさ、あれ。ぐれてる?から、学校来ないような感じするじゃん。あっ!悪い意味じゃないよ。意外・・・みたいな?」
「なんのようだ」
ただ、眠いだけで怒ってるつもりは無かったが(いや、イラついてたかもだが)神田には起こってるように聞こえたらしい。
「うわっ。怒らんくてもいいじゃん。・・・えーと、昨日はありがとうございました。」
そういうと、神田は白い袋を突きつけてきた。
その中身はパンが5個ぐらい入っていた。
「あと、助けてくれたのに、手ひっぱたいてごめん。」
神田は俺の左手をじぃっと見た。
「右手。」
「えっ!?」
「・・・お前がひっぱたいたの右手なんだけど?」
「・・・・・あはっ。」
俺が指摘すると神田は罰が悪そうに笑い、向かい側に座った。
「・・・・お前、お袋さんと仲直りできたのか?」
俺が聞いたとたん、神田の動きが止まった。
「あ〜・・。あれさ・・。ごめん。嘘でした。はい。」
神田の声が、朝の教室に響き渡った。
はーいvv5話目。ついに投稿です。
本とは昨日したかったんですけど・・・。
読んでくださった方、お疲れ様でした。また、ありがとうございましたぁ!!
ちょっと、テンションUPです。
引き続き、よろしくお願いします!