表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令息設定から逃れられない僕のトゥルーエンド  作者: kozzy


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/101

に ゲームの設定

アルファポリス様で完結済み作品を、少しずつ手直ししながら再投稿しています。


『チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する』アルファポリスより書籍化。


今の僕に出来ること、そうだ!まず思い出せるだけ思い出そう!


寝たふりしてみんなが出て行くのを見届け、その後すかさず起き上がった僕はまず机の引き出しを開けて紙とペンを探した。


まずはこの身の回りのことからだ。

ここはアストランティア王国、その筆頭侯爵であるレッドフォード家の次男が僕、テオドール・レッドフォードだ。


金髪に薄茶の瞳。性格の悪さに反比例して恐ろしく美形である。キャラクター作家さんの本気を感じるほどの美形だ。

性格は、暴虐無人で威圧的。その割にどこか小心なところが見え隠れする典型的悪役令息。


「はあ…気が滅入る…」


このままここでやっていけるだろうか…


レッドフォード家の当主であるテオドールの父親ウォルフガングは国の財務長官を務め、王国の財布を一手に握ってるすごい人だ。


けどレッドフォード家がすごいのはそれだけじゃなく、もともとレッドフォードは代々続くかなりの名家なのに、名家じゃないけど同じくらい財のある裕福なお母様と結婚したことで、なんと!王家に次ぐ資産を持っているのだ!

そう、レッドフォード侯爵家は準王族である公爵家よりもお金持ちなのだー!


これほどの地位を持ちながら、何故かお父様は領地に籠り王都の社交界へはあまり顔を出さない。

転移陣を使って王宮に出仕はするものの、面倒な社交はお母様と跡継ぎのハインリヒに丸投げして用がなければ王都邸へは帰って来ないのだ。

だからテオドールと絡むのは基本この二人。〝お兄様”と〝お母様”。

きっとゲームの都合上なんだろう。


兄ハインリヒは侯爵の亡くなった前妻の一人息子。

さっき見たハインリヒはまだ少年っぽさがほんのり残っていたが、ゲームではすでに成人していた。


この世界には魔法があり、その魔法の力は歳をとるにつれて衰える仕様だ。

だからこの世界では魔法の力が衰える前に代替わりをする。


だからこのハインリヒも、普段ほとんど領地から出てこない父親に代わって成人と共に爵位を継承するところだ。…ったけど…今の姿は…あれ学生くらいだろうか?元の僕くらいに見えるから十五~十六くらいかな?


そして母親のヴィクトリアは夫である侯爵と、なんだろう…?特に不仲と言う感じじゃないのに一緒に領地へは行かずこの王都邸に住み采配を振るっている。

あれかな?お父様の代わりに社交をするのがお仕事なのかな?


この二人はとにかくテオドールを溺愛してるんだよね。その溺愛ぷりったら前世のお母さんの過保護なんて目じゃないくらい。

今からどんどんわがままが暴走していくテオドールに手を焼きながらも大抵のことは許しちゃうの。


そしてこれがポイント。

テオドールがわがままになっちゃう理由は主人公(男)にあるんだよね。

そう、ここはBLゲーの世界。当然主人公は男の子。同性の恋愛や結婚も当たり前の世界なのだ。


健気で努力家、笑顔を絶やさない主人公アリエスはお父様の庶子だ。


アリエスの母親は歓楽街で飲み屋のお運びをしてたのだが、ある日酒場でうっかり酔いつぶれた侯爵を、部屋に連れ込み意識のないのを良いことに…ごほん、げふん、僕子供だからわかんない。

そうして、ある日いきなり侯爵邸に乗り込むと子供が出来たとお金を無心したのだ。


7年間養育費の名のもとたかり続けたアリエスの母親。彼女はちょうど主人公が七歳の誕生日を迎えた日に、痴情のもつれで刺されてあっけなく亡くなった。

それ以来アリエスの誕生日は可哀そうなことに母親の命日だ。


母親はアリエスの父親について周りに吹聴しまくっていたから、引き取り手の無い子供はすぐに侯爵邸に連れてこられた。


このアリエスが引き取られたことでテオドールのわがままが暴走することになる。


魔力の弱いテオドールと違い、強力な光魔法を使えるアリエス。テオドールはアリエスに劣等感を持っている。

そのうえ、実はこのテオドール、母の連れ子で侯爵とは血のつながりがない。

庶子とは言え、れっきとした父の血を引くアリエスに侯爵家の愛息子という立場を取って代わられるんじゃないかと彼は気が気じゃなかったのだ。



ここまでがコミカライズを記念して出版された設定資料集冒頭に描かれていた内容だよ。



お母様がテオドールを溺愛するのは亡くなった夫の忘れ形見だからだ。

お兄様がテオドールを溺愛するわけは知らない。そこまで資料集は親切じゃなかった。

だけどテオドールが何か悪どいこと考えるたび、協力したり隠蔽したりするのはこの兄だった。


そんなわけで魔法学院へ入学するまでも母や兄とともにあらゆる嫌がらせをし、入学してからもなお嫌がらせをやめず、主人公に夢中になった攻略対象者たちから断罪という形でテオドールはざまぁされるのだ。


そりゃあもう、みごとなくらい、どのルートに入っても常に主人公の前に立ちはだかり、そして断罪される。


この全年齢バージョンでは、貧乏貴族との結婚、田舎貴族の後妻、悪徳貴族の妾、など必ず最悪な結婚をして終わりを迎える…なんじゃそりゃ。


ちなみに気になって調べてみた18禁バージョンでは

娼館落ちからの病死、流刑地での凌辱、奴隷落ちからの輪姦、闇落ち監禁、…などなど、子供の僕では字面にちょっと想像が追いつかない。


と、とにかく、どちらにせよましなエンドが一つも無い。

そのうえ侯爵家の面々も王子の怒りにふれ、テオドールを諫めなかった責任を問われ、18禁バージョンではお家取りつぶしのうえ平民落ちとなるのだ。アリエスを引き取ったばっかりに…


「ぎゃーーーっ!いやだいやだいやだ!こんなのはいやだ!」


だけど僕にはストーリーを知っているという最高のアドバンテージがある。

絶対に、絶対に、絶対に回避して見せる。


そして自由な未来をつかみ取り、せっかくの異世界転生を心行くまで謳歌するんだ!




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ