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悪役令息設定から逃れられない僕のトゥルーエンド  作者: kozzy


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149 ロマンスの愛し子

「テオ、今日は放課後空けておいてくれないか?」

「おはようアルタイル。もしかして昨日も泊ったの?早く引っ越してきたらいいのに」

「いや、一応婚前だし…」

「週の半分以上ここに居るじゃん。まぁいいや。分かった、放課後ね。」



レグルスの出航の後、僕はお兄様にコンコンと叱られていた。


「婚約候補から外れた立場でああいう事をしてはいけないよ」


それはそうなんだけど…、あれは渡航安全の祈願じゃん…。し、しょうがないよね?


ケフィウスさんは相変わらず無表情だったけど、アリエスまで甲板から降りた僕を物凄い形相で迎えた。


「寝た子を起してどうするんです!お兄様、ほんとにあなたって人は…、ふぅ…いいですよ。どうせこれで当分会わないのだし。海の向こうで異国のお姫様でも見初めてくると良いのですが…」


「むぅ…レグはお仕事しに行ったんだからそういう事言わないで。外交だよ?初めての国交だよ?…何してくるのかよく分かんないけど…」


「お兄様の為を思って言っているのですよ?また収拾つかなくなっても困るでしょう?」

「はい…」



そんなこんなであれから一週間。僕の周辺は相変わらずだ。


「テオドール様は神獣様に仕えるために独身を貫かれるのですね。なんと尊い行いでしょうか。ですけど、そのために愛を犠牲にするのは頂けませんわ」

「そうよ。殿下が後継を残すため愛するテオドール様を諦めどこぞの令嬢を娶りになるのを黙って見ているおつもりですの?」


「あ、や、その…」


「貴女方およしなさいな」

「ヒルデガード様」


「結ばれぬからこそ尊い…そういう形の愛もあってよ。それに障害の無い愛なんてマカロンの無いお茶会のようなものでしてよ。これはこれでよろしいのではないかしら。お母様がひいきにしている吟遊詩人もそう歌っていましたわ」

「まぁ…」


僕の周りでは入学当時とは別の意味で…、令嬢たちがさえずっている。乙女だもん、ロマンス…好物だよね。だけどその中心にいるのが僕なのはどうなんだろう?


「仕方ないよ、だってテオ君のあの表情ときたら…いつも見てる僕でもドキドキしちゃった。蕩けそうな眼で殿下を見つめてたね」


「そ、そう?」



記憶が無い。


「うん。陶然としてた。テオ君本当に婚約解消して良かったの?」

「解消じゃなくて反故ね。それも王家からの」

「そうだけど…」


いいんだ、僕とレグルスはもう何かを乗り越えたんだから。一年後の山盛りの土産話が僕は今からとても楽しみなんだから。




アリエスとアルタイルと、下校の馬車はもっぱら三人。ホントにもう越してきたらいいのに。


けどどうしたのかな?アルはさっきからため息ばかり。またお兄様に無茶振りでもされたんだろうか?

馬車の行き先に見える風景。何だか久しぶりだ。


「商会に寄るの?」

「ええまあ…」


アルは会長になって仕事が増えたし、ここのところ商会に顔を出すのも夜ばかりになってしまった。

そうなると僕一人でここに来るのは、護衛やなんかの都合もあってそうそう簡単ってわけにはいかないのだ。


「以前は従者と護衛二人くらいで外出できたのにな。オリヴィアさんは絶対ダメって言うの。なんで?」


「オリヴィア様はご存じ無いのですよ。ハインリヒ様と殿下が二人してお兄様に陰からごえ…いえ、何でも」

「え、なになに?何の話?」

「いえ、別に。あっ、お兄様付きましたよ」


到着したのはジローの新しいお家。以前住んでた商会の上は従業員の寮にして、ジローは新しく家を買ったのだ。ここは小さいけどジローのお城。


「…小さいって言ってやるなよ。侯爵邸と比べたらブルースターだって小さな邸だ」

「うん。だけど僕小さい家好きなんだよね。何て言うか…適度な閉塞感ってすごく落ち着く」


満場一致で納得しかない。



規模の拡大したジローの仕事。役割分担は出来たようだ。


船の事業はお兄様が。

レグによって国交が開けば海を跨いで交易が生まれる。そうしたらそこには関税が発生する。そしてその税金はこの国の良い収入になる予定。その大仕事は税関長補佐のお兄様にうってつけだ。


そして公爵は人力の商会を。

発案者のジローとはすこし揉めたけど、ジローにはギルド長の仕事もあるし、職業訓練の部門だけはジローが引き受けて公爵とは話がついた。

公爵は領と領をつなぐブラックキャット商会に政治的な可能性を見出してるって、これはデルフィが教えてくれたこと。…バスティト様のダンジョンで会ったときにね。


そんなわけでジローは職業訓練所と、記念すべき初めの事業、タイヤと工場と小売りの店、ブラウニング商会を受け持ったのだ。


ジローはここでスラムや下町、引退した冒険者なんかの働き口を確保することになる。

生活に困窮した人が減ったらスラムの治安だってうんと良くなる。

下町の希望、それがジローなのだ。



「よく来てくれたな。さぁ入ってくれ。」


久しぶりに会うジローはギルド長にもなったせいか、以前よりもうんと頼もしく見える。

んん?だけどなんだろう…?なんかジローの僕を見る目がおかしい。なにか言いたげな…ちょっと怒ってるような…なになになんなの?


「お兄様、僕とアルはそこらで飲み物でも買ってきます。しばらくジローと話していてくださいね」

「僕オレンジ系がいいな」


「ジロー、俺たちが戻るまでだ。いいな。二人きりはそれまでだ。くれぐれもおかしな真似はするなよ」

「大丈夫ですよアル。お兄様にはとっくに光の守りがかけてあります。ああ、加護を頂いていて本当に良かった。では行ってきますね」



「?い、いってらっしゃぁ~い」





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