fourteenth story 屋上の光に包まれたい。
俺は、今日も屋上に行く。
昨日、神田に飯を食わした後、連れまわされた。
疲れたが、そんなに悪いものじゃなかった。
・・・なぜ、毎日神田は、夜の町にいるんだろう?
あんな性格の神田には似合わない場所。
神田は、きっと、大きなものを隠しているんだろう・・・。
俺は、そう思う。
「りゅっうざき〜!お早うございます。お昼ですよ!!」
11月とは思えない、暖かな気温。
そんななかで、眠っていた俺は・・・うるさい鳥に起こされた。
「・・・・。」
「・・・。睨むなよ。龍崎って、寝起き悪いの?」
「・・・別に。」
少しイラついてる俺を神田は知ってか知らずか、白い袋を手に目の前に座る。
「ほら。カレーパンズ。昨日のご飯と、付きあってくれたお礼!」
その白い袋の中には、カレーパンがギッシリ詰まっていた。
「これがねぇ、インド風カレーパン。で、これが、アメリカ風。激辛カレー。それからねぇ・・・」
20個ぐらいありそうなカレーパンを説明する神田。
それを見ていると、あの時の頃を思い出してしまった。
何年前だろう?俺は・・・
冷たい水で手を洗い、リビングへと走った。
柔らかな日差し込むその場所で、あの人は汗をうっすらかきながら、何かを揚げていた。
『ままぁ〜、今日のおやつは?』
覚えのある匂いをかぎながら、それを確かめるかのように聞く。
『今日はねぇ、ママお手製のカレーパンよ。こっちが、夏野菜のカレーパンで、こっちは、りんごが入ってるのよ〜。』
今からは想像も付かない、とてもきれいなあの人は、その目を細めて言う。
あのころは、あの人のその顔が、とてもとても、安心できる場所だった。
「・・・・お・・かぁ・・・さ・・ん・・・。」
「ん?何?」
無意識の間に、俺は呟いてしまった。
幸いに、神田にはあまり聞こえてなかったらしく、何とかはぐらかしたが・・・・。
俺の鼻の上の方が痛かった。
もし、ココに俺一人だったなら・・・俺はどうしてただろう?
考えるだけで恥ずかしかった。
「・・・それ、ありがとう。もう行けば?まだ授業終わってないだろ。」
俺は、神田の手からその白い袋を取った。
「えっ!」
神田が驚いたような顔をした。
*続く*
読んでくださり、ありがとうございました〜。
今回は、馨君の過去について、ちょっと書いちゃいました。
どうでしたか?
でわでわ、次回をお楽しみにぃ〜