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悪役令息設定から逃れられない僕のトゥルーエンド  作者: kozzy


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117 大事な任務 3月

「それでケフィウス、テオと仲直りは出来たのかい?」


妙な緊張に包まれたその部屋へノコノコやって来たのは噂の主レグルス。

いきなりかけられたその声にケフィウスさんの動揺は最高潮へと達したみたいだ。


「で、殿下、その、謝罪は済んで、ええ、すみましたとも。て、テオドール様そうですよね⁉」

「あぇ?あうん。仲直りした、したよっ!」


ケフィウスさんの勢いにつられて何故か僕まで焦る。


「も、もう行っていいかな…。みんな待ってると思うし…」

「え、ええ」


声をかけるレグルスから目を逸らすケフィウスさん…。二人を部屋に残したまま、僕の気持ちはサロンへと向かった。


「アリエス~!任務完了だよ。さぁ遊ぼう」

「テオ、その前にシューの事を聞かせてくれないか?」


おっと、デルフィに捕まってしまった。


「ええ…あれは僕から言う事は別に…。アルタイルに聞いたらいいんんじゃないかなっ!」

「テオ、八つ当たりはやめてくれ。仕方ないだろう。お前には…」

「僕に何!」


魔力がないとか言わないよね!


とにかくあれはおやつのお礼で加護でもなんでもない事をデルフィには説明した。これ以上なんかついたら大変である。

僕はネコの飼い主であって動物園の飼育員さんじゃないのだから。


「それでテオ、いつ行くんだ」

「え、えっとぉ…」


うずうずしてるデルフィの為に三月の最初の休みがバスティト様へのおやつ奉納に決まった。

どうもデルフィにはカフを貰ったアルタイルに妙な対抗心が沸いたようだ。しょうがないなデルフィは。デルフィだってワンドを貰ったしカフは風の魔具だから水のデルフィには…ん?


「ねぇデルフィ…僕どうしてバスティト様があのワンドくれたか分かっちゃった」

「な、どういうことだ…」

「デルフィは水属性じゃない。で、小さな魔物を使役するワンドでしょ?」

「あ、ああ…」

「お魚だよ。バスティト様は魔魚を取ってこいって言ってるんだ」

「そうなのか?いやまさか…しかし…」


ブツブツ言いながらデルフィは帰って行った。きっと川に向かったんだ。湖かな?


そうこうしてるうちにレグルスたちが戻ってくる。


何も無かったかのように和やかな雰囲気でお茶会はすすめられたが、時々感じる視線。ケフィウスさんが僕を見ている。とても困惑した表情で…


だけどその表情からはもう反発心は感じなかった。



そして奉納の日。

タウルスは今回もこりずに付いて来るようだ。何と今度はレグルスから正式な依頼を受けての登板だ。


けど絶対タウルスは諦めてないと思うんだよねぇ…バスティト様に触るのを…


「ところでねぇ、何を頼まれたの?僕の護衛って事は無いよね?だってフェニックスさん達だっているんだし」


「ああ、キャタピラーの糸をちょっとな…ゴホン…」


嫌な思い出が…


「…僕は繭にはならないからね…」

「まぁまぁお兄様。とても可愛いお姿でしたよ」

「そうだともテオ、繭くらいなってやったらどうだ」


「他人事だと思って…」


レグルスの欲しがっているキャタピラーの糸。水をはじく撥水性のその糸はシルクのような肌触りなのにナイロンのような耐久性だ。


だからってビニールハウスにはかなり足りないしもったいないと思うんだけどな。あれは衣類や装飾品に使うものだよ。


ビニールか…何かで代わり作れないかな?


そんなことを考えてたらいつもの祭壇前。

柏手と共に現れるバスティト様。と、サンドキャット。本日キャスはおうちでお留守番ね。


この間はくちゃくちゃだった、だけど今日の僕は一味違う。ちゃんと対策を考えてきた。


「お兄様、なんですか?これは」

「ちゅー、…鶏肉のすり身の甘いの。バスティト様の好物をチューブに入れてきたの。これを各自が一本ずつ持って…」


おおっ!成功だ。タウルスも初めてサンドキャットをナデナデできてなんだかとっても嬉しそうだ。今のうちにエサ皿を…、こう近づけないで、一皿ずつ適度に離して配置して…

かっ、…完璧だ…みんな散らばった…って、あれ?


「しろちゃんのお皿はコッチ。そっち行かない。あ~あ~、ブチコもサバオのつまみ食いしない!サビちゃんハッチに取られちゃったの?もうっ、早く食べないから…」


なんて落ち着き無いんだ。どれもこれも同じ餌なのに…


そんな僕を横目にデルフィは供物台にたくさんのお魚を乗せている。

それをみたバスティト様はデルフィの足にスリスリして…デルフィはどこか誇らしげだし満足そうだ。


するとどうだろう!腰を据えて遊べるようにとデルフィは椅子を持ってきていた。マジで?


その本人が椅子に腰かけようとした時には…小さくなったバスティト様に座られていたけどね…。


「これは私の椅子なのだが…仕方がない。バスティト様がお望みなのだ。いや、まったく困ったものだ」


そう言いながら全く困ってない、蕩けるような笑顔のデルフィがいた。



デルフィがワンドで遊んでるうちに、僕はマジックバックから大きな箱を取り出した。


「段ボールじゃなくてごめんね。木箱だけど気に入ってくれるかなぁ?いつかねこちぐら編んでくるね」

「お兄様、ねこちぐらとは何かと聞いています」

「あのね、わらみたいなので編んだ箱みたいなの」

「お兄様。早くせよとおっしゃっています」

「…が、がんばるね…」



そして帰路。やってきたのはキャタピラーゾーン。

うぅ…やっぱり気持ち悪い…


「ねぇ、これ連れて帰って飼えないの?そのほうが糸も取りやすいでしょ?」

「だが、こいつらはいつ魔蛾に羽化するか…その時期がつかめないんだ。王都で毒鱗粉をまき散らされたらただ事ではすまないからな。」

「え、じゃぁタウルスどうやって糸持って帰るつも…だからヤダってば!」


まったく人のことを何だと…。はっ!そういえばレグルスは僕の事を撒き餌だと…おのれレグルスめ!


「はは…悪いなテオドール…『ストーンバレット』」

「えっ?わぁぁぁ!」


小さな石つぶてをあてられたキャタピラーは怒って糸を飛ばしてきた。…だから何で僕⁉


「い、いやぁぁぁぁん!」


「どう思う?デルフィヌス」

「ああ、妃殿下の身長ならもう少しか…」


「えっ?まさか…」


『ストーンバレット』

「ふゃぁぁぁん!」


レグルスめ!もう絶対許さないからねっ!




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