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休題

「お帰りなさいませ、マムル様。他の隊長もお待ちです」

「相変わらずみんな早いねえ。ゆっくりタバコも吸えねえや」


マムルはメイドの持つ灰皿にタバコを押し付け、火を消すと、会議室に向けて歩き始める。ここは、マムルの住む屋敷である。この屋敷では20人ほどのメイドが雇われており、屋敷の管理をしている。

そして、今日、この場所で各隊の隊長が集まり、会議をすることになっていた。

マムルが部屋に入ると、彼以外の隊長はほとんど席に着いていた。


「ほら、10分遅れたでしょ?賭けは私の勝ちね」


マムルの姿を見て、一人の女性がニヤリと笑った。その目は金色をしており、髪はロール型に巻かれている。


「次から俺を賭けの対象にしたら、使用料をもらうからな、クリスティーン」


マムルは席に着くと、早々に文句を言った。クリスティーン、3番隊隊長である。3番隊の紋章はキツネをモチーフとしており、金に図太く、ずる賢い隊長を表現しているようにも見れる。


「正確には→9分47秒です。つまり→この賭けに勝者はいません」


4番隊隊長、ロイドが土で出来た手を挙げながら反論する。彼の姿はゴーレムに似ており、肩にはそれを象徴するように小さな花が咲いている。胸にはウサギをモチーフにした紋章が彫られていた。


「そんなしょうもないことより、この老人を待たせたことに対しての謝罪はないのか?ワシは老い先が短いんじゃ」


老人のような口調で話すのは、意外にも青髪の"少女"だった。5番隊隊長、ファルスは紙にペンを走らせながら、マムルを睨む。その紙には所々穴の空いた四角形が並んでいる。どうやら、クロスワードのようだ。


「いいや→ファルスさんは不老不死だ。よって→老い先はこの中で一番長いと思います」

「で?2番隊隊長は相変わらず欠席かの?1番隊隊長殿?」


ロイドの反論を無視し、ファルスは1番隊隊長マムルに聞く。2番隊隊長は団長からの秘密任務を請け負っていることが多く、会議にも時々しか主席しない。


「彼にはある任務を請け負ってもらっている。だから、今日の会議にも主席しない」


扉から威厳を漂わせながら歩いてきたのは、団長、スエヒロ・リュウタロウだった。

その姿を見て、マムルとファルス以外の隊長が椅子から立ち上がる。


「構わん、座ったままでいい。まずは、君たちを招集した理由を簡単に説明しよう」


団長はそう言うと、指を鳴らす。すると、団長達の前に文字列が浮かび上がった。


「現在、この街は脅威にさらされている。それは"教団"のことだけではない」


隊長達は深刻な顔で目の前にある文字列を見つめている。


「遠征を行なっている2番隊隊長によると、どうやらドラゴンの個体数が例年よりも極端に多い。つまり、住み家から溢れた個体がこの街に飛来する可能性もあるということだ」


ドラゴン。それは、ある者にとっては力、勇敢さの象徴。しかし、一度それが人々の上を飛べば、一瞬にして恐怖の象徴へと"成り上がる"。

最近、ドラゴンの街への飛来数が増加しているのは隊長達も知っていた。こないだも、赤色のドラゴンが山の周辺で行方不明になったばかりだ。


「そこで、我々は先手を打つことにした。今回の会議の目的は、その作戦の概要を説明することだ」


教団の活動の活発化とドラゴンの異常増加...


(なかなか面倒くさいことになってきたな...)


マムルはいつもの癖でタバコを吸おうとしたが、団長に睨まれ、懐に入れた手を静かに机の上に下ろしたのだった。


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