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悪役令息設定から逃れられない僕のトゥルーエンド  作者: kozzy


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53/105

53 ルート ジロー

アルタイルがジローに会わせろとうるさいので学校に来たジローを捕まえることにした。

ジローは最近アームハンドの仕事が順調そうで学校に来ること必要はない。それでも時間があけばここに来てくれるのは僕がそう頼んだからだ。


「って言う訳でね、アルがジローに会いたいって」

「アルタイル…孤児院に来た奴だろう?お前そんなのと仲良くしてんのかよ」

「仲直りはすんでるよ。ずっと救護院に来てくれてたの。たくさん謝ってくれて、それでお詫びにって言って」

「だからって一緒にパーティーって、なんだよお前」

「アルは司法長官の息子だから僕もダメだって言ったんだけど…その、す、すごく熱心に、その…」


言えない…言えやしないよ、あんなこと。アルが僕の手の平に…く、唇をつけて…うわぁぁぁぁ!


「お前…なに赤くなってやがる!」

「何にもない!違うからこれは!」

「いいぜ、会ってやる。俺にも会わせろよ、そのアルタイルとやらに」


一抹の不安を胸に…こうして僕は二人をあわせることになったのだ。




やって来たのはあの時の川。

アルタイルが救護院では話せないって頑なに言い張るもんだから、従者や院長の目を盗みあの川べりへとやって来たのだ。


「はじめましてジロー。俺はアルタイル・ブルースター。三男だけど伯爵家の息子だ。魔法属性は風。成人までにはレベルもAまで上げて見せる」

「…ジローだ。姓は無い。貧民街の生まれだからな。平民なんでね、魔法属性も無い。だけど腕っぷしには自信があるぜ。得物はアックス。今はアイアンの斧しかねえが、魔鉄が買えればもっとやれる。なんだ警戒してみりゃ子供じゃねぇか」

「俺は確かに成人もしてない子供だがあとたった2年のことだ。それに市居の子供より多くの修行をつんでいる。けして君に負けているとは思わない」

「なんだそりゃ、平民だからってバカにしてんのか!」

「ただの事実を言ったまでで他意はない。それより君こそそんな短気でテオを守り切れるのか」


「ひぇぇぇぇぇ…やめ、ちょ、ケンカはしないで…」


いや、なんとなくこうなるだろうと思わないでもなかったけれど…予想以上にジローの態度が。

おかしいな。じろーは普段誰とでも上手くやるタイプなのに。


「大丈夫だテオ。これはただの話し合いだ」

「そうだぜ、俺が3つも下の子供相手に本気で腹を立てる訳ねぇだろう?」


そうかなぁ…?う~ん、確かにアリエスと言いあってる時よりはましなのか。それは多分アルがケンカ腰じゃないからだ。アリエスみたいに嫌み三昧していない。


二人が話をしてるから僕は川を覗き込んでいた。この間は魚が泳いでた。きっと今日もいるはずだ。


僕は魚に詳しくないから名前はちっともわからない。だけど何種類かの小魚が気持ちよさそうに泳いでる。

すっかり蚊帳の外みたいだし、魚採りでもしてようか…そう思ったその時だった。


川の流れがおかしくなって魚群が左右に散らばったのは。


「テオっ!危ないっ!」


大きな魚が水面をはじき僕をめがけて一直線に飛んできた!ぎょぎょ!だけど一瞬で距離を詰めたジローがすぐに僕を庇って覆いかぶさる。


「ちっ!」


僕を川から引き離すと腰からナイフを取り出しその大きな魚へと飛び掛かる。

遅れてやってきたアルのエアーカッターが援護をすればジローのナイフがその魚に突き刺さり容赦なくそのまま切り裂いていく。


ああ良かった、だれもケガをしな…って、ジローっ!その肩はっ!


「キラーフィッシュだ。上流から流れてきやがった…ここで仕留められて良かったぜ。大騒ぎになるとこだった」

「じろー、じろー、大丈夫?どうしよう…肩から血が出てる…」

「大丈夫だこれくらい。こんなん路上の喧嘩に比べりゃ屁でもねぇよ」

「いや、治療はしたほうがいい。幸いここは救護院だ。止血だけでもしよう」

「それより援護サンキューな。助かったぜ」

「いいや、…俺はすぐには動けなかった…。俺がもっと早くに動けていればこんな怪我などさせずに済んだのに…」

「ガキが何言ってんだ。ばーか。実践、初めてだったんだろ?上出来だ」


孤児院のリーダーだったのは伊達じゃない。年下のアルを褒めて慰め、いつの間にか笑って話す仲になっていた。


ちょっとへこんでるアルタイルをよそに僕はジローを凝視する…


今まで年上だなんて意識した事なかったけど、アルタイルがいることでより一層実感する。

僕を庇って怪我をして、僕を抱えて逃がしてくれて、あんな普通のナイフひとつで恐れもしないで魔獣に向かっていくなんて…

このジローは僕の初めて見るジローの姿で…男前…その単語が頭に浮かびっぱなし。


え?これって吊り橋効果?


僕はドキドキが止まらなかった…




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