third story
『まだ、帰りたくない。』
そういった、神田の目に溜まっている涙は今にも零れ落ちそうだった。
いつもなら、「あっそ。」で行くはずなのに・・。なぜか出来なかった。
きっと、神田の姿が誰かとかぶって見えたからだ・・・誰かと・・・・。
「・・・なんで・・帰りたくないんだ?」
「・・・。」
神田はうつむいたまま、何も答えない。
「シカトカヨ」
「・・・。」
俺は、あきらめ、タバコに火をつけた。
口から白い煙がふわふわ昇っていく。
「あのね・・・、・・・おっお母さんと喧嘩したの。」
「・・・。」
「おやつ・・・買って着てっていったのを買ってきてくれなくて・・・」
はぁ?ありえねぇ。そんなんで帰りたくないとか。
「ばっかじゃねーの?そんなん、とっとと帰って謝ればいいだろ。」
俺が口から煙を吐きながらいうと、神田はなんだかやりきれない顔でうなずいた。
「じゃ、早く帰れ。」
俺が犬を追い返すようなしぐさをした時、立ち上がる神田の数10メートル後ろで、同い年ぐらいの男が神田を見ながらニヤついていた。
「はぁぁ・・・。家何処だ?・・・気がすすまねぇけど、送ってやる。」
嫌な予感のした俺は、しょうがないから送ってやることにした。
「えっ・・・あ〜いや、いいよ。一人で帰れるし。」
神田はなぜか俺と目を合わせずに断る。
そして、いそいそ俺から離れていく。
「こら、待て」
俺の声に驚いたのか、神田の体が一瞬はねた。
「また、さっきみたいに変な男が来るぞ。」
「うっっ・・・」
神田の体がとまったと同時に俺は神田の腕を掴んで歩き出した。
いつもならしない行動をする馨・・。どうしちゃったんでしょうね?
今回も読んでいただき、ありがとうございました
m(=v=)m
楽しい!!と思ってくださっているお方がいらっしゃれば、次回を楽しみにしててください!!