one hundred third story
「・・・・・クソッ・・・。」
光をかすかに漏らしていたカーテンを勢いよく開ける。
今日は、お袋が退院する日。
俺は目を擦る。
昨日は眠れなかった。
目をつぶると、あの神田の顔が目に浮かぶ。
そのたびに胸が締め付けられる。
でも・・・、仕方が無かったんだ・・・。
そうだ・・・、仕方が・・・、無かったんだ・・・。
「オッハヨォォ♪カ・オ・ルvv」
バァァンと思いっきりドアを開けて、俺に飛びかかってくる直哉。
俺はよけ切れなくて、ベットに押し倒された。
「はい。逃げられないよ?言ってもらおうか・・・、昨日あったこと・・・。」
もがく俺を、言うに恐ろしい顔で眺める直哉。
昨日、学校から帰ってきた俺の顔を見たとたん、「吐け吐け!何があったんだぁぁ!」とうるさい。
なんで、分かるんだろうな。
コイツも・・・、アイツも・・・・・・・。
ガッ!
「うゅっっっぅぅぅぅっっっ!!!」
俺は、直哉の口に出せないところを蹴った。
直哉は、奇声を上げて転げまわった。
「じゃぁ、行ってきます。」
今にもダウンしそうな直哉を少し見て、俺は学校へと向かった。
―今日は、お袋が退院する日。
今日はクリスマス。
「ありがとうございました〜」
コンビニの店員が俺に軽く頭を下げる。
俺は片手に白いビニール袋を持って、店を後にした。
「お早う、龍崎。」
「あ?・・あぁ、よぉ、佐々木。」
店を出ると、佐々木に会った。
「・・・、昨日・・・、あれで良かったのか?」
黙って、黙々と歩いてた俺に、佐々木が話しかける。
「いいんじゃね。なんで?」
そっけなく、あくまでも気にしてないようなそぶりを見せる。
「・・・、だって、お前・・・、昨日から元気ないぞ・・・?」
なんだか、イラッと来た。
「・・・、関係ないだろ!」
「かっ・・・、関係なくなんかない!とっ・・・、友達だろ?」
動いていた足が止まる。
友達?
友達?
分かってるよ・・・、そんなこと。
「・・・、一日二日の仲が、何言ってんだよ。・・・、友達なんてウザってぇんだよ。」
今まで、俺の後ろをついてきていた足音が途絶えた。
少し痛む胸を、片手で、誰にも気づかれぬように・・・、掴んだ。
なんで、こんなことしかできねぇんだろ?
正直、きつかった。
俺は、屋上へと足を運んだ。
教室には行きたい気分じゃなかった。
てか、もう行けないだろう。
俺は、裏切ったんだ。
俺を信じてくれていた人達を。
友達も・・・、神田も・・・。
屋上について、鍵を閉めた。
ばたっと、倒れこむ。
鮮やかな青空が、俺にささやいた。
なぜ、そんな事するのかと。
裏切られるのは嫌なくせに、裏切るのかと。
ひとりになるぞ・・・、と。
「ほっとけ」
俺はその声を遮るように、腕で目を覆う。
そして、何からも意識を背けていった。
何時間たったのだろう。
ドアをガチャガチャやる音で起きた。
「よかった。生徒会員で。」
「そ〜よね〜。生徒会員は、学校の鍵、自由に使えれるんだもんね〜」
開かれたドアの向こうには、見慣れた二人が居た。