ninety seventh story
「龍崎って、どこ中だったん?」
「まじ、頭良いんだな!あっ、これ、教えてくれん?」
「さっきの、すっごくすっきりした!」
6時間目が終わる頃、もうすっかり龍崎打ち解けていた。
一日でこんなになるなんて・・・。長期戦を覚悟していた私にはとても意外なことだった。
「神田。」
「ん?なにさ?」
少し考えふけってた私の前にいきなり龍崎が現れた。
「何さじゃなくて・・・、次、掃除だって。」
「えつ!・・・あっ、うん。だね。」
・・・・・忘れてた。
「俺ら、どこ?」
「あ〜・・・、男子と女子分かれてんだ。龍崎らは階段の方。うちらは教室。」
心なしか、龍崎は寂しそうな顔をする。
それが、少し嬉しかったりする私。
「龍崎〜行こうぜ?」
私が頭をなぜようと手を伸ばした時、佐々木たちが声をかけてきた。
私は慌てて手を引っ込める。
そんな私を龍崎はぷっと笑って、私の頭をなぜる。
「じゃ、行ってくる。」
そういって、龍崎は私に軽く手を振った。
私が手を振り返してると、後ろから嫌な視線を感じた。
振り返ると、案の定沙織たちだった。
「なに、あれ。」
「釣り合わないし。」
「ちょっと、可愛いからって・・・。」
なんやらぼそぼそ言う沙織たち。
なにさ・・、言うなら堂々、真正面きって言えよ・・・。
「なんでしょう。」
私は沙織の、前に仁王立ちをして問いかけた。
沙織は変人を見るような目で私を見た。
・・・・、変人扱いスナッ!
「・・・・・あんたさぁ・・・調子乗りすぎ。」
奈津美がタイギそうに答えた。
「なっ!「あんたらの方が乗りすぎ。」
私が言い返そうとしたとき、後ろから声がする
恵里だった。
「もぅ、分かんないかなぁ?龍崎くんと奈緒の間にあんたらの入る隙間内って。」
その後に、優香も続いた。
「っ!そんなの分かんないジャン!!」
沙織が顔を赤くして、言い返す。
きっと、心の中では分かってるのに認めたくないんだろう。
「・・・沙織たちは分かってるんでしょ?」
顔を真っ赤にさせてスカートを握る沙織に、優香は優しく声をかける。
「っ!」
沙織は唇をかみ締める。
「・・・分かってるよ。」
蚊の泣くような声で呟く奈津美。
「かおる君が、ちゃんと私達を見てないってことぐらい!!」
「でも・・・、悔しいじゃん!なんか、悔しいじゃん!!」
奈津美は泣き始めた。
その姿に少し胸が痛む。
私は、奈津美の方へ近づいた。
「ごめんね。私で・・・。」
奈津美の頭を手で包みながら言うと、奈津美は私を少し睨む。
「謝るんだったら、頂戴よ!」
頂戴って・・・・、
「・・・、それ、無理。」
「何で!?」
「だって、私、龍崎の事大好きだもん。」
沙織たちが驚いたような顔で見る。
「なに・・、それ・・・・「神田さん!!」
沙織が何か言おうとした時、佐々木が私を呼びに来た。
その額にはうっすら汗が浮かんでいて、不安感が感じられた。
「どしたの?」
「・・・、龍崎が・・・・。」