twenty seventh story
「寒っ!」
ただ今5時。
まだ闇に包まれている時間。
私は、外の寒さにグチをもらしていた。
こんな時間に外に出るのは尋常じゃないとは分かってた。
でも、目がさえてしまったのだ。
昨日聞いた優香の話と顔が頭から消えなくて、もう一度寝ようとも、寝れなかった。
それに・・・龍崎に会えそうな気がしたから・・・。
好きとかじゃなくて、逢いたくなったから探してみる。
私は、本能で動いてみようと思った。
男のうめき声と、強い恐怖心を感じた。
私は、その方向へと足を進めた。
そこに龍崎がいたのには驚いた。
こんなに早く逢えるとは思ってなかったから。
また、龍崎の周りに血らしきものを流している男達が倒れていることにも驚いた。
「神田・・・?」
ビクッ
私の背中に悪寒が走った。
龍崎とは5メートルぐらい離れていた。
そんな遠くからでも感じることが出来た。
龍崎の悲しみ、恐怖が。
そして、龍崎の目は、今まで見たこと無いほど鋭かった。
何が、龍崎をここまで変えてしまった・・・?
あの時、私が聞いていれば・・・。
龍崎に、「どうしたの?」って、言ってあげてれば・・・。
龍崎はこんなに変わってなかったんじゃないか?
ごめんね。ごめんね、龍崎。
どうしようもない人でごめんね・・・。
私の目からは、数え切れないくらい次から次へと水が流れてきた。
私が泣いたって、変わらない。
そう分かっているのに、とまらなかった。
「わりぃ。」
龍崎が呟くように言った言葉。
そんな言葉が来るとは思ってもいなかったから私は少し驚いてしまった。
て、ゆうか・・・なんで龍崎が謝るの?
分からない。
私が悪いのに・・・なんで龍崎がそんな悲しそうな顔しなきゃいけないの?
私の問いに龍崎は『分かんねぇ』と答え、そのまま走っていってしまった。
その姿からは、少しの動揺が感じられた。
『待ってるから!』と、言って、私は龍崎の小さくなってゆく背中を見つめた。
涙で、はっきりとは見れなかったが、その姿はとても懐かしく、温かかった。
いつ来てくれるかは分からないけど、これからもカレ−パンを持って通おうと思う。
もしかしたら、来てくれるかもしれないし・・・。
*続きます*
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