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 天使の一匹がボクと隠者の存在に気づいた。攻撃がくる。でもボクは怯えていなかった。闘う準備はできている。ボクは、魔女にもらった、鍋蓋の盾をかまえた。

 天使はこちらに飛んでくると異常に長い腕を振り下ろしてきた。ボクはそれを鍋蓋の盾で弾き返す。天使の鉄槌とおなじ量のエネルギーが逆向きになって放出された。

「キャアアアア」

 悲鳴とともに天使の腕の骨が砕けてグシャグシャになった。

 一人でも闘える! ボクは確信した。


   ×   ×   ×


 隠者は心苦しかった。情けなかった。何世代も下の子ども二人に守られているとは。自分の存在はあきらかに足手まといになっている。なんとかしなければ。自分にできることを!

「グリモワール王子! 私はルキフグスを追う! 彼奴の野望を食い止めねば!」

「たのみます、ビスマルク先生!」グリムは空中で天使らと闘いながらいった。

 隠者はルキフグスが消えた扉をぬけて、あとを追った。


   ×   ×   ×


 一方、玉座の間の外では一進一退のはげしい攻防がくりひろげられていた。

 妖刀ダインスレイフにたいして、アガリアレプト将軍は槍、サタナキア将軍は巨大な鎚鉾(つちほこ)をつかった。

 両将軍の連携は完璧で、隙がなく、絶え間ない攻撃を撃ちこんできた。ダインスレイフは霞となってそれをいなすが、連続攻撃の激烈さのせいで霞になっているほうが多いほどだった。

 それでもダインスレイフはわずかな隙を狙って斬撃を飛ばした。しかしさすが百戦錬磨の将軍だ、ギリギリのところでダインスレイフの斬撃を受け流した。

 ひと呼吸いれるため両将軍とダインスレイフは間合いをとった。

「あっぱれ! アガリアレプト! サタナキア! 聞きしに勝る猛将よ!」

 ダインスレイフは叫んだ。賞賛されたアガリアレプト将軍とサタナキア将軍だったが、無表情のまま、気をゆるめることはしなかった。

 ダインスレイフはつづける。

「ひとつ訊きたい。なぜルキフグスの謀叛に(くみ)した」

「ルキフグスに与したわけではない」長身痩躯のアガリアレプトがいった。「われわれは偉大なる宇宙存在に帰依した者。あの方と一体になることがわれわれの願い。それだけだ」

「宇宙統合主義者ってやつか」ダインスレイフはイデオロギーには興味ないようだ。「それでこの国ひとつ、貢ぎ物として差し出したわけか。ずいぶんと自分勝手じゃのう」

 巨漢のサタナキアがにらみつけてきた。

(けが)れまみれの()みモノが語るな。貴様こそ部外者ではないか。なぜ関わる」

「きまっとる」ダインスレイフは舌舐めずりをした。「おぬしらの血を吸い尽くすためよ」

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