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悪役令息設定から逃れられない僕のトゥルーエンド  作者: kozzy


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139 祝勝会

商業ギルド長の選出は選挙をもってして決められる。

そしてその投票は、組合員の商会主や行商人、小売りの店主などが中心で、それ以外にもそれらの店と取引をする有力貴族が絡んでくるのだ。


お兄様曰く、ギルド長は貴族議会に意見が出来る。王都に限らず大きな都市では影響力を持つんだとか。

商業ギルド長を自分の懇意にする商会主から出すのは…、都市を持つ各領でも色々やりやすくなるって言うんだから大人の世界ってなんかすごい。


四十日間にも及ぶ今回の選挙、ジローの年齢はハンデだったはずなのに、実際のところは蓋を開けてみたら…圧勝!

やっぱり後ろ盾が大きすぎだよね。


なにしろメインがレッドフォードで、それにタイヤの合資商会にはグリーンベル公爵家も名を連ねてる。

え、この国のツートップじゃん…強すぎ…



「ですが地固めは大変だったのですよ。なにしろいくら後ろ盾が大きくてもジロー本人に積み重ねたものがないものですから。実績は十分ですが信用は一朝一夕には…特に古い商売人は付き合いを重視しますからね」


「アリエス達、いっぱい頑張ったんだね」


「ああ、頑張ったさ。他でもないジローの為だからな。」


今日は祝勝のパーティーがある。屋敷を出る時オリヴィアさんが教えてくれた。

今回の選挙に尽力してくれた人を集めての慰労会。そこにはジローも来るだろうし…楽しみだな。




-------------

こうしてここレッドフォード侯爵邸に、お抱え商会主としてやって来るのも何度目か。

今日はギルド長選挙の祝勝会があるらしい。


祝勝会とは名ばかりで、要は合資商会に関わる主要な貴族、その面子の顔合わせと打ち合わせと言ったところか。

おかげでテオはまだ顔を出してはいない。一通り俺の顔見世が済んだら来るのだろう。


「おめでとうジロー、一か月半ご苦労だった。それで?君のなけなしの時間を全て奪った造船はどれだけ進んだんだ」


「ああ、魔法士たちの頑張りのおかげで予定をかなり前倒ししている。全く魔法ってのはすごいもんだな」


公爵令息デルフィヌスが、今や商業ギルド長となった俺に労いの言葉をかけてくれる。

アルタイルやタウルスの様に決して気安いわけではないが、偏見を持って物事を見ない、時に頭が固く物事に潔癖だが実に良い奴だ。


「ではいい機会だ、父に紹介しよう。父上も君に会いたがっていた。わずか数年で商会をここまで大きくした手腕の持ち主に会ってみたいとね」


「いや、それは俺を支えてくれたテオにアリエス、アルタイルが居たおかげだ。俺は自分一人の力でここまで来たとは思っていない」


「その言葉が出れば充分だ。さぁ、こちらへ」



汗をかく俺を見かねて、アリエスが小馬鹿にしながらも付き添ってくれる。なんだかんだと口は悪いが面倒見の良い奴だ。


「ジロー、ではグリーンベル公爵閣下にご挨拶を。粗相のないようしっかりなさい」


「緊張するぜ」


俺のこれ迄の中でも一、二を争う緊張だ。

ハインリヒ様に会った時か、王太子殿下に会った時か。

まさか孤児院に捨てられた汚いガキに、こんな運命が待ってるなんてな。


テオドール、お前との出会いが全てを変えた。

待っていろ。もうすぐだ、もうすぐきっと!



「閣下、この度はギルド長選への尽力心から感謝申し上げます。私が合資商会ブラックキャットの代表を任されたジロー、ジロー・ブラウニングでございます。以後お、お見知りおきを」


「うむ、お前がジローか、まあそう固くなるな。我らは同じ合資商会に連ねる者、友人と接するようにしてくれて良いのだぞ」


「ご、ご冗談を…」


「父上、無茶を言うのはお止めください。ハインリヒの前でさえ彼は借りてきた猫のようなのです。公爵である父上に気安い態度などとれるはずがないでしょう」


助かったぜ、デルフィヌス。まったく高位貴族の冗談とやらは冗談にならないんだよ。

公爵でこれなら陛下なんぞを目の前にしたら縮み上がりそうだ。


「ところであの船、造船事業はどうなっている」


「あれは今回、レッドフォード家のご次男であるテオドール様の注文を受け手を出したにすぎません。出資はテオドール様の持つ薬事の商会が中心となっています。足りない部分のみレッドフォード侯爵が」


「タイヤに続く事業へと育てる気はあるのだな」


「もちろんです。そうでなくてはあのように大きな工場、あれだけのの資材は集めません。なんでも侯爵夫人ヴィクトリア様のご実家、ラクシアン男爵家も色気を出しておられ出資したいと声がかかっております」


「その件、タイヤ以上の巨利が動きそうだ。よいか、逐一私に相談するのだぞ。けっして勝手に事を進めてはならぬ、よいな」


またか…。どうしてだかテオが何かを言うたびに大きな話になる。一体あいつは俺をどうしたいんだ。内助の功はもう十分じゃないか?


俺はテオドールの二つ名〝神童”その意味を、その時初めて正確に理解したのだ。



---------------

「ジローギルド長いらっしゃい!」

「止めろ、恥ずかしい」

「ねぇねぇ。僕ギルド長にお願いがあるの」


「…なんだ。言ってみろ」


「プルッツェルのお店下町に出してよ。どうせ王都じゃどうしたって人気ないのに、けち臭い」

「あのなぁお前…、わかった。掛け合ってやる…」


やった!目的達成!






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