twenty nineth story カレーパンと、アイツと。
べったりと張り付いた前髪を額から離しながら時計を見た。
8時過ぎだった。
どうやら、夕方から寝ていたらしい。
神田が夢に出てくるなんて・・・。
あの夢が現実に起こりそうな気がしてならなかった。
俺は新しい服を持って、下に下りた。
とんとん
と、階段を下りる音が嫌に耳につく。
「うっ、ひっ、うぅ〜。」
風呂場はリビングの前を通らなければいけなかった。
いつもなら、静まり返ってる部屋も、今日は違った。
聞きなれた、あの人の泣き声が聞こえてきた。
俺は、ついついガラス越しに部屋の様子を見た。
机の上にはたくさんの写真が散らばっていた。
その写真のなかで、あの人と知らない女性が腕を組んで歩いていた。
ドクン。
一回だけ心臓がなった。
一瞬だけ、周りの景色がゆがんだ。
いままで、喧嘩していたのに・・・、なぜ泣く?
予想はついてたんじゃないの?
ソファーに体を任せて、うずくまってなくあの人は、とても小さく見えた。
俺は何事も無かったように、部屋を後にする。
シャワーの水の温度がわからなかった。
でも、まだ直りきってないコブシは、痛かった。
二階に上がって煙草でも吸おうと思ったが、それは見当たらなかった。
10分ぐらい探し続け、やっと見つけた煙草は、箱だけだった。
灰皿に眼をやると、今まで自己最高といってもいいほど、煙草の亡骸が突っ込まれていた。
・・・・・しょうがない・・・。
買いに行くか・・・。
俺はまだ重い腰を持ち上げて、歩き出した。
気のせいかもしれないけど、リビングの前で足が重くなった。
金属で出来ている、玄関のノブを掴む。
それは冷たくて、かたかった。
外に一歩踏み出ると、カサッと何かが腰に当たった。
見てみると、どこかで見たビニール袋がドアノブにかけてあった。
その中には、多数のカレーパンと、二つに折りたたんだ手紙が入っていた。
*続きます*
はい、本編再開で〜す!!
ちょっと短いかもですが・・・。
もう少ししたら、きっと、話はかわりますかね・・?
まだ、どんな風に進むかわかりませんが、見守ってくださったら嬉しいです。
読んでくださり、ありがとうございました!!