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 その後の話を、すこししようとおもう。


 ボクは病院のベッドのうえで目を覚ました。体中にチューブがつながっていた。ボクは右腕をあげようとしたが、それさえできなかった。

 これが、この世界のボクだ。

 ボクはまどろんで、目覚めたばかりなのに、また眠りにおちていった。つぎ見る夢がまたあの場所だったらいいのに──そんなことをおもいながら。


   ×   ×   ×


 不思議なことに、ボクの病気は急激によくなった。医者も理由がわからないくらい、ボクはみるみる元気になっていった。

 これはボクの推論だけど、悪夢の国での冒険がボクの魂──隠者は〝思念体〟といってたっけ──をつよく鍛えたんじゃないかとおもう。その影響が体にもおよんで病気が治ったんじゃないかと。

 それからしばらくしてボクは病院を退院した。いまではふつうに学校にかよえるまでになっている。

 ふつうの友達と、ふつうの毎日をおくっている。王子の友達はここにはいない。

(あれは夢だったのかな)

 なんておもうこともある。こちらの世界での日々を経るにつれて、悪夢の国の記憶が曖昧になっていった。


 そんなときだ。事件がおきたのは!


 真夜中に眠っているボクの体をゆする人がいた。ボクが目を覚ますと、目の前に悪夢の国の王子グリムがいた!

「グリ──」

 叫びそうになるボクの口をおさえたグリムは、

「お前の家族が起きるのはマズい」とささやいた。

 平静さをとりもどしたボクは囁き声でいった。

「なんでグリムがここに?」

「重大な事件がおきた。お前の助けがいる」

「事件?」

「ああ、じつは銀の鍵がぬすまれた。しかも犯人は人間だ。銀の鍵はいま人間界のどこかにある。下手すりゃ地球上のすべての人間が死ぬぞ」

「それは……大変だ」

「だから手伝え」

「ボクが?」

「そうだ。悪夢の国を救ったお前だ。つぎは人間界を救うぞ」

「ボクが!」

「だからそうだといってるだろ。ほれコレ」

 そういうとグリムはベッドの上に、ぽんっ、となにかをほうり投げた。鍋蓋だった。

「おい、人間。グズグズするな。いくぞ」

「う、うん」

 ボクは、また寝巻きと裸足のまま、冒険へと出発した。

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