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 翌日、隠者の葬儀がおこなわれた。隠者は国を救った英雄として葬られた。


 隠者の葬儀のあとにダインスレイフがいった。

「じゅうぶんすぎるほど血を吸ったわい。ワシはしばらく寝る。おぬし、ワシを元の岩場にもどしといてくれ」というと、ダインスレイフは霞になり、剣だけがその場にのこった。

 ボクは、あの冥府の山にまた登るのか、とかんがえたらうんざりしたが、なんと、悪夢の国の王様が冥府の山までボクをはこんでくれたのだ。

 王様はボクを肩車すると──王様は体の大きさを自由にかえられる。このときは二メートルくらいになっていた──、六枚の翼で空へ飛んだ。王様は、ボクがふり落とされないようにと、角につかまらせてくれた。

 あっという間に冥府の山の頂上に到着した。

 ボクは、鞘から魔剣をぬくと、岩の亀裂にさしこんだ。これでダインスレイフは、次の役目がくるまで、ここで眠るのだろう。

 帰りに魔女のところへ立ちよってくれるよう、王様にたのんでみた。王様はしぶい顔をしたが、承諾してくれた。

 王様と魔女は昔からの知り合いだったが、王様は魔女に頭があがらないようで、はやくこの場から去りたそうだった。

 鍋蓋の盾が何度もボクを救ってくれたことをはなし、魔女に感謝をつたえた。魔女は、「ああ、そうかい」というだけだった。


 グリムの部屋にはいる。だだっ広いホールの真ん中にぽつんとひとつベッドがおいてあるだけで、他にはなにもない部屋だった。

 グリムは、ミイラ男のように包帯で全身をぐるぐる巻きにされて、ベッドのうえに寝ていた。まわりでは、二人の(まじな)い師がグリムの看病をしていた。

 グリムの顔をのぞくと、かろうじて目と口だけが包帯のすきまからみえた。

「ったく! おおげさなんだ! そんなにたいしたケガでもないのにこんな恰好にしちまって!」

 グリムは不満をいった。

「いやいや、実際大ケガだったんだからしかたないよ。おとなしくしなくちゃ」とボク。

「それよりお前、本当に帰るのか? ここにのこったっていいんだぞ。父上の許可も得てるんだから」

「うん、ありがとう。でもやっぱり、帰るよ」

「帰ったってお前は病気なんだろ。あとすこししか生きられないんだろ。だったら──」

「ここでの冒険はとてもスリリングだった」ボクはグリムの言葉をさえぎった。「おそろしいことも多かったけど、ワクワクすることもたくさんあった。悪夢の国にきて、いろいろ経験して、ボクはすこし変わったんだとおもう。むこうでもやってやろう、って気持ちになったんだ。グリムのおかげだよ」

「……」グリムはなにもいわない。

「お礼にコレを君に」

 そういってボクは鍋蓋の盾をグリムの傍らに置いた。

「おい、なんだコレは。まえにも言ったろう。オレは王族だ。下々の者からほどこしはうけない」

「ボクの世界に盾は必要ないんだ。コレもむこうじゃ鍋蓋以外のつかい道がないしね。宝のもち腐れになっちゃうよ」

 そう説得してもグリムはかたくなに拒んだ。

「う〜ん……わかった。じゃあ、こうしよう。コレを君にあずける(﹅﹅﹅﹅)。ボクがまた悪夢の国にやってくる日まで」

 グリムは逡巡していたが、

「よし、いいだろう。じゃあ、この盾はオレがあずかる。それまでにお前もこの盾にふさわしい男になれ」

「うん」

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