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悪役令息設定から逃れられない僕のトゥルーエンド  作者: kozzy


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なな 第四のフラグ破壊

「お茶会…それは強制ですか?」

「まぁテオドール、あなたが嫌なら無理にとは言わないわ。だけどこれからどうしたって多少の社交は必要になってくるの」

「この家の後継者はお兄様だし僕は社交なんか別に…モゴモゴ…しなくったって…」


というか、社交になど出張って攻略対象者に会ったらどうする?あー、ないない。それはない。


「あなたがいいならいいのだけど…ですが念のため夜会服は新調しておきましょうね」

「なら離れの分もついでにお願いします」

「あら、あれには必要ないわ」

「アリエスはレッドフォードの三男です。みみっちい真似は返ってお母様の度量が疑われるだけですよ」

「ふぅ…そうね、あなたがそう言うのなら一応手配はしておくわ…。それにしても何故貴方はあの子供をこれほど気にかけるのかしら」

「気になんてかけてません。むしろ知らん顔してますが何か」


これもまたシナリオに関わるフラグだ。


夜会服が無くてデビュタントが出来なかったアリエス。

それもテオドールへのヘイトを集める一因になったんだよね。ヤバイヤバイ。こうして地道に断罪要因はひとつひとつ丁寧に消しておかなければ。


ああもう!服でもなんでも作るから、僕の知らないところでデビュタントでもダンスでもいくらでもしてきてよ!僕は行かないからお好きにどうぞ!そう大空に叫びたい!




そうして数日後、お母様が手配したデザイナーが本邸と離れの両方に来た。


本邸のデザイナーは王都にある、予約を取るのも困難と言われる有名店のデザイナー。離れのデザイナーは…言うまでもないよね。その辺のデザイナーだ。


先にお母様とお兄様の服から始めるみたいで当分僕の出番はない。

何の気なしに窓から離れに続く小道を見ていたら…あれ?な~んか見覚えのある顔じゃない?って、んん?あれって…






ばーーーん!!!


「テオドール様、いつも言っておりますが扉はもう少しお静かに」

「そんなことより!」


僕は怒ってる!激オコだ!侍従が小言を言おうとするのを遮りそのデザイナーに詰め寄った。


「ちょっとそこのカイゼル髭!そのブローチ見せてくれる?」

「なんです貴方、これはイセワーン海でとれた貴重な真珠。子供が触って良いモノじゃありませんよ」

「ここの次男のテオドールだけど文句ある?」

「こっ、これは失礼いたしました」


侯爵子息を舐めんなよ。


手に取って確認する。やっぱりそうだ、ゲームより登場早いけどこれはあのエピソードのアレだ。


こいつめふざけんな!


「ねぇこのパールのブローチなんだけど…なんでこれ魔石の光を浴びせても青く光らないの?僕の知ってるパールと違うのかな?上等なパールって魔石の光で青く発光するはずだよね?」

「そ、それは、テ、テオドール様はご存じないかもしれませんがこれは最近発見された新種のパールでして…発光の仕方が違うのですよ」


ほっほーん?


「そうなの?じゃぁ僕にもひとつお願いするね。で、髭の工房なんつったっけ?そこで作ったって宣伝しといてあげる。筆頭侯爵家が着けてるブローチなんて、良かったね、バカ売れするよ。その代わり偽物だなんて分かった日にはどういう事になるのやら…わかるよね?社交界から袋叩きかな?」


にっこり笑顔で言い切ってやると服もブローチもカバンに詰め込み大慌てで屋敷から逃亡を計るカイゼル髭。


「ああっ!急用を、急用を思い出しました!失礼します!」


撃退完了!っと。


「テオドール様、よく真珠の見分け方ご存じでしたね…」

「あー、うん。本で読んで」


実はこれもゲーム内に出てくるエピソードのひとつ。

ホントはアリエスもテオドールも学院に通い始めてからのエピなんだけど、ゲームのテオドールが企てのために偽パールを注文したのがあいつだよ。


学院のダンスパーティーで胸元を飾るアクセサリーが無くて困ってるアリエス。

テオドールが親切面して貸すんだけど、アリエスには王子が後でサファイアを贈るんだよね。

それでブローチは返却されたんだけど、戻ってきたブローチのパールをみたテオドールは偽物だって騒ぎ出す。そして大騒動、そんなエピ。

そん時に鑑定代わりに使ったのが魔石の光をあてる事だったんだよね…シミジミ…


「疲れた…ブローチは後で僕のあげるから服だけ他で作ってやって…」

「あのっ!…お、おにいさま…ありがとうございます…」

「…ふぅ…」



今日もやっぱり僕は振り返らない。

でもどう?今日のフラグは上手い回避が出来ましたー!





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