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悪役令息設定から逃れられない僕のトゥルーエンド  作者: kozzy


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101 冬休みの計画

ダンジョンのために作った保冷材、そしてキャリーケースはヒット商品となり、ジローの店はますます拡大中だ。


キャリーケースと言ったってオリジナルは木箱に持ち手とキャスターつけただけなんだけど、ジローはお針子さんを雇い布張りにしてケース部分をとてもおしゃれに仕上げていた。


こんなセンスが…?ジローなのに?


実はアリエスの助言だと後からこっそり教えてくれた。だよね。


キャスター部分はお兄様が僕の名前で登録してくれている。こうしておけばキャリーケースも、製作予定のゴムの車輪も、全部僕のところに特許料が入るからって。


お兄様はいつもこうやってこつこつと僕の資産を増やしてくれる。

お嫁に行かず、ずっと家に居ても誰にも何も言わないようにって言ってたけど…ホントのホントにいつでも僕の強い味方だ。

それはゲームのシナリオが終わった今もずっとずっと変わらない。



そんなある日のことだ。


「ねぇテオドール君。あの工場、ブラウニング商会ではスライムとラバーケロッグの需要が多いよね?」

「そーだね、ゴムを使った工作品が多いしタイヤやチューブが製品化されたらますます需要は多くなるかな?」

「ねぇ、厚かましいのは承知だけど良かったら冬の休みにうちの領地へ来ない?それで父様と会って欲しいんだ」


ルトガー君が真面目な顔してそう言いだした。


「ルトガー君ちに?お兄様に聞いてみないと分からないけど…父様って…なんで?」

「家の領地はね、北東の田舎の方にあるんだけど沼地の多い領地でね、ラバーケロッグもスライムもほんとによく出るんだ。定期的に冒険者に駆除を依頼してるけどその費用だって馬鹿にならないし…彼のお店と専属契約とか出来ないかなってふと考えて。まだ具体的には何もなんだけど」


「専属契約…それだったらまず家においでよ。お兄様に会ってみて。ブラウニング商会はレッドフォード家の提携先でゴム素材の加工はお兄様の事業なんだよ。そうだ!リヒャルト君もさ、さ、さ、誘ってさ。お話が終わったら、その、あ、あ、遊んでいけば?」


こうしてどさくさに紛れて初めてのお友達の訪問が決まったのだ。


「どどど、どうしよう。何用意すればいいんだっけ?」


前世では…あれ?塾ばっかり行って友達と家で遊んでないや。塾友とは塾の駐輪場がたまり場で、家の中ではお姉ちゃんや同居のおじいちゃんおばあちゃんがいつでも僕の遊び相手だった。


緊張する。興奮する。前世から通算して初めて友達が遊びに来る!ひゃぁ~!



「ああ…間に合わない…アリエスそっち手伝って!そう、ジャガイモを薄くスライスして!」

「この厚く皮をむいた奴隷芋…いえ、ジャガー芋ですね。ジャガー芋を薄切りにすればいいんですね。」

「そう!そうしたら油で揚げてお塩を振って!お友達訪問に山盛りポテチは鉄則だから!」

「…そうなんですね?覚えておきます」


今日は歴史的な一日になる。だって僕のうちに普通の友だちが来るんだから。


「お菓子よし、ジュースよし、トランプよし、あ、あ、あ、あと何を用意すれば…」

「お兄様、友人の歓迎は皆慣れております。落ち着いてください、何も心配いりませんよ」


アリエスが居てほんとに心強い。アリエスってば僕をダメ人間にするつもりだろうか。




そうしてやってきたリヒャルト君とルトガー君。迎えは家から馬車を出した。


正面の大きなホールで待っていると、ホールのあまりの豪華さにキョドりながら入って来た二人。

お仕事の話とあって今日はお兄様もご一緒だ。


「よく来てくれた。君たちがテオドールの友人かい?ああ、そんなに畏まる必要はない。気を楽にしてくれたまえ」

「ありがとうございます、ハインリヒ次期侯爵様。わ、私は南西部のヴェーバー伯爵家、嫡男リヒャルトと申します。お記憶に留めて頂ければ光栄です」

「私は北東のナスヴェッター子爵家、嫡男のルトガーと申します。下位貴族家の私が弟君と友人なんて恐縮ではございますが見知り置き頂ければ幸いです」


「ナスヴェッター子爵…私の妻となるオリヴィアの生家、モーリィ伯爵家の近領であろう?」

「ご存知でしたか」

「ふむ、より一層親しみがわくというもの。弟に君たちのような邪心を持たぬ友人が出来たことを神に感謝せなばな」

「い、いえ、そのような…」

「君たちももちろん知ってるだろうが弟は長い間辛い思いを堪えてきたのだ。そのため多少甘やかし気味ではあるが…分かってくれるな?」


「それはもう!」

「当然でございます!」



お兄様から謎の過保護宣言が飛び出し、それを笑って了承する二人も謎だ。

ともかくこうして経営会議は行われた。


ルトガー君の話に興味持ったお兄様はこの冬休み、僕に同行してナスヴェッター領へ行くことになった。


うそ…これってまさか…初めての家族旅行!

今年の冬はとても充実した冬になりそうだ!


その話し合いを見ていたリヒャルト君からは小さな物言いがつく。


「ルトガー君ばかりずるいや。ちゃっかりテオ君を誘うなんて。テオ君、約束だよ。春の休みはうちに、ヴェーバーに遊びに来て。両親も歓迎してくれるから」

「えっ、あ、行きたい!行くよ、絶対行く!約束ね!」


わわ!春休みの予定が決まってしまった。

だ、誰か一緒に…一緒に来、アリエス!


チラ「…」

「…」ニコ


ああ…良い笑顔、以心伝心。今度アリエスに言っておこう。僕とアリエス、二人はいつでも一緒だよって!


「アリエス様、ハインリヒ様がお呼びでございます」

「お兄様、皆様方、少し失礼しますね」

「!」ガーン…


さぁ今から何しよう、という肝心な時にアリエスは行ってしまった。よりにもよって何故今…なんてことだろう…。アリエスだけが頼りだったのに…


うう…僕の手持ちの武器(おもてなし)なんて…トランプしかない。そうだトランプをしよう!


二人ともトランプ遊びはしたこと無かったみたい。

トランプは紙で作られるから少し高価なんだって。

だからハンデにならないようババ抜きをすることにした。これなら覚えるのも簡単だし勝利のコツは駆け引きだ!


経験者の僕は絶対有利だよねー!






どうして勝てると思ったんだろう………




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