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17話「なんとかロンを守りたい」

「その...申し訳...ありません」

「構わんよ。長旅で疲れが出たのだろう」


今だ苦しそうにしているヒナに、ガミルはそう言うと、一本の瓶を差し出した。


「飲みなさい。少しは体が楽になるだろう」

「ありがとう...ございます」


ヒナはガミルから薬を受け取ると、ちびちびと飲み始める。


「隊長...それ、なんですか」

「ん、ただの胃腸薬だ。ただし、私特製のな。中には薬草とドラゴンの睾丸をすりつぶしたものが入っていて...」

「おええええ」


またヒナが嘔吐する。彼女はしばらくそっとしておいた方がいいだろう。

閑話休題。ロンは任務のことに話を戻そうとする。


「ええと、ガミル隊長。僕たちは、今回の任務で何をすればいいのでしょうか」

「ん、君がロン隊員か。よし、では今回の作戦を共有するとしよう」


ガミルはそう言うと、中央のテーブルに向かって歩き始めた。このあたりの地形を模したものだろうか、テーブルの上は小さなジオラマのようになっていた。


「君たちも知っての通り、ここ数か月間、ドラゴンの個体数が異常に増加している。まことに遺憾だが、ある程度討伐しなければ、街に被害が出かねない。そこで我々は、群れからはぐれた個体を探し、討伐することにした」

「僕たちはドラゴンの討伐をすればいいんですか?」

「いや、君たちはあくまでその支援だ」


ガミルはジオラマを指さす。


「この辺りは平原と違い、高低差が激しい。広い面積を取ってドラゴンと戦うことは難しいだろう。よって、ドラゴンに直接向かい合う役は二番隊が引き受ける。それにロン隊員、ドラゴンは君が思っている以上に危険な生き物だ。いくら君が規格外の魔法を使えようがね...」


ガミルはロンを値踏みするように見る。どうやら、ロンの魔法のことはマムルから聞いているらしい。

だが、ドラゴンならロンにも倒した経験があった。山の上に飛んでいたのを、2回ほど撃ち落としたことがある。


(本当にそこまで警戒しなければいけないんだろうか...)


「作戦の決行は明日の朝から、はぐれたドラゴンを見つけ次第だ。基本ドラゴンは夜、群れで眠るものだからな。それまでは各自、羽を休めてくれ」


ガミルはいい終わるとマントを翻し、テントの奥へと去っていった。そして、2秒もしないうちに奥からすすり泣く声が聞こえてくる。そこまでドラゴンが死んでしまったことが悲しいのだろうか。ロンは静かに横たわるドラゴンの死体に目を向ける。


「そんなにペットのドラゴンが死んでしまったことが悲しいのでしょうか...」

「いや、あのドラゴンはペットじゃないと思うぞ。多分隊長は、あのドラゴンを討伐して、そのことを悔やんでいるんだ」


ペットじゃなかったのか...


ロンはもう一度ドラゴンの遺体に目をやる。ドラゴンの目から光るものが見えた気がしたが、その涙がドラゴンの物なのか、ガミルの物なのか、ロンには判別がつかなかった。









「あーあ。今日も何とか、無事に生きれたな」

「そうですね。お疲れ様です」


ロンは背伸びをするハリスに、ねぎらいの言葉をかける。ロンとハリスは、同じテントで眠ることになっていた。先ほどげーげーやっていたヒナも、落ち着いたらしく、別のテントで休憩している。


「ところで...ハリスさん、さっきから気になっていたんですけど、この矢って床に刺しっぱなしでいいんですか?」


ハリスは、テントに入るといきなり矢を地面に突き刺し、そのままにしていた。


「ん?まあ、あれだよ。おまじないみたいなもんだ」

「おまじないですか」

「ロン、お前も寝ろよ。明日は早いぜ」


ハリスは寝床を整えながら、ロンに言う。作戦は朝から始まる。今のうちに寝ていた方がいい。それに...


(いつ敵が襲ってくるかもわからねえしな)


ハリスは突き刺した矢を中心に、魔力を集中させる。4人、5人、周りには騎士団の人間しかいなさそうだ。


(まったく。損な立ち回りだよな)


ハリスは寝袋にくるまりながら、一人苦笑するのだった。







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