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 天使たちのほうがたくさんダメージをうけているのに、劣勢なのはボクとグリムのほうだった。その理由は天使たちの回復力だ。グリムが鉤爪で切り裂いた傷はたちまちふさがり、ボクの鍋蓋の盾で砕いた骨もいまでは元通りになっていた。

 一匹だけ──グリムが鉤爪で胸を穿(うが)ち、心臓を(えぐ)りとった天使だけが、絶命した。切り傷や骨折ではダメだ。確実な致命傷を負わさないかぎり天使はたおせない。

 のこり四匹。しかしボクもグリムも、すでにだいぶ疲弊していた。

 天使のうちの一匹が妙なうごきをした。四つん這いになり、力をためているようなしぐさをしている。耳まで裂けた口を大きく開くと喉の奥までみえた。すると喉の奥から光がもれてきた。光はだんだん強くなり、ついには大きな光の球体となった。

 なんかマズい! ボクもグリムも直観でそう感じた。

 天使は四つん這いの手足を踏ん張ると、グリムにむかって、口からレーザービームを発射した。間一髪! グリムは身を躱して被弾を避けた。

 天使たちは次々と四つん這いになり、ボクとグリムに照準を合わせた。

「逃げろおぉぉ!」グリムが叫ぶ。

 ボクはとりあえず走った。ボクのすぐ後ろにレーザービームが着弾する。その衝撃でボクは吹き飛んだ。顔をあげると次のビームが放たれようとしているのが目にはいった。

 間にあわない──

 ボクは身をまるめて鍋蓋の盾に隠れようとするも、鍋蓋は小さすぎた。ビームが発射された。光がボクをつつむ──しかしボクは無傷だった。

『盾に受けた力とおなじ力を跳ね返すんだ。だから強い力であればあるほど跳ね返す力も大きくなる』

 たしかグリムがそんなこと言ってたっけ。まさにその通りだった。

 鍋蓋にあたったレーザービームは、一八〇度方向転換して、ビームを放った天使自身の頭を蒸発させていた。

 別の天使がボクにビームを撃とうとしている。立ち上がって鍋蓋の盾をかまえる。発射されたレーザービームが鍋蓋に着弾するとまばゆい光を放った。次の瞬間、鍋蓋からレーザービームが発射されたかのように光の弾丸が一筋に飛んでいき、「ジュッ」という音とともに、天使の首から上を消し去った。さらに、運悪く後ろに立っていた別の天使の心臓をも貫き、胸に大きな風穴をあけた。

 三匹たおした! のこり一匹!

 その一匹をさがすと、壁際にいた。みると、グリムをつかんで壁に押しつけている。グリムは苦しそうに足掻いていた。

 天使は口を開くとエネルギーを圧縮しはじめ、その口をグリムの顔のすぐ前まで近づけた。近距離からレーザービームを撃つつもりだ。

 グリムが抜け出そうと体をよじるが、天使がさらに力を入れておさえつける。胸の骨が折れる音がして、グリムの口から血が噴き出た。

 間にあわない。

「グリムウゥゥ!」

 ボクは無意識に叫んでいた。

 レーザービームが発射される刹那、グリムの右手がうごいた。鉤爪が天使の顎をボクシングのアッパーカットのように突き上げる。ビームを放とうとしていた口は閉ざされ、鉤爪の先が天使の両目から突き出ていた。

 行き場をなくしたレーザービームのエネルギーは、「ボンッ!」という破裂音とともに、天使の頭を吹き飛ばした。

 頭部をなくした天使の力がゆるみ、グリムが床に落ちた。ボクは必死になってかけよった。

「グリム! 大丈夫!」

「……ああ、大丈夫だ。なんてことない」

 グリムは強がってそんなことをいっているが、あきらかに重傷だ。天使の顎に突き刺した右手はビームを受けたのだろう、ひどい火傷だった。胸の骨も折れている。内臓も傷ついているかもしれない。

 グリムは苦しそうに、「ルキフグスを捕まえなければ……いくぞ」といって立ち上がろうとしたが、すぐに血を吐いて、その場にくずれおちた。

「無理だ! うごいちゃダメだ!」

 そういうボクの手を、グリムはつかんだ。

「オレが、いかなくちゃならないんだ……たのむ……オレを、つれてってくれ」

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