thirty fifth story
なんで、もっと早くしなかったのかな?
こんなに簡単にいくなんて・・・・・思ってもいなかった。
あの夜、馨君とあった後、私はずっと奈緒の行動を調べていた。
馨君が私に冷たいのは奈緒がいるからだ。
奈緒が影で何かしているからだ。
すると案の定、奈緒はいつもパンを買って、持って行っていた。
中はカレーパンで、きっと馨君はカレーパンが好きなんだろう。
そして、その袋の中にはいつも手紙を入れていた。
馨君はその手紙を読んで、一瞬だけどいつも優しそうな顔をしていた。
自分に向けられていないということだけが、悲しかった。
馨君が奈緒のこと嫌いになればいいのに・・・・。
私は毎日馨君の顔を見るたび、そう思った。
そう思ってるうちに、ある計画が浮かんだ。
丸一日かけて計画を練った。
まず、馨君に私がパンを持って来ていると思わせる。
そして、奈緒が馨君をタブラカしてるという感じを与えることを言う。
馨君をだました後、奈緒に会いに行き、パンを持っていくのと、屋上で待つのを止めさせる。
その後、私がパンを持っていって、屋上で馨君を待つ。
その計画はあっという間に成功した。
これできっと・・・・馨君は私のものとなるだろう・・・・。
良い事とはいえないが、私の心は達成感で満ち溢れていた。
奈緒の泣いた顔が少し頭をよぎったが、何も感じなかった。
奈緒が悪いんだよ?
ずるいから。
何でだろう・・・。
計画は成功したはずなのに・・・・悔しかった。
「これですっきりしたの?」
突然聞こえてきた声に驚いた。
ゆっくり振り返ると、優香が壁にもたれかかって私を見ていた。
「・・・・・久しぶり。優香。」
私は思いっきり笑った。
でも、優香の私を見る眼はとてもとても冷たかった。
「・・・やっぱり、恵里って・・・そんなんだったんだ。」
ずっと前に聞いた、おちゃらけた声とは打って変わって、とても低かった。
見られてた・・・?
「そんなん・・・って、どんなの?」
落ち着け。
落ち着いたら、優香はこっちに戻ってくる。
「・・・・・私さ、少しわかってたんだ。一緒につるんでた頃から恵里って、時々すごい怖い顔するよね・・・。あっちが地だったってわけか・・・・。」
「・・・・何言ってるの?友達でしょ?そんなこと言わないでよ?違うよ。私は・・・私は・・。」
私は涙を流す。
「残念だな・・・・。私、恵里の事好きだったのに・・・。」
なんで?
私が悪いの?
優香も私を裏切るの・・・・?
「優香・・・・?」
「私、恵里が変わらないと友達に戻れない。今の恵里は壊れてるよ?奈緒の涙見て何も思わなかった?
・・・・・恵里にとって友達って何?」
「・・・・・。」
今までとは違う優香の態度に私は戸惑って、何もいえなかった。
私が黙っていたら、優香はため息を一つはいてその場を去っていった。
優香も私を裏切るんだ。
*続きます*
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