twentysecond story
「よく。分からない。」
好きって、なんなんだろう?
どういう感情で、どんな思いなんだろう?
友達に合わせたくて、よく分からないまま「あの人が好き」といったことは何回もある。
でも、その人から告られても、結局ふってしまう。
分からない・・・分かんないよぉ・・・。
そっと、優香を見てみると、優香は何事も無いように空を見ていた。
その横顔はとてもきれいだった。
「奈緒、あせらなくていいと思うよ。」
優香は空をじっと見つめながら口を開いた。
「私、昔、幼馴染の5才年上のお兄さんに告られたことあるんだ。」
・・私の気のせいかもしれないけれど、優香から悲しいという思いが伝わってきた。
「そのお兄さん、かっこよくて、優しくて、私も結構好きだったからOKしちゃったんだよね。でも、私そのときまだ、中学生で・・・子供だったみたい。」
・・・気のせいじゃない。
悲しいんだ。優香は悲しいんだ・・・。
「優香・・・いいよ。「だめ。聞いて。」
優香は話し始めて、初めて、私の目を見た。
優香の目には少し涙が溜まっていた。
「はじめは、一緒に居てどきどきしたし、楽しかった。・・・でもね、時間がたつにつれ何だか飽きちゃったの。それで、毎日学校に迎えに来てくれる彼が、うざく感じちゃって・・・。
振っちゃったんだ。」
優香は今にも、泣き崩れそうだった。
私は、優香の必死な思いが伝わってきて、胸が痛かった。
「ごめん。私、あなたの事、そんなに好きじゃなかったみたい。って、私言っちゃたんだ。彼、泣いてた。あの人、今まで、泣いた事なかったのに・・・。それで、ありがとう。さようら。って、いったんだよ。涙流しながら笑って。・・・。最悪だよね。」
優香の目から、何粒もの涙が流れ出ていた。
優香はそれをふかず、じっと空を見ていた。
『優香は最悪じゃない。』
そういいたかったのに、私も泣いてしまっていえなかった。
「彼、その後、私に何も言わずに引っ越しちゃった。誤りたくても、誤れなくなっちゃったんだ。」
「ゆっ・・優香・・・。」
必死に出した言葉はこれだけだった。
「だからね、私、奈緒にはいい恋して欲しいんだ。そのときの感情や、状況に流されて、好きとか、決めないで。私のようにはなって欲しくないの。」
優香は、最後に私をちょっとだけ見て、また空へと視線を戻した。
「優香・・・ありがと。ごめんね。大好き・・・。」
何が言いたいのかわかんなかった。
でも、優香はうん。うん。と、あいずちをうってくれた。
私は優香をそっと抱きしめた。
優香も、抱きしめ返してくれた。
本令のチャイムも無視して、私達は抱き合って泣き続けた。
恵里や龍崎のことで頭がいっぱいになってた。
でも、優香のおかげで少し整理がついた気がする。
きっと、【好き】っていう感情は大切なもので、今の私にはまだ早いんだって。
もう少し、大人になってから考えよう。って、思えるようになった。
放課後になって、優香は部活があるからと、屋上を下りていった。
優香は居なくなったけど、私の心は温かいままだった。
*続きマス*
読んでいただき、ありがとうございます!
今回は優香ちゃんの過去の話について、暴露しちゃいましたぁぁぁ・・・。
読み返してみると、まだまだですねぇ・・・。
すばらしい物語が書けるよう、頑張っていきますっっ。
これからも、よろしくお願いしますっ!